デカメロン 上 (河出文庫 ホ 6-1)

  • 河出書房新社
3.89
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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309464374

作品紹介・あらすじ

ペストが蔓延する十四世紀フィレンツェ。郊外に逃れた男女十人が面白おかしい話で迫りくる死の影を追い払おうと、十日のあいだ語りあう百の物語。最高の名訳でおくる不滅の大古典。全訳決定版、第一弾。

感想・レビュー・書評

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  • 著者、ボッカッチョさん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。

    ジョヴァンニ・ボッカッチョ(伊: Giovanni Boccaccio, 1313年6月16日 - 1375年12月21日)は、中世イタリア、フィレンツェの詩人、散文作家、イタリアルネサンス期のヒューマニスト(人文主義者)である。
    代表作は1349年から1351年に書かれた『デカメロン』(十日物語)。

    この本の内容は、ペスト禍を逃れて郊外の館にこもった男女10人が語る物語。
    つまり、コロナ禍のもと生活する私たちに酷似している状況の中で書かれた作品です。

    ですが、実際に読んだのは、43ページまで。
    長編につき、読み通すのは大変です。


    以下は、この本の内容です。(コピペ)

    ペストが猖獗を極めた十四世紀フィレンツェ。恐怖が蔓延する市中から郊外に逃れた若い男女十人が、面白おかしい話で迫りくる死の影を追い払おうと、十日のあいだ代わるがわる語りあう百の物語。人生の諸相、男女の悲喜劇をあざやかに描いた物語文学の最高傑作が、典雅かつ軽やかな名訳で躍動する。不滅の大古典、全訳決定版。

  • 14世紀、ペストの大流行で死の都と化したフィレンツェ。難を逃れた上流階級の男女10人(女7男3)が郊外の別荘で語った、10日間×10人(1日各1話)=全100話の物語。河出文庫で上中下巻、出揃ってから取りかかろうかとも思ったけれど、続きものの長編というわけではないので、とりあえず出た分から。上巻は10人が集まるまでの経緯と、3日目までの30話分を収録。

    序盤は真面目な教訓ものっぽい話もあったのに、進むにつれてどんどんエロネタが増えていって、結果なんかもう全部オチはそれ、みたいになっちゃってて笑えます。イタリア人は陽気で恋愛体質、というのは先入観かもしれないけれど、ゲス不倫だろうが無理強いだろうが騙し合いだろうが基本男女間のあれこれに関してはとてもおおらか。浮舟(※源氏物語)だったら身投げするような事態が起こっても、最終的にはそっちのほうが良くなっちゃったり、こと性欲に関してとても明るくて前向き。あと聖職者(尼僧含む)に関しては特に欲求不満で好色な感じで描かれており、これは一種皮肉でもあったのかな。

    この巻で一番インパクトがあったのは第二日第七話。美人すぎるお姫様がその美貌ゆえに、嫁入りの途次で攫われて奪われたのを発端に→別の男が彼女に目をつける→前の男を殺して新しい男が彼女を手に入れる→また別の男が現れて前の男を殺し彼女を手に入れる→というのが延々続き、最終的に、四年のあいだに「八人の男とおよそ一万回ほど共寝した姫」となってしまうわけですが、彼女の凄いところは毎回、前の男を殺されて別の男に連れ去らつつ、その都度なんやかんやで新しい男で満足してしまい、けして少女マンガのヒロインのように「初恋のあのひとが忘れられない、別の男に抱かれるくらいなら舌を噛んで死んじゃう!」みたいなことにはならないところ。それにしても4年で1万回は無理ではないかと思うのですが(苦笑)このような辛酸を辛酸とも思わず前向きに乗り越えたお姫様は無事生還し、処女のふりをしてしっかり他国の王様に嫁入りしましたとさ、というすごい話。たくましい。

  • ペストから逃れ、巣籠もりをするフィレンツェの10人の若者が、暇つぶしにそれぞれ1話づつ、10日間で100話の短い物語を語りあいます。

    語られる話は宗教がらみか艶笑話、もしくはその両方が絡んだ小噺が多く、やはりイタリアはキリスト教国なのだな、エロは必須なのだなと感じました。

    話の舞台はイタリア国内ほもちろん、フランスやイギリスはおろか、アフリカやアラブ圏にまでおよび、当時(14世紀!)のヨーロッパの世界観や多様性が感じられました。

    長年に渡って繰り返された十字軍の失敗とか、当時の教会の腐敗とか、歴史的背景を勉強しなおして読んだ方が良いのでしょうが、難しいですよね。Wikiで調べるのがやっとです。

    デカメロンはいくつかの翻訳本が出版されていますが、翻訳年が新しい平川祐弘先生訳の河出書房版を選びました。注釈や解説の充実ぶりが素晴らしいです。読書中、ずいぶんこれに助けられました。

    上巻は1日目から3日目の3日間のお話しです。
    女性の地位が恐ろしく低い中世のお話しですが、最初の3日間は女性か主導します。3日目の締めでは女王ネイーフィレが男性陣、特にフィローストラトに「皆様もわたしたちからなにかと道理をお習いになると良いと思います」とピシャリと言いきってます。カッコ良い。
    当時の上流階級の、かなり進歩的な考えの人たちだったんでしょう。

  • 出口さんがおすすめされていたので急遽購読。ペストが蔓延する中世のフィレンツェから、10人の淑女紳士が別荘地へと避難し、1人1日1話のお話を10日間行うというもの。まさにステイホーム状態。お話というのは、聖職者の恋愛、浮気や不倫、詐欺、敵を貶める策略、不義不忠といった下世話な内容ばかり。今で言うところの週刊誌ネタ。人生に役だつ箴言やありがたいお言葉があるかと思いきや、そんなものは全くなく、面白おかしく楽しく語っていて、ペスト禍にあるとは思えない。これは、そう言うものだとこちらも面白おかしく楽しむのが良い。今より宗教が大きな力を持っていた中世においても、みんなやることはやっているのだ。

    この作品は良くダンテの神曲と対比されることが多いらしい。解説によると、ダンテはキリスト教の熱心な信徒であり、神曲の中では「神の栄光」「罪深き人間」「来世利益」などが真剣に語られている。一方、ボッカチオはダンテを尊敬しながらも、つい欲望に負けてやらかしてしまう人間らしさを肯定している。デカメロン出てくる人々は完璧な人ではなく、身近に存在するかのような(ダメ)人間ばかり。

    面白いのは、100のお話しのいくつかと、デカメロン以降に書かれた作品のなかに似ているストーリがあること。日本でも井原西鶴の作品に良く似たものがあると言う(神父→お坊さん、騎士→サムライの違いはあるが)。井原西鶴がデカメロンを読んだわけはないので、洋の東西、時代を問わず、人間のすることも、人がくすりと笑ってしまう題材も、共通なんだなあと実感。

  •  ペストが猖獗を極めた十四世紀フィレンツェ。恐怖が蔓延する市中から郊外に逃れた若い男女10人が、面白おかしい話で迫りくる死の影を追い払おうと、十日のあいだ変わるがわる語りあう百の物語。(裏表紙より)
    まず、「デカ」はギリシャ語で「10」、「メロン」は「日」という意味だそうだ。(この本のことは前から知っていたのだが、長い間、結構真剣に(食べ物の)メロンが関係しているのだと思っていた笑)

     さて、内容についてだが、あからさまな性的描写(とは言っても、そのものど直球に言及しているわけではないのでキツい下ネタと言ったほうがピッタリか)が多く、少し不愉快に感じたのでので評価は星3。よく言えば、生の寿ぎ? 勿論、本作が十四世紀に書かれたのだということを考慮に入れねば適切な評価というものは出来ないだろうが、やはり(同じ言うにしても)ベールに包んで表現して欲しかったというのが正直な感想である。
     とはいえ、読んでいて愉快な話がとても多かった。登場してくる人物は多岐に渡り、バラエティ豊かである。印象に残ったのが、坊さん(キリスト教の僧侶)にロクな人がいないということである。女とイチャイチャしているような僧侶か、若しくは狡賢い人にいいように利用されるような愚鈍な僧侶かしかいないのである。日本でデカメロンに当たるような書物は今昔物語集のような気がするが(的外れだったらごめんなさい)、こんなにお坊さん(こちらは仏教の僧侶)はボロクソに描写されているのだろうか? 当時の社会で、よく焚書されなかったものだ。それとも、ペストの流行で教会の権威が堕ちていたということなのだろうか? また、何かにつけて女性は男性に劣っていると主張されるのが、目についた(昔の作品にはよく見られることだが)。このような社会では、女性の生き方は今とかなり違うだろうな、と想像した。

  • チャッペルレットの話と10000回寝た女の話がメタクソにおもしろいからみんな読んでくれ

  • 一つ一つの話が楽しんで読める。キリスト教の権威やペストの流行などの歴史的背景を踏まえて読むとさらに思うところがあり、歴史の教科書だけだはわからない当時を雰囲気を垣間見れているのではないかと想像すると、感慨深い。

  • ペストが流行する14世紀のフィレンツェで、10人の紳士淑女が語る、18禁多めな百物語。上巻は30話まで。

    1人1話ずつで1日に10話、10日で100話となる計算。
    1日目は機知に富む話が多く、何となく日本昔ばなしを連想した。2日目以降はその日ごとにテーマが設けられ、お題に沿った話が語られるが、次第に猥談味が濃くなっていく。3日目になるとほとんどの話にエロティックな要素がある。冒険譚や貴種流離譚などの内容も豊富で、どの話も面白い。海賊に捕まってどうこうというものも多く、アラビアンナイトなども連想されるが、ファンタジーな要素はない。

    個人的なお気に入りは、運命の不思議を感じる第二日第六話、第七話、第八話、第九話。恋愛ミステリーな第三日第七話。とにかく本書を読んで強く感じたことは、淫靡なエロ話は度が過ぎると笑い話になり、さらに突き詰めると人生訓になるのだな、と。

    ボッカッチョはダンテを敬ったことで有名で、本作にも影響が強く出ている。「神曲」の訳者である平川祐弘によって21世紀に入ってから翻訳された本書にはそのあたりの注釈が詳しく、他訳に対するアドバンテージがあるのでは(他訳は読んでないけど)。

  • 世界史でボッカチョを習うまでは、デカメロンと聞けば私には「少年隊」しか思い浮かびませんでした(ほとんどのかたの頭に?が浮かぶことでしょう)。

    ボッカチョは世界史ではルネサンス期の文学者として登場しますね。そして、本デカメロンは、ペストで人口の2/3が死に絶えたフィレンツェで男女10人が10日間にわたりとっておきの話を披露するというものです。

    全体に渡り艶話が多いのが特徴。とりわけ出家した修道士が性欲むき出しであれやこれやといそしむ話や、連れ合いが居る身なのに「真実の愛」とか何とかでもう手八丁口八丁で合体しちゃう話とか。700年弱前に完成した作品ですが、今読んでも大分ストレートだなあ、とたじろぐ描写です・・・。

    もちろんそれだけではなく、冒険談やとんち系の話もあります。私の上巻(1日目から3日目までの30話)マイベストはとんち系の話です。1日目第3話、ユダヤ人商人メルキゼデックが王様から、キリスト教・イスラム教・ユダヤ教のどれが一番優れているかと問われ首尾よく返答し難を逃れる話(素直に素晴らしいオチです!)。そういう幅広いバラエティは読んでいて飽きが来ません。

    ちなみに表紙の作者はボッティチェリ。『春(プリマヴェーラ)』や『ビーナスの誕生』が有名ですが、本作『ナスタージョ・デリ・オネスティの物語』は本『デカメロン』第4日に語られるお話。上中下巻を横に並べると一枚の絵になります。素敵。ちなみにプラド美術館収蔵だそうです。死ぬ前に一度行ってみたい美術館。ラス・メニーナスもあるし。

    ・・・
    人間の多様性がよくわかる作品です。
    日本文学でも類似の系統といえば、源氏物語、好色一代男、あるいは伊勢物語などが好みの方は楽しく読めるとおもいます。

  • 男女の交わりを上手いこと表現できているのが面白い。

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著者プロフィール

1313年イタリア生まれ。ルネサンス期を代表する文学者。著書に『フィローコロ』『フィアンメッタ夫人の哀歌』『コルバッチョ』など。

「2017年 『デカメロン 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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