- Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309464725
感想・レビュー・書評
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「バーで出会った殺人アドバイザー、夫の新発明を試した妻、ペーパーナイフから現れた宇宙人…。雑誌の黄金時代に執筆された最良のエンタテインメント全14編を収録した、魅惑の新発見作品集。」
耳の中の親友 9−27
FUBAR 29−48
ヒポクリッツ・ジャンクション 49−67
エド・ルービーの会員制クラブ 69−138
セルマに捧げる歌 139−162
鏡の間 163−185
ナイス・リトル・ピープル 187−201
ハロー、レッド 203−223
小さな水の一滴 225−249
化石の蟻 251−275
新聞少年の名誉 277−290
はい、チーズ 291−300
この宇宙の王と女王 301−327
説明上手 329−344詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
全編すごく面白い。落語のようなテンポの良さ、それぞれのオチの意外さ、ハッピーエンドもバッドエンドもありつつどこか優しさに満ちた雰囲気も全てがよかった。
特に小さな水の一滴がかなり良い、まさかの大逆転にニヤリとした。 -
ヴォネガットの短編ってこんなに面白かったのか!SFっぽいのばっかしか読んでこなかったから衝撃的だ。
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カート・ヴォネガットの初期の短編集。着想はどれも面白いものの、大きな物語が始まる前に終わったという印象が強く、インパクトはやや薄めである。一番よかったのは冒頭の「耳の中の親友」で、補聴器が人間の内面を暴き、語りかけてくるという、siriやSNS時代を予見させるかのような一遍でアイディアは面白かったのだが、そこから何かが起こるわけでなく、日常の異分子で片付けられたのが個人的には乗り切れなかった。あとがきでスケールよりも寓意性を取った短編であると書かれていて、それには納得したものの、その機械が蔓延る未来への恐怖感とそれを見たい願望のほうが勝ってしまったので肩透かしというのが正直な感想である。基本的にはヒューマニズムに溢れており、バッドエンドは少なく、ハッピーエンドが多かったのもそれに拍車をかけたのかもしれない。悪くはないしクオリティも高いが好みではなかった。
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ヴォネガット初期未発表作品集。しかし、粗削りなところは全く感じられない。後年の実験的な作風はそれほど感じさせず、むしろよくできている、洗練されている、といった言葉の方が似つかわしい。ふつうは逆だろう、と思うのだが、解説の円城塔が書いているように、それがヴォネガット流のやり方なのかもしれない。ピカソが、実はデッサンをやらせても超一流だったように、ここからスタートしたからこそ、カウンター的な作風に発展していったのかもしれない、とも思ったりした。
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2018年47冊目。
これまでで一番好きな短編集になった。毎晩一つお話を読むのが楽しみだった。
特に「セルマに捧げる歌」は至福の23ページ。ユーモア溢れる展開から、音まで聴こえてきそうなクライマックスの盛り上がり、そして「...ジャンッ!!」という感じの完璧な終え方。にやけが止まらなかった。
ブラックな作品も少なくはないけど、基本的に終え方が本当に優しい。長編『タイタンの幼女』でもそうだったけど、終盤の一言にすっと救われる。
ヴォネガットの魅力にすっかりはまってしまった。来週から、全4巻の短編全集が発売するということで、絶対に買って読もうと思っている。長編作品も全部読みたい。
村上春樹さんも強く影響を受けている作家のようで、確かにどことなくその感じを受けた。 -
人間の最低な部分を描ききってなお人間への愛に溢れたまなざしを絶やさない。ヴォネガットを読むと自分が見守られている気がするし、他人を見守ることができる気がしてくる。
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お蔵だし短編集。「ヒポクリッツ・ジャンクション」が好み