ザッヘル=マゾッホ紹介 (河出文庫)

制作 : 堀千晶 
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 38
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309464619

感想・レビュー・書評

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  • サディズムの語源となったサド、マゾヒズムの語源となったマゾッホ、それぞれの作品を紐解きながら、サディズムとマゾヒズムについて哲学的に分析された1冊。最近あまり小難しい本を読んでいなかったのでなかなか頭に入ってこなかったのだけど、昨今の日本人のようにお気楽にドSだドMだと言っていいレベルの嗜好じゃないことだけはよーくわかりました。

    サディズムとマゾヒズムはワンセットで語られることが多いけれど、実はこの二種は正反対なものでも、一対のものでもない。わかりやすくいうと、ドSの人間と、ドMの人間がいたとして、では二人の利害関係は一致するので相性バッチリですね!とはいかないということ。ドSの人間はドMをいたぶって喜ばせても自分は楽しくないし、ドMの人間はドSに無闇にいたぶられても別に嬉しくない、なるほど、なんかわかる気がする。ドSは相手が嫌がるからこそいたぶりたいのだし、ドMの側からすれば暴力や拷問とプレイは別物。これ両者の需要と供給は全然一致しません。

    ノーマルな異性愛・同性愛と同じく相手次第、というのとも厳密にはまた違って、なかなか定義が複雑。まあ現実そこまで厳密に自分の嗜好を分析したうえで実践している人はいないだろうけど、そこを文学作品から読み解くわけですね。

    個人的に、サドの小説を読む限りではサディストのほうは犠牲者を選ばない=好みのタイプなら誰でもいい傾向があるけれど、マゾヒストのほうは拷問者をかなり選ぶ上に契約を結びたがったりしてやっぱり痛い目に合されるほうはどっかにボーダーラインを引かないと死んだら洒落にならないという慎重さと同時に、演劇的な要素がある気がする。遊びとして楽しむ余裕というか一定のルールが必要なのかと。そこも踏まえて比較するならマゾッホのヴィーナスとセットで語るべきは本来サドの作品ではなくレアージュのO嬢のほうが適切なのかも。

    正直、なるほどと思う部分も若干ありつつ、サドもマゾッホもそもそも男性だし、引用されているフロイトの分析も、本書の著者も当然男性目線、もちろん時代背景の差もあるけれど、女性の私が読んでもピンと来ない部分も多々ありました(とくにフロイト)

    補遺として収録されている、マゾッホの体験記や実際の奴隷契約書、ワンダの手記などはなかなか興味深かった。サドに比べてマゾッホは作品数自体が少ないのか翻訳作品少ない気がするしあっても絶版だったりもするし、河出文庫さんできればそっちの救済もお願いします。

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著者プロフィール

1925年パリ生まれの哲学者。1995年、自ら死を選ぶ。スピノザやニーチェの研究を通じ西欧哲学の伝統を継承しつつその批判者となる。主著ーF・ガタリと共著『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』『哲学とは何か』他。

「2018年 『ザッヘル=マゾッホ紹介』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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