フェッセンデンの宇宙 (河出文庫)

制作 : 中村 融 
  • 河出書房新社
3.90
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本棚登録 : 218
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (457ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309463780

作品紹介・あらすじ

天才科学者フェッセンデンが実験室のなかに創った宇宙。それを見てしまった「ぼく」は-。名作中の名作として世界中で翻訳された表題作他、「向こうはどんなところだい?」「翼を持つ男」など稀代の奇想SF作家の代表作を収録、さらに文庫版のための新訳3篇を加えた全12篇。情感豊かなストーリー・テラーがおくる物語集。

感想・レビュー・書評

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  • 研究室に宇宙を作った科学者フェッセンデンを描いた表題作をはじめ、人間の存在意義や叡智、歴史と、そして終わりというSF本来の面白さを詰め込んだクラシカルな短篇集。

    以前読んだ『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』に登場したSF短篇集です。名作として語り継がれ、執筆されてから50年以上経っているのに少しも色褪せない豊かな世界観。それぞれの短編で上質な読後感を味わえます。

  • amazonで目にした瞬間、懐かしさのあまりに速攻クリックしました。小学生の頃、学校の図書館に収められていた子供向けの「SF全集」に「フェッセンデンの宇宙」が掲載されていて、読了直後は本気で恐くて眠れなかったことを覚えています。
    数十年ぶりに再読して、そりゃ子供にはトラウマになるよなぁと納得。子供にも判りやすい寓意に満ちた、発表から一世紀近く経ってもその本質は古びない名作です。子供の頃読んだのは、どっちのバージョンだったんだろう?1937年版と1950年版、かなり印象が異なるので驚きました。ただ、どちらのバージョンも、主人公が「滅ぼしてはいけない」と決意する極小文明の描き方が非常に欧米系の理想主義寄りで、この歳になると若干の違和感は禁じ得ませんでしたね。

    その他の短編も、今読むと古臭さを感じるのは否めませんが、それを差し引いても充分読み応えのある佳作ばかりです。あの華々しくもぶっ飛んだ「キャプテン・フューチャー」シリーズを生み出した作家と同一人物とは思えない、地に足の着いた思慮深さを感じます。「向こうはどんなところだい?」は、スペースオペラ的世界観を真っ向から覆す、SF者として衝撃的とも言える内容。スペースオペラの代名詞とも言えるハミルトンがこれを書くという、SFの懐の深さに痺れますね。

    鴨的に印象深かったのは、「太陽の炎」「世界の外のはたごや」。自らのちっぽけさ、愚かさを心底理解しつつも、それでも挑戦し続けずにはいられない地球人類のバイタリティをリリカルに表現した、地味だけれど心に残る作品です。ハミルトンの作品は、押し付けがましくないから良いんですよねぇ。こういうきりっと引き締まった短編、今のSF作家にも是非書いて欲しいです。

  • 少しでもSF文学に興味がある人には確実に読んでほしい短編集。今ではお約束になりつつある設定やら「マトリックス」の骨子は70年以上前から存在していたのか…と驚いてしまった。

    SF的な革新的アイディアを散りばめつつ、星新一的なショートショートのスタイルにきっちり落とし込んでいるのも流石。一話一話を読み終えた時の読後感が印象的に残り、考えさせられる。

    表題の「フェッセンデンの宇宙」「向こうはどんなところだい?」「帰ってきた男」「追放者」「翼を持つ男」「夢見る者の世界」が特に気に入った。「追放者」は藤子F不二雄がイラストをつけたらめちゃくちゃハマりそうな世界観だ。

    読んでいて一番心に響いたのが「向こうはどんなところだい?」内の一節。「しかし、自分にとっても何かが終わったような気がした。若いということが終わったような気がした。年寄りになった気はしなかった。しかし、若い気もしなかった。この先若い気がするとも思えなかった。二度と若い気はしないだろう」。エドモンド・ハミルトンは天才だと思う。

  • スぺオペだけじゃないぞハミルトン

  • 古き良きSFなのかな?

  • SFの作家とのことだが、読んだ素直な感想として、広く、奇想、幻想文学の優れた作品ということでいいと思う。
    さすが厳選されたアンソロジー。外れがひとつとしてない作品集だ。
    手塚治虫や星新一、ラテンアメリカ文学にも近い雰囲気がある。いずれにせよジャンルなど気にする事自体が無粋、優れた文学作品だ。

  • 短編集
    「追放者」が一番面白かった。何度でも読みたくなるようなオチ。
    全体的にちょっと説明しすぎている感じがする。

  • No.916
    1. 目的
     ビブリオバトルを読んでふしぎちゃんが推薦した本。
    2. 得たこと
     短編ながら、ワクワクさせる小宇宙に引き込まれた。
    3. アイデア
     ハミルトンの他の本を読む

  • いまいち… 古いSF。毒とギャグの抜けた筒井康隆みたいな短編集だった。

  • 「SF小説って難しそう!」と思って敬遠してる方におすすめ。(手塚先生とか藤子先生とかは好きって方)
    そういう方が想像するSFは大概ハードSFで、この短編集の作品はハードSF成立前のものが多い。当時のSFってパルプ雑誌、ガキの読むものとしてバカにされてた時代。80年代までのアメコミと同じ。
    ところが今どうでしょ?映画館でやってる映画、アメコミものばっかりでしょうが。そういうところまで全く一緒だよ。で、エドモンドハミルトンとリイブラケット夫妻がアメリカ文化に与えた影響は……オズの魔法使いから西部劇、アメコミやスターウォーズに至る流れの中で、無視できないほど大きいのでは。

    『フェッセンデンの宇宙』は、自分が長年追いかけてる「箱庭宇宙」もの……元々子どもの頃から『火の鳥』未来編が大好きで、ナメクジ文明の話や『電脳コイル』のヒゲ回のように、宇宙や地球を創生して神の視点に立つ(そして大概、その文明は戦争で滅ぶというアイロニー)話が好きで、ルーツを探してたらたどり着いた。

    短編集だけど、表題作よりも『向こうはどんなところだい?』や『翼を持つ男』『追放者』『夢みる者の世界』『世界の外のはたごや』などの方が面白かった。
    とくに『翼を持つ男』は……要するにのちのX-MENのエンジェル、これと映画『バードマン』と似たようなテーマを短編で表現してる名作でした。『バードマン』も元をたどればアメコミだけど。
    あと『バードマン』を観た時、山本精一&Phewの『飛ぶひと』って曲が頭の中で鳴ってた。

    『凶運の彗星』に出てくるやつはどう考えてもジェイムスン教授だけど(藤子先生が挿絵を描いてた)、あれより早い……とちゃんとフォローしてくれてる解説も最高。キャプテンフューチャーだとサイモンだからねえ。

    面白かったので、他のEハミルトン作品も入れてくれるように図書館にリクエストしました(買わんのかい)。

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