すべての、白いものたちの (河出文庫)

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  • 河出書房新社 (2023年2月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784309467733

みんなの感想まとめ

生と死、孤独と再生をテーマにした本作は、短い断片から成る詩的な文章で、読者に深い感動を与えます。著者は、生後間もなく亡くなった姉の記憶を通じて、ワルシャワの再建された街と朝鮮半島の歴史を交差させ、命の...

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で何百人待ちだったかなぁ…
    忘れちゃうくらいに待ちに待った本書。

    昨日、「涙の箱」を先に読んじゃいましたがが…
    そうです。
    本書が「アレ」です♪

    いやぁ~待ったかいがありました!
    ってか、待たずに買えばよかった。

    ☆☆☆☆☆☆☆つけたい程に、素晴らしい
    (*´ ω`*)

    本当は三連休最終日、朝からツタバに行こうと思って早起きしてたんですσ(・ω・`)
    読みたい新刊があるんですが、土日続けて外出してたのと、少し体も休めたかった。
    何より、本書を読みたかった。

    出かけずに正解でした。

    白という色に、これほどまでに多くの命と記憶が宿っていたことを、私はこの一冊で知ることになりました。

    ハン・ガン『すべての、白いものたちの』は、物語ではなく、祈りであり、鎮魂であり、そして静かな問いかけである。
    ページをめくるたび、雪のように音もなく降り積もる言葉たちが、私の心の奥に触れてくる。

    静かに読み終えた。
    ページを閉じたあとも、胸の奥に白い余韻が残り続ける。

    巻末に収められた作家自身の言葉、斎藤真理子さんの補足、そして平野啓一郎さんの解説を読んだことで、作品の深層にある静かな祈りと問いかけが、さらに鮮明に立ち上がってきた。
    気づけば、最初のページに戻り、もう一度読み直していた。

    図書館で借りた一冊ではあるが、本書は有隣堂で購入し手元に置いておこう!
    いつでも読み返せるように。
    白いものたちの静けさに、何度でも身を浸したくなる。
    なぜなら、この本は「読む」ものではなく、「抱く」ものだから。
    白いものたちの静けさに、何度でも耳を澄ませたくなる。

    (´ρ`*)コホン
    では、本書の内容を含めた感想を。

    この作品は、物語というよりも、記憶と感情の断章であり、詩的なエッセイのようでもある。
    著者が「白いもの」をひとつずつ挙げていく構成は、まるで喪失の記録であり、鎮魂の儀式のようだ。
    雪、塩、米、産着、月、氷、息——それらはすべて、亡き姉の記憶と結びつき、著者自身の存在の根源に触れていく。

    生後すぐに亡くなった姉の不在が、著者の「生」の意味を問い直す契機となり、「もし姉が生きていたら、私はこの世にいなかったかもしれない」という言葉には、存在の重さと儚さが凝縮されている。

    ポーランド・ワルシャワでの滞在も印象的だった。
    ナチスによって破壊された街が、土台の記憶を残しながら再建されていく姿に、著者は「喪失と再生」の象徴を見出す。
    異国の地で、言葉の通じない空間に身を置くことで、著者は自身の内面に深く潜っていく。
    その静かな孤独が、白いものたちへの眼差しをより鋭く、より優しくしているように感じた。

    白は、単なる色ではない。
    それは魂の象徴であり、痛みと祈りの器である。
    母のために白いチマとチョゴリを燃やす場面では、青い煙が空に溶けていく描写が、まるで魂が衣を纏って天に昇るように感じられた。
    「しなないで しなないで おねがい」という言葉の繰り返しは、失われた命への切実な呼びかけであり、残された者の痛みの色でもある。

    この作品は、声高に悲しみを語るのではなく、まどろみのような筆致で、生活の温もりと哀切を織り交ぜながら、読者の心に静かに染み入る。
    白いものたちの中に、私たちは失われた命と、失われなかった命の意味を見つける。
    そして、記憶とは何か、存在とは何かを、そっと問いかけられる。

    この本は、私にとって祈りであり、記憶であり、そして生の証。



    <あらすじ>
    ハン・ガンの『すべての、白いものたちの』は、詩的なエッセイと断章形式の物語が交錯する、静謐で深い鎮魂の書です。著者は「白いもの」の目録を作ることから語り始めます。雪、塩、米、産着、息、月、氷——日常に潜む白のイメージを通して、亡き姉と母、そして自身の記憶と向き合っていくのです。

    物語の核には、生後まもなく亡くなった姉の存在があります。人里離れた家で母が一人で出産し、助けも呼べず、祈りも届かず、娘は息を引き取る。真っ白な産着はそのまま白装束となり、著者は「もし姉が生きていたら、私はこの世にいなかったのでは」と問いかけます。姉の不在が自身の存在と重なり、魂の奥底に静かに波紋を広げていくのです。

    ポーランド・ワルシャワでの滞在も重要な背景です。ナチスに破壊された街が、残された土台をもとに再建された姿に、著者は「喪失と恢復」の象徴を見出します。その経験が、姉の記憶を呼び起こし、白いものたちへの眼差しをさらに深めていきます。

    本書に登場する白は、単なる色ではなく、魂の象徴であり、痛みと祈りの器です。例えば、亡き母のために白いチマとチョゴリを燃やす場面では、青い煙が空に溶けていく様子に、魂が衣を纏うという信仰が静かに描かれます。「しなないで しなないでおねがい」という言葉が繰り返されるように、白は失われた命への呼びかけであり、残された者の痛みの色でもあるのです。

    この作品は、声高に悲しみを語るのではなく、まどろみのような筆致で、生活の温もりと哀切を織り交ぜながら、読者の心に静かに染み入ります。白いものたちの中に、私たちは失われた命と、失われなかった命の意味を見つけるのです。

    本の概要
    アジア初のブッカー国際賞作家による奇蹟の傑作が文庫化。おくるみ、産着、雪、骨、灰、白く笑う、米と飯……。朝鮮半島とワルシャワの街をつなぐ65の物語が捧げる、はかなくも偉大な命への祈り。

    ノーベル文学賞受賞!

    ハン・ガン作品、どれから読んだらいいかわからない……という方には、個人的には『すべての、白いものたちの』をお勧めしたいです。
    詩のように淡く美しく、それでいて強く心をゆさぶる名作です
    ーー岸本佐知子

    生後すぐに亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、朝鮮半島の記憶が交差する。
    文庫化にあたり、訳者の斎藤真理子による「『すべての、白いものたちの』への補足」、平野啓一郎による解説「恢復と自己貸与」を収録。

    著者について
    ハン・ガン
    1970年生まれ。韓国の作家。邦訳著書に『菜食主義者』(李箱文学賞、ブッカー賞受賞)『少年が来る』『ギリシャ語の時間』『すべての、白いものたちの』『回復する人間』『引き出しに夕方をしまっておいた』等。

    斎藤 真理子(さいとう・まりこ)訳
    翻訳家。訳書にチョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』チョン・セラン『フィフティピープル』チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』パク・ソルメ『もう死んでいる十二人の女たちと』等。

    • ヒボさん
      知乃介さん、こんにちは。
      海外の作品も手にしますが、もちろん原文で読めるはずもなく…
      訳し方で全く雰囲気も内容も違ったものになっちゃいますか...
      知乃介さん、こんにちは。
      海外の作品も手にしますが、もちろん原文で読めるはずもなく…
      訳し方で全く雰囲気も内容も違ったものになっちゃいますから、訳者さんって大切ですよね。
      そういう意味でも本書は素晴らしかったです。
      2025/09/17
    • ANRIさん
      いいねありがとうございます!
      この本私も気になっていたのでレビュー参考になります!
      フォローもさせていただきました。
      いいねありがとうございます!
      この本私も気になっていたのでレビュー参考になります!
      フォローもさせていただきました。
      2025/09/20
    • ヒボさん
      ANRIさん、コメント&フォローありがとうございます♪
      ANRIさん、コメント&フォローありがとうございます♪
      2025/09/20
  •  ハン・ガンさん 祝ノーベル文学賞受賞!
     本書を一読後、レビューが困難で随分悩みました。「あとがき」「訳者補足」「解説」を経て、じわじわと理解が深まったものの、二度読み必至(己の読解力不足!)かもしれません。鎮魂と恢復の繊細な物語に、自分の遠い記憶を重ねていました。

     3章構成で、全て短い断片的な文章から成り、詩ともエッセイとも受け取れますが、通読して初めて、著者の死生を伴う来歴が窺われる構造の輪郭が明瞭になり、私小説に近い印象と味わいでした。

     著者は、本書を<清潔な「白」ではなく、生と死の寂しさをあふれるほど内に秘めた「白」についての作品>と語っています。「白」の中身がとても深いです。生後2時間で早世した姉の記憶を軸とし、廃墟から再生したワルシャワの「白い」 都市で考え続けます。

     私(著者)の生と体を彼女(姉)に貸し与え甦えらせることで、死者を悼み、孤独と静けさに向き合いながら共に生きる勇気を描き切っているようです。
     生者と死者の視点を変えながら、丹念に「白いもの」を描いていく過程に、誰しもが抱えているであろう喪失感や孤独が重くのしかかりますが、希望と光の兆しがあり、癒しにつながる気がしました。

     ノーベル文学賞受賞を報じる新聞記事の、「物語の多くに共通するのは、社会の抑圧に対して静かに抵抗する"傷ついた人たち"の姿」には、韓国の歴史・政治的背景があるのでしょう。
     さらに、「彼女の小説には常に、心に深い傷を負った人物が登場し、肉体と魂の相克の問題が主題とされる」とあり、本作を読んで妙に納得しました。

    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      ヒボさん、こんばんは♪
      本作、実に深い内容でしたね。
      ハン・ガン作品、次に『少年が来る』を読んで
      もう少し光州事件を知りたく、ネット配信で映...
      ヒボさん、こんばんは♪
      本作、実に深い内容でしたね。
      ハン・ガン作品、次に『少年が来る』を読んで
      もう少し光州事件を知りたく、ネット配信で映画を
      2本『タクシー運転手』『1987,ある闘いの真実』を
      観ました。感動と衝撃でした…
      2025/09/15
    • ヒボさん
      羨ましい流れですねー
      …φ(..)メモメモ
      羨ましい流れですねー
      …φ(..)メモメモ
      2025/09/15
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      機会がありましたら是非〜〜笑
      機会がありましたら是非〜〜笑
      2025/09/15
  • 著者、ハン・ガンさんは、ウィキペディアによると、次のような方です。

    ---引用開始

    韓 江(朝鮮語: 한강、Han Kang、ハン・ガン、1970年11月27日 - )は、韓国の小説家。光州広域市生まれ。父は小説家の韓勝源。2024年に、アジア人女性として初めてノーベル文学賞を受賞した。

    ---引用終了


    で、本作の内容は、BOOKデータベースによると、次のとおり。

    ---引用開始

    おくるみ、うぶぎ、しお、ゆき、こおり、つき、こめ…。「白いもの」の目録を書きとめ紡がれた六十五の物語。生後すぐ亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、朝鮮半島の記憶が交差する、儚くも偉大な命の鎮魂と恢復への祈り。アジアを代表する作家による奇蹟的傑作。

    ---引用終了


    本作の著者は、2024年のノーベル文学賞の受賞者になりますので、最近の受賞者を確認しておきます。

    2021年 アブドゥルラザク・グルナ
    2022年 アニー・エルノー
    2023年 ヨン・フォッセ
    2024年 韓江
    2025年 クラスナホルカイ・ラースロー

  • 何とも言えない読後感が溢れました。
    小説なのか、エッセイなのかどう表現すれば
    いいのか分からないが、一つ言えるとしたら
    すごく偉大な作品を描かれたということです。
    詩的な文章が素晴らしいです。

  • やっと読むことができたこの作品。
    読む前から決めていたことは、静寂の中で一人で読むということ。
    すっかり春になってしまったけれど、寒い雪の日だったら尚、良かったなと思う。
    散文詩のような短い文章に加えて写真もあるので、文章のボリュームは少ない。それなのに読者に色々なことを考えさせ、想像させる力はすごい。
    感覚的に受け止めたものを言葉にするのがとても難しくて、なかなか感想を書く手が進まないので困ってしまうけれど…
    今、感じているのは、「白」が決して無色ではないのだということ。「白」という色が持つ圧倒的な力を感じて、それに包まれている気分になっている。

    • ヒボさん
      ねこさん♪
      静寂の中で1人で読む
      (*-ω-)ウンウン
      納得です。
      ねこさん♪
      静寂の中で1人で読む
      (*-ω-)ウンウン
      納得です。
      2026/03/27
    • ねこさん
      ヒボさん、こんばんは♪
      騒がしい中で適当に読んではいけない本だと思っていたので、一人になれるタイミングを見計らっていました。今も余韻に浸って...
      ヒボさん、こんばんは♪
      騒がしい中で適当に読んではいけない本だと思っていたので、一人になれるタイミングを見計らっていました。今も余韻に浸っています(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)
      2026/03/27
  • ものすごく静謐で、読んでいると自分の体も本と一緒に音のない場所に沈んでいくかのような感覚があった。なるべく静かな場所で、できれば冬読むのがおすすめ。
    小説というよりは詩集に近く、映像が頭に浮かんでくるので、美術館で白にまつわるインスタレーションを見ているようでもある。
    特に雪の描写が多かった印象。今年から雪国に引っ越したので、ハン・ガンさんの紡ぐ美しく真摯な言葉を通してこれから雪や冬を感じられるというのは嬉しいことだ。外を歩く時、たまにはイヤホンを外して、自分でも五感を働かせて繊細に世界を感じてみたいとも思った。
    物語の構造?仕掛け?はあとがきを読んでからわかったのだけど、文学でしか表現できないことという感じで、ノーベル文学賞を取ったのも頷ける。

  • 冒頭『白いものについて書こうと決めた。』から始まる。

    おくるみ
    うぶき
    しお
    ゆき
    こおり



    作者の日記のような内容。
    それを自分から生まれてすぐに亡くなった姉が生きていたらと見立てて進んでいく。
    私自身これまで馴染みのない作品だった。
    確かに他の方のレビューにもある様に文章は美しかったが残念ながらグッとくるものがなかった。

    初読みの作家さんというより韓国の方の作品は初めて。
    そういう事もあり、これにめげず他の韓国文学も挑戦はしたい。

  • この本のおわりまで読んだあと、
    きっと多くの人がそうするように
    第2章をもう一度読んだ。

    最初に読んだときには気が付かなかった。
    私、や、私たち、の使い分けに気をつけていれば
    気付けたのかもしれない。

    吹雪の描写が、まるで違って感じられた。

    「弱々しく消え去ってゆく、
     そして圧倒的に美しいこれ」

    生きている実感は
    失ってからでなくては
    わからない(かもしれない)けれど、
    失ってからでは
    わからない(かもしれない)。


    もっと詩のような文章を、
    もっと書こうと思った。

    もっと正直に、
    もっと書こうと思った。

  • すごくすごく静かで、寒い…は褒め言葉ではないのかな。北海道の冬の雪景色の中にいるような読後感。
    とっても丁寧に選ばれた言葉が整然と羅列されていて、美しいなぁと感じました。
    物語のような、詩集のような。
    強い意志や痛み、怒りのような思い。反面、優しさや慈悲、希望も感じられました。

  • 遅読に良いと書いてあったので比較的ゆっくりと読んだ方だと思います。
    短いお話で成り立っていっていますが、どれもなんだか考えさせられるお話。
    彼女が生きていたら、とも考えるし、わたしも一応人の親なので十月十日お腹で育てた我が子が産まれてすぐに自分の元から居なくなってしまう悲しみ……。
    それを想像するだけでぐっと胸になにかが溢れてきました。
    本来ならもっともっと時間をかけてゆっくりと読むのが良いと思いますが、図書館で借りてきたものなので3日かけて読みました。内容的には1日あれば読めるものになっています。
    夜寝る前とか、どこか心が落ち着く時間に読むのがオススメです。

  • 今年ノーベル文学賞受賞された韓国人の作家さん、ハン・ガンさんの代表作品です。
    内容は、うぶぎ、米、灰、雪、息、など「白いもの」をテーマに、65個の物語がえがかれています。
    短い文章の中で、美しい表現に惹き込まれ、どこか作家の強い想いを感じさせるような印象がありました。

    あとがきや解説から
    作家にとって大切なある人に捧げた作品であることと、韓国語で「白」という本当の意味を知った後では、
    再読した時に色んな感情が込み上がり、気がつけば涙が出てしまいました。

    静かな部屋だったり、寒い冬の時期に読むとより一層この作品の美しさを実感できると思います。

  • 美しい言葉でつづられた詩集だが、痛みがひしひしと伝わってくる。
    冷たく、寒く、もの悲しい。
    生後2時間で亡くなった姉に思いを馳せ、生きながらえている自分に重ね合わせる。
    自分は生きていていいのか?
    白は生(産着)であり、死(寿衣)でもある。
    ※寿衣とは埋葬の時に着せる衣装との事

    韓国やワルシャワの歴史が背景にあるからこそ、悲しみを強く感じてしまった。
    ひどく心を揺さぶられる作品だった。

  • 『すべての、白いものたちの』の「白い」は、韓国語ではヒンという言葉だそうです。ヒンとは生と死の寂しさを、こもごもたたえた白さです。

    表紙の赤ん坊用の白い肌着のようなものが表すように、この本にはハン・ガンさんの生後二時間で亡くなった姉への思いが根底に流れているように思えました。しんしんと雪が降り、真っ白におおわれた場所の冷たさを味わうような感じがしました。白いものの表現は、姉への思いだけではなく、ワルシャワでの戦争がもたらした破壊や、人の死への鎮魂の思いも感じました。また、姉の存在と自分の存在意義の意味を考えているようにも思えました。

    うまく表現できないけれど、感覚に訴えるものがありました。ハン・ガンさんの文章は、じっくりと読んで理解したくなる不思議さがあるように思いました。

  • 生後すぐに亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、朝鮮半島の記憶が交差する。いのちのお話。

    連作散文集?詩集?とも思えるような、短い文章が散りばめられていて、時折モノクロの写真が挟まれる。これは小説なの?何だろう何が言いたいのだろう?と思いながらあっという間に読了。
    疑問だらけの私に巻末の訳者の斎藤真理子さんの補足、平野啓一郎による解説を読み、あーなるほどと妙に腑に落ちた。
    なので、読んで見たい方は、文庫版がオススメ。
    この小説でノーベル文学賞を取ったハン.ガンさん。
    以前菜食主義者を読んでいたので、作風はある程度予想できたのだけど、それ以上の驚きでした。
    読み物として期待せずwこの作風にシンパシーを感じて欲しいと思う。
    散文のような詩のような文章の空白に、目に見えない作者の強い想いを、読み手が受け取り、解釈していく物語なのかと理解しました。
    深い、深すぎる。

    • bmakiさん
      シンパシーを感じ取る本なのですね。
      深すぎるのかぁ。。。

      解説が平野啓一郎氏なのですか!?
      私は実は平野啓一郎氏の文章がとても好き...
      シンパシーを感じ取る本なのですね。
      深すぎるのかぁ。。。

      解説が平野啓一郎氏なのですか!?
      私は実は平野啓一郎氏の文章がとても好きで(*´꒳`*)

      好きなのに、新作を買っていないという。。。
      何故って?



      それは、短編だからです(笑)
      大好きな作家でも、短編がほんとダメで、買おうかどうかずーっと悩んでおります
      ヽ(;▽;)
      2025/07/03
    • ぴこさん
      出た!( *˙0˙*)۶まきさんの短編ダメ┓(*´゚ω`)┏
      そんなまきさんには、絶対合わないかと。
      でも、??って思っている間にすぐ読み終...
      出た!( *˙0˙*)۶まきさんの短編ダメ┓(*´゚ω`)┏
      そんなまきさんには、絶対合わないかと。
      でも、??って思っている間にすぐ読み終えちゃう。笑 空白が多いし、ページ内の文字数も少ない。( ˙꒳​˙ )ノ
      2025/07/03
  • 詩のような回顧録のような。
    不思議な構成。

    著者はとつとつと白いものについて綴る。
    真っ白ではない。
    もやのような。
    グレーがかった…そんな白。
    純粋や清らかさを表現した白ではなく、哀しみに包まれたような白。

    冬のワルシャワ。
    低く雲が垂れこめた世界は冷たい空気と静寂に包まれていて…。
    著者は生後すぐに故郷で亡くなった姉に想いを馳せる。
    若くして赤ん坊を亡くした彼女の母親にも。
    それからこの地に残された大戦の爪痕からその哀しみに触れては言葉を紡ぐ。

    それはまるで、白いものたちにさげる鎮魂歌のよう

    タイトルのあとには、読者たちはどのような言葉を続けようとするのだろう
    吟味されつくした訳文がとても美しく、余韻が半端ない

  • 感想…?物凄く書きずらいと言うか。

    ひと言で言うなら「出会えてよかった」
    文章は、美しく小説と言うより詩的で
    作者の言わんとしている人間の儚さ、愚かさ、
    手に取るように感じ取れた。

    物悲しくはない。
    読み手に委ねられた終わり。
    再読するのもまた良いでしょう

  • 多くを語らず、読者に深い思考を促す小説。
    詩のようであり、エッセイのようでもある。
    生後2時間で亡くなった姉への追悼、そして、自らの生を亡き姉に貸し与える。

    平野啓一郎さんの解説を読んで、こういう意図だったのかと思い知る。
    再読することで、作品の深みがよりいっそう伝わってくる。

  • 誰かに自分の身体を貸し与える、ということは、自分でない誰かの視点で存在する、ということだ。
    そうした視点で見たワルシャワは、新鮮で、より清らかで、より寒々しく、より白かっただろう。
    冷たさが身に染みるような小説。
    最後に吸いこんだ、姉の白い小さな息が、生命の繋がりの象徴として、崇高で貴重な存在感。

    日本には俳句や和歌があるせいか、散文詩の地位が低いように思う。世界的に見れば、文学の不動の頂点は詩であるにもかかわらず。
    このような小説が果たして日本では広く読まれるかどうか。

    斎藤真理子さんという優れた翻訳家のおかげで、韓国語で書かれたイメージを損なわずに読めることは喜ばしい。

  • 白いものが持つポエジーって確かにあるよなあ、と散文詩として読んでしまった
    解説を読み あながち間違えではないけど小説だしストーリーなんだよ、と教えてもらう

    街に雪が降り積もり踏み潰されたコンビニ前の雪を見れば中原中也の汚れつちまつた悲しみにが脳裏をよぎるし、早朝田舎で降り積もった雪あかりに胸をすくわれていると宮沢賢治の永訣の朝を想う
    産着は白だし死に装束もウェディングドレスも、祭り事でしめる褌も白いものだ
    白いものは ハレの日もケの日も我々に寄り添い続け祈りと願いを込められる色なのだな

    魂って、白い色かもしれないなあ…

    カレーうどん選んだ日に限って白Tってよくあるしなあ…

    吐く息が白いのを見てこれは魂なんだよ、って誰かが言ってなかったっけ?

    白いスニーカー履いたら泥に突入したくなるのはなんでだろう…

    都市生活における欲望のどろどろ坩堝と白い色も関係ありそうだ、汚したくなるもんな

    みたいな白いものにまつわる自分の引き出しを引っ張りだしながら楽しみました
    正解通り読みたいなら文庫、正解不正解気にならないならハードカバーを選ぶのをおすすめします

  • 死んだ姉と兄、今生きている自分。作者自身の過去をもとにした死と再生の散文小説。
    ----------
    ノーベル文学賞をとったハン・ガンさんの本、初めて読みましたが、これには胸を打たれました。
    もう初っ端からどくどく血が流れるような傷を見せてくる。
    死と破壊、生と再生を、ものすごく澄み切った筆致で、針のように鋭い言葉で、詩のような文章で、読者の心を刺して刺して刺しまくる。
    読んでいて胸に迫る内容と美しい文章が暴れ回って大変でした。ハン・ガンさんの本はほかにも読んでみようと思っているのですが、ちょっと次に手を伸ばすのを躊躇するような切れ味と重さでした。

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著者プロフィール

著者:ハン・ガン
1970年、韓国・光州生まれ。延世大学国文学科卒業。
1993年、季刊『文学と社会』に詩を発表し、翌年ソウル新聞の新春文芸に短編小説「赤い碇」が当選し作家としてデビューする。2005年、中編「蒙古斑」で韓国最高峰の文学賞である李箱文学賞を受賞、同作を含む3つの中編小説をまとめた『菜食主義者』で2016年にア
ジア人初のマン・ブッカー国際賞を受賞する。邦訳に『菜食主義者』(きむ ふな訳)、『少年が来る』(井手俊作訳)、『そっと 静かに』(古川綾子訳、以上クオン)、『ギリシャ語の時間』(斎藤真理子訳、晶文社)、『すべての、白いものたちの』(斎藤真理子訳、河出書房新社)、『回復する人間』(斎藤真理子訳、白水社)などがある。

「2022年 『引き出しに夕方をしまっておいた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ハン・ガンの作品

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