眠りなき狙撃者 (河出文庫)

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 63
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309464022

感想・レビュー・書評

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  • ここのところ、続けて殺し屋のお話しを読んだけれどどちらにも共通していたのは繊細な心の持ち主だということ。
    タフでスキがなくて頑強で・・・って、そんなイメージを覆す哀愁を漂わす人間。殺し屋テリエは、精神面の脆さが所々で垣間見えて、読んでいても不安で心配になってしまうほどだった。けれど、肉体面においては不自然なほど無関心と無痛感。このアンバランスが魅力でもあり読者に不安感を与えるところかもしれないと感じた。

  • 殺し屋小説。主人公が何故殺し屋を生業にしているのか、依頼者の真の目論見はなんなのかということはどうでもよく、(ラスト付近で明かされるけど)ただただマルタン・テリエという殺し屋がカッコよくてしょうがない。
    ピエール・モレル監督で映画化予定だとか。楽しみー。
    しかしアラン・ドロンとカトリーヌ・ドヌーヴでも映画化されているらしく、そちらを先に見ようかな。

  • 文学

  • 映画公開前に読んでおこうと手に取ったが、自分には合わなかった。書かれたのが80年代ということもあり、差別的表現が目に付くのと、猫好きは絶対に読まないほうがいい残酷な描写もある。後半に行くにつれ文章が非常に分かりづらくなり、読んでいてストレスが溜まる。主人公が外道なので全く感情移入できず不快なだけ。ハードボイルド(笑)を謳った作品ってこんなのばかりだな。父親と同じ道を辿るラストの伏線回収はよかった。映画は設定が変わっているらしいので、そちらに期待。

  • ロマン・ノワールの神髄に触れることができるマンシェット1981年発表の遺作。最後の仕事を終え、引退を決意した殺し屋を阻む闇の組織との無情なる闘い。徹底した客観描写で情景を描き切る真にハードボイルドな文体を、フランス文学者・中条省平の気合いの入った翻訳が生き生きと甦らせる。無駄の無いスピーディな展開の中に、孤独な殺し屋の生い立ちとトラウマを表出させ、裏切りと罠によってタフな男が脆くも崩れ去っていく様を、極めてドライに活写していく。終盤、愛人の不貞によるショックで失語症となるというエピソードは余りにも感傷的過ぎるが、言葉を発することなく黙々と復讐劇を繰り広げる暗殺者は異様な迫力に満ちている。

  • 未読。「昏き目の暗殺者」と同じくタイトルがかっこいい。

  • 課題書候補として読んだ1冊。原題は邦題とかなり違って、銃を撃つ際の「伏射」の姿勢のこととか。

    何のイントロもなく、主人公の「仕事」からストーリーが始まる。標的に向かい、始末し、その場から立ち去るさまが仏文にしては短いセンテンスで、余分な飾りなしに淡々と描かれ、読み手には不親切なほどに余分な説明プロセスがない。背景の説明も最小限にとどめられており、それがかえって、「この人物はどういう人間なんだろう?」とページをめくらせる仕掛けになっていると思う。そのミニマムさが生む、殺伐とした緊張感がものすごい。仕事がたしかな比類なきキルマシーンとして過ごしてきた彼が、あるできごとを機に立場を失っていくさまは、逃避行というにはあまりに激烈。こちらが1人殺せば、自分の味方にも同じ悲運が降りかかるさまを等価交換的に描く、著者・マンシェットの容赦なさがこれまたすさまじい。じっくり読んで理解しながら進もうと思っても、ついつい次のページに進んでしまい、かなり速いペースで読了してしまった。

    アメリカのハードボイルド小説では、ドライな描写にユーモアを含ませたりすることが多い(と思う)のだけれど、フランス版のハードボイルドといえる、このようなロマン・ノワールは、ドライに仕上げた表面でその下にあるものにがっちりふたをしてしまい、触れてはいけないような暗さがあるように感じる。だからその暗さが顔をのぞかせたときの衝撃が大きいのだろう。主人公のたどってきた道、これからたどる道が暗示されるさまはただただやるせない。抜けようとしても抜けられない、「因果はめぐる」という言葉を思い浮かべた。いや、別に前世に何かあったとか、日ごろの行いが悪いとかいうことじゃなくて…まあ、殺し屋だから、世間的には「悪い」んだけれども。

  • 1980年頃の作品の復刊。
    グレイマンシリーズの原型みたいだ。

    ちょっとない読後感を味わっている。エピローグのようなラストがとにかくジワジワくるのだ。

  • 引退を決意した殺し屋に襲いかかる組織の罠、そしてかつての敵——「一行たりとも読み飛ばせない」ほどのストイックなまでに簡潔な文体による、静かなる感情の崩壊速度。マンシェットの最高傑作。

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