島とクジラと女をめぐる断片 (河出文庫)

制作 : Antonio Tabucchi  須賀 敦子 
  • 河出書房新社
3.79
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本棚登録 : 107
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (161ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309464671

感想・レビュー・書評

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  • とても薄い本だけれど、一口にはとうてい要約できない。けれども本書は自分にとって決定的な影響を与えた本だということは断言できる。それはこれから本書の意味を探っていくかいのある本だという意味ではない。謎は謎のままに、無意味は無意味のままに。「敢然たる無意味」。そんな言葉が思い浮かんだ。
    読みながら、気まぐれに、ハサミで紙を切るイメージが思い浮かんだ。しかしその結果、できあがった形は、まさに、偶然できた、島のかたち。

  • ひとつながりの小説ではなく、タイトルどおり、島(アソーレス諸島)と、クジラ(捕鯨船とその乗組員)と、女(港の男女の恋愛)をめぐる「断片」。原題とは全く違うのだけれどこれは翻訳者・須賀敦子が素晴らしい。須賀敦子の文章で読めるからこそタブッキの魅力を日本人読者は堪能できるのだと思う(いや私はイタリア語もポルトガル語もわかりませんけどね)

    独立した短編として読めるものもあるし(「アンテール・デ・ケンタル」「ピム港の女」)、作者の捕鯨船体験記みたいなのも(「捕鯨行」)それはそれで面白いけれど、やはりこの「断片」という形式が全体をひとつの作品として形成していることに意味があるように思う。

    さまざまな引用、突然登場するアルベルティーヌとマルセル(※プルースト)の会話だったり、クジラから見た人間だったり、全部ひっくるめて、捕鯨というとても現実的な行為や、ある男の人生などまでが幻想的に見えてくる。不思議。

    ※収録
    まえがき/ヘスペリデス。手紙の形式による夢
    Ⅰ 難破、船の残骸、海路、および遠さについて
    アソーレス諸島のあたりを徘徊する小さな青いクジラ――ある話の断片/その他の断片/アンテール・デ・ケンタル――ある生涯の物語
    Ⅱ クジラおよび捕鯨手たちについて
    沖合/法規/捕鯨行/ピム港の女――ある物語
    あとがき――1頭のクジラが人間を眺めて

  • 2018-3-17

  • 役に立たない原典探しでたどり着いた本。読んで良かった……。会話文と地の文がひと続きになっているだけでなく虚構と現実もひと続きになっていて、詩情におおいに溢れており、女をめぐる断片とクジラの断片には感嘆させられてしまった。

    女は名前以外全て嘘をついていたということは、下男だと言い放ったのも嘘だったのだろう。そう思うと、裁判で真実が明らかにされて男は後悔したのかもしれないが、大陸から追いかけてきた奴から女が逃げるためには男に銛で殺してもらうしかなかったのかもしれないので、確かに男(ルカーシュ・エドウィーノ)と女(イェボラス)の間には愛があったのかもしれない。

    クジラから見た人間の姿は本編を総括するのに良かった。ついでに訳者あとがきも解説も本書の余韻を損なわない面白さでよかった。

  • 第9回毎週ビブリオバトル
    チャンプ本

  • 短編集といえばいいのか、断章を集めたユニークな文学といえばいいのかよく解らないが、読んでいると不思議とのんびりした気分になれる。また、須賀敦子の翻訳がいいんだよなぁ……うっとり……。

  • クジラと捕鯨を営む島での聞いた話の断片の集まり。

    その断片の海の中を読者は岸辺なくたゆたう。

  • この作家の面白さをわかるには至らなかった。
    ---
    「この本の主題は、主としてクジラだが、生き物としてのクジラというよりは、むしろ隠喩としてのクジラだと言いたい。」

  • 単行本で既読。

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著者プロフィール

1943年イタリア生まれ。現代イタリアを代表する作家。主な作品に『インド夜想曲』『遠い水平線』『レクイエム』『逆さまゲーム』(以上、白水社)、『時は老いをいそぐ』(河出書房新社)など。2012年没。

「2018年 『島とクジラと女をめぐる断片』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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