精霊たちの家 上 (河出文庫 ア 8-1)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309464473

感想・レビュー・書評

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  • 大雑把に把握すると、女性三代記にして男性一代記(夫として父として祖父として)。
    女性はみな個性的。
    彼女らの性格は生まれつきのものに加え、育った時代の雰囲気の現れにもなっている。
    グラデーションとしては、牧歌的→政治的。夢→悪夢。
    三代の女性に対して背骨としてエステーバンがいるが、彼は夫として父として祖父として活躍呻吟する。
    もう少し詳しく把握すると、

    1-4章
     ……マジカルで牧歌的な生活。クラーラとエステーバンの世代。
    5-10章
     ……身分違いの恋愛と社会主義。ブランカ、ペドロ・テルセーロ、ハイメとニコラスの双子、アマンダの時代。
    11ー14章・エピローグ
     ……リアリスティックに展開する軍事クーデターと独裁。政治的惨劇。アルバ、ミゲルの時代。エステーバンは老いる。

    場所としては、
    首都。お屋敷町にある「角の邸宅(おやしき)」。
    南部ラス・トレス・マリーアスの農場。
    を行き来する。

    時代としては、
    資本主義→数年間、社会主義の大統領(ただし共産主義的独裁ではない)→軍部の独裁(独裁は一時のことだろうと資本家ははじめは楽観)
    wikipedieによれば、
    「チリ・クーデター(スペイン語: Golpe de Estado Chileno)とは、1973年9月11日に、チリの首都サンティアゴ・デ・チレで発生したクーデターのこと。世界で初めて自由選挙によって合法的に選出された社会主義政権を、チリ軍が武力で覆した事件として有名である。」→ピノチェト独裁政権。

    連想できるのは、「百年の孤独」「嵐が丘」「赤朽葉家の伝説」。
    エステーバンには「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のダニエル・デイ・ルイスをイメージしたりした。

    一冊で三色。大満足。

  • 冒頭からわりとインパクトある展開で、さすがという感じ。この第一章で最後まで読むか読まないか決まるんじゃないかてことぐらい。そして最後までこのシーンが何度も脳内に蘇るとゆう。
    この小説は今まさに読まれるべきなんじゃないかと思う。女は強い。

  • 男とちがって、一族の女たちは独自の気質を遺伝的に受け継いでいたので、人生の有為転変をとおしていろいろなことを学びとる必要はなかった。

    江國香織さんおすすめの一冊。ものすごく面白かった。マルコス伯父さんも愉快だったけど、精霊たちの時代、からがとても。
    百年の孤独は挫折したけど、精霊たちの家のほうが比べものにならないくらい魅力的。
    クラーラの時間の使い方がいい。
    普段はどこかふわふわしているのに、必要なときは機敏に一生懸命動ける。
    世界の裏側ではなくて手の届く範囲の人を必死で助ける。
    自分の力の使い方についてバランスがとれている。
    なんて優しくて愛に溢れた女性なんだろう。

    男たちは物理的な力で世界を屈服させようとするけれど、女たちはそんなものを軽々と超えて本質をとらえる。
    相手が探して欲しくない時は見つからない、なら仕方ないと思えるような。

    この時代の大変さを考えるにうらやましくは決してないけれど。
    労働者や女性や弱者に立ち上がれ、と強要するのではなくて、強者に、弱者から搾取してはいけません、女の子には優しくしましょうって教育するのが正解だと思う。現代だから言えることですが。

    一方でやろうと思えば、地震の被災者を助けることも、農場と町ひとつ建設することもできるって人間の底力のすごさを感じました。現代人はどこから手をつけたらいいかわからない人ばかりじゃないですか?だってこの社会が、毎日お世話になっている技術がどういう仕組みか理解できなくなっているから。なんていうんだっけ。プラグマティズム?

    魔法は一部の人にしか使えないけれど、科学は誰にでも使えるように変換することに注力したのが違いなんだろうか。これもなんていうんだっけ。ユビキタス?

    南米の魔術は独特で、カリブの海賊はギリシア神話の魔女カリュプソに出会うし、ブードゥー教の霊媒術で初心者も無理やり除霊することができたりする。
    青年は大体、メディエータのジェシーのイラストでイメージする。

    革命家の秘密の恋人、とかロマンティックな設定のせいかなあ。下巻もいそいそと手に入れたので楽しみ。
    その次はウンベルト•エーコ読むんだ。

    ラテンアメリカ文学最高。
    あんまり日本の戦国時代に気持ちがむかない。ので大河ドラマも挫折してる。

    この本で、読み終わった本444冊目!

  • 超能力を特段驚異のモノとして扱わず、そういう人もいるよねーな描き方で物語に自然に埋め込むのは、昔の南米の田舎のリアルなのか。精霊と共に彼らは生きていたのか。

  • うーん、、、誰ひとり登場人物に共感や理解ができない。
    時代背景や展開上、仕方のない部分も多いとは思うけど、それにしてもという印象。
    下巻は断念。

  • 当時の南米の暮らしぶりがわかる

  • どぎつくないけどラテンアメリカ

  • 押し寄せる出来事の多さに圧倒される.詳しくは下巻で.

  • 下巻に感想記入です。

  • 著者:Isabel Allende
    訳者:木村榮一

    【書誌情報】
    河出文庫 ● 352ページ
    ISBN:978-4-309-46447-3 ● Cコード:0197
    発売日:2017.07.06

    予知能力を持つクラーラは、毒殺された姉ローサの死体解剖を目にしてから誰とも口をきかなくなる――精霊たちが飛び交う神話的世界を描きマルケス『百年の孤独』と並び称されるラテンアメリカ文学の傑作。
    http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309464473/

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著者プロフィール

1942年、ペルーのリマで生まれる。生後まもなく父親が出奔、母親とともに両親の祖国チリに戻り祖父母の家で育つ。19歳で結婚後、雑誌記者となるが、1976年、アジェンデ政権が軍部クーデターで倒れるとベネズエラに亡命。82年、一族の歴史に想を得た小説第一作『精霊たちの家』(河出文庫)が世界的ベストセラーとなり、『エバ・ルーナ』(87)、『エバ・ルーナのお話』(89。以上白水Uブックス)など、物語性豊かな作品で人気を博した。88年、再婚を機にアメリカへ移住。その他の邦訳に『パウラ、水泡なすもろき命』(国書刊行会)、『天使の運命』(PHP研究所)、『神と野獣の都』(扶桑社)、『日本人の恋びと』(河出書房新社)など。

「2022年 『エバ・ルーナのお話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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