- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309467610
感想・レビュー・書評
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悪趣味。
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読みにくかった。私には難し過ぎたのか、途中で詩が出るやつ、私にはダメだったが、
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ロシアのウクライナ侵攻から2028年まであと6年。
きっと大日本帝国復活でも書けるよえんやさ。 -
ロシアの小説の翻訳だ。作品は2006年に登場したそうだ。2020年代後半を想定していると見受けられる、所謂「近未来SF」ということになる小説だと思うが、何か独特な、やや不気味な感じもした物語だ。“物語”というよりも、「独特な“近未来”への予感めいた想像に一定の形を与える文章」というような気がしないでもなかった。所謂「“ディストピア”な物語」というような感なのかもしれない。
本作冒頭に近い辺りから読み始めて、何やら酷く不思議な気がした。作中世界の独自な通称を冠せられているような場合も在るが、それでも「現代」の様々な小道具が普通に使われているように見受けられる。その他方で、何やらやっていることが「ロシア史の中、16世紀頃の“イワン雷帝”の時代」というような様子なのだ。凄く不思議な世界が描き出されているような気がした。
“イワン雷帝”は「専制君主の中の専制君主」という感の皇帝であったのだが、“親衛隊”(オプリーチニキ)なるものを駆使して、貴族の勢力を牽制し、同時にそれが敵対的な勢力に対する暴力装置のようにもなって、独裁的権力が強まったとされる。
この小説では、その“親衛隊”(オプリーチニキ)なるものが登場し、主要視点人物はその“親衛隊”(オプリーチニキ)なるものの上席の隊員である。故に作品題名が『親衛隊士の日』となっているのだ。
作中世界では、如何いう経過なのか判らないが、或る時期からロシアが「帝政」になっている。皇帝陛下やその家族、一族が在って、貴族や平民というような身分制度のようなモノが在って、様々な機関が「歴史用語?」のような呼称になっていて、“親衛隊”(オプリーチニキ)なるもの等、特別な任務を負う機関も設けられている。そして「ソ連時代」が「赤の乱」と称され、「ソ連後の時代」が「白の乱」と称されている。要は“乱”が正された新しい時代とされている訳である。
こういう世界で“親衛隊”(オプリーチニキ)が色々な任務を果たそうとし、隊員達の日頃の様子が描写される。そうした中、飛行機から便器のようなモノまで、何でも造っている中国が“天子”なる独裁的指導者を戴く巨大な国として在る世界となっている。ロシアでは“長城”なるモノを幾つかの国境地帯に設けている。文学や舞台芸術は厳しい検閲の下に在り、何やら奇怪な風俗も色々と在る世界だ。
描き出される世界のグロテスクな感じは、「目を背けたいようでいて、怖いモノ見たさで離れられない…」というような様子で、所謂「“ディストピア”な物語」というように思った。こういう物語に触れると「“人間”が“人間らしく”在る」とは如何いうことなのか、「人の歓び」、「生きる悦び」というのは如何いうことなのかという、「誰も正しい、または正しそうな回答例」を知らないと感じられるような問いを思い付かないでもない。
こういう「“ディストピア”な物語」なのだが、作中世界の「独裁的な権威に包まれた指導者が君臨する国」、「大っぴらに公的資産が“私物化”されてしまっているような社会」というような様子が「近未来を予測?予測が或る意味で??」というようにも見える。
少なくとも自身としては「似たような感じ方」に余り思い当たらない、何やら「不思議な読後感」という独特な小説だと思う。