南方熊楠コレクション〈第1巻〉南方マンダラ (河出文庫) (河出文庫 827A)

著者 :
制作 : 中沢 新一 
  • 河出書房新社
3.36
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本棚登録 : 169
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309472065

感想・レビュー・書評

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  • 坂口恭平「自分の薬をつくる」つながりで。中沢新一の解題がめちゃ面白いとのことで手に取る。解題だけ読了。一度では頭に入ってこず。二度目に手書きメモで自分なりにぐりぐり図など描きつつ読みすすめてようやくこういうことなのかなと自分なりの理解を。「東洋のエピステーメーの全体構造の中からも、西欧にはなばなしい「現代」として実現されているものとは異質な、それよりもはるかに深遠な世界観を土台にした、新しい未来を生み出すことができるのではないだろうか」という思想をベースに構築された南方マンダラ。純粋に「心」だけ、純粋に「物」だけ、というのは存在しない。「心」と「物」が交わるところに「事」が生まれる。そして「事」が「心」と「物」にフィードバック。「心」「物」を統べて認識、記述、予言する「理」があり、また「大日如来」からの「力」で「心」「物」が生成され、「心」と「物」のむすびがほどかれると「事」のあとに「名」が残り、それにイメージが付与されると「印」になる、と。それらの運動が不断におこり、世界に底はなく、部分を見ても理解できず、全体で見なければならない、とついていくのがやっとで、それを自分の中でどう消化して、どう世界を見るかにつなげていくかはこれからだなあ。

  • 新書文庫

  • これ、セットになった全巻持ってんだけど。
    今いち・・・。
    時代が古すぎて・・・。

  • 始終、はだかで田辺の野山を走り回っていた、植物学者、民俗の研究家、天才、南方熊楠の端。
     出来れば全集が欲しい。

  • 南方熊楠については中沢新一さんの『森のバロック』をはじめ、噂には聞き知っていたものの、実際に読むのはこれが初めてである。この川で文庫版「南方熊楠コレクション」全5巻は中沢氏の編集によるもので、各巻の冒頭には結構ながい氏の改題が付されている。
    ということで、これを読むことは中沢新一氏のコンテクストにもとづいて南方熊楠を受容するという形になってしまいそうだが、中沢氏の思想はどうも単純すぎると思われる節があるので、できるだけそのコンテクストを離れて熊楠を楽しんでみたい。
    第1巻は、土宜法竜というえらいお坊さんに宛てた熊楠の書簡が集められている。お坊さん相手だから、主に宗教の話を繰り広げているのだが、熊楠の口調はだんだん遠慮が無くなっていき、礼を失して批判し、茶化しているのか、喧嘩を売っているのかと感じられる放言も見られるのだが、まあ、言いたいことを言っているのだろう。
    ちょっと衝撃を受けたのは、仏陀は仏教の開祖ではなく、仏教は仏陀よりもずっと前から存在し、仏陀のは仏教のごく一部に過ぎない。さらに言えば仏教は真言宗の一派に過ぎない、という断言だ。
    一般常識として、私も仏陀が仏教の開祖だと思っていたのだが、そう言われてみれば、大乗仏教は仏陀の教えからは隔絶があるし、中世期の仏教を見ても確かに、仏陀の教え(原始仏教)から、「仏教」はつねにはみ出しているように見える。
    「仏陀以前の仏教・真言宗」というのは本当にあったのか、どのようにあったかのか、ということを知りたいが、どうなんだろう。
    それにしても個々の手紙はやたらと長い。本1冊ぶんもの長大な手紙って、昔の人はそういうのも出したものなのだろうか。おまけに私の苦手な文語調(○○なり)なので、読むのに苦労した。読めない漢字、意味のわからない熟語もたくさんあり、本書に付された注釈だけでは理解しきれなかったが、辞書にあたることもなく、何となく読み通してしまった。
    とにかく南方熊楠という人は、知的多様さとバイタリティを持ち、妙に躍動感があって、「なんだか変だけど面白いオヤジ」というイメージだ。
    「南方マンダラ」はすこぶる画期的で重要なものだというのが中沢新一氏のスタンスだが、この本だけで判断すると、「おもしろい思いつき」という程度に感じた。しかしこの「おもしろさ」は何か引き込まれるようなところがある。今しばらく、南方熊楠を呼んでみよう。

  • 68年前の1941年12月29日に巨星堕つ。南方熊楠が74歳の生涯を閉じました。

    もうお分かりのように、12月20日に終わった村上もとか原作のTVドラマ『JINー仁』の主人公の南方仁という名は、この南方熊楠から取っているのですが、それにしても脚本家の森下佳子は大胆不敵にも、原作とは似ても似つかない歪曲した代物を作ってくれたものですが、大体そもそもまだ終わっていない原作のマンガを11話のドラマでどうまとめようというのか注目していたのですが、南方仁と友永未来と野風との恋愛ものに変えたり、南方仁が常に元いた現代を過剰に意識する情けない存在にしたりという、マンガにない新機軸を出してきても、ただぶち壊しただけで何の感心もできないものになってひとり憤慨していました。でも、そう思ったのは私だけで、周りのみんなは今年のドラマの中でも最高視聴率を取る位に、注目して話題にして見ていたようですが。

    ところで、南方熊楠は私の中で今まで幾度となく接触する機会があったにもかかわらず、何度も逃していたいわくつきの人物なのです。

    私が南方熊楠を開眼させてもらったのは、中沢新一の『森のバロック』なのですが、実はそれよりもっと以前に、傾倒していた山口昌男や荒俣宏の諸著作に頻繁に登場していましたし、社会科学をかじった時に接した鶴見和子の『南方熊楠・・地球志向の比較学』や『内発的発展とは何か・・新しい学問に向けて』とか『南方曼陀羅論』でたしかに遭遇していますし、伝記大好き人間としては神坂次郎の『縛られた巨人・・南方熊楠の生涯』や津本陽『巨人伝』を読んで感じ入ったことを思い出しますし、それより前に平野レミのお父さまの平野威馬雄の『大博物学者・・南方熊楠の生涯』や『くまぐす外伝』を読んでいましたし、何といっても我が愛する稲垣足穂の『南方熊楠児談義』を知らなかったとはとても言えません。

    ざっと見渡しただけでも、これだけ多方面の入口というかチャンスがあったのに、それらを通り過ぎただいぶ後に読んだ中沢新一『森のバロック』で初めて出会ったような顔をして、本格的に南方熊楠の著作を読み出したのは、やっぱりちょっとどうかと思います。

  • 読了。
    肉声の魅力。

    いつか再読が必要か。


    中沢新一さんと鶴見和子さんの捉え方の違い。
    なるほど怪物くんだなあ。

    (当書編纂の中沢新一さんは、幾分ペダンティックなのでそれは差し引いても・・・彼の職業柄、仕方ないか。)

    土宜法竜師も熊楠金栗如来の衒学を差し引いて読んだかな。
    衒学というより露骨な博学披露か。

    楽しいけど。

    人の手紙を読む楽しさもあるけど。

    よく残っていたものですね。そして、世に出たものですね。こんな暴れん坊書簡。

  • 「南方熊楠・土宜法竜往復書簡」があまりにもポータブルでないので、「南方熊楠が宗教について何か書いた文庫はないだろうか」と探した結果がこれ。中をみると、見たことのあるヤマアラシの絵(by熊楠)が!なんと、たまたま上記書簡集のダイジェスト版であった。これはいい!しかし、内容だけでなく、文章自体もおもしろいので、書簡集にも再トライしたい。

  • 081226(n 090101)

  • 「中沢新一編なら、土くさくない軽やかな熊楠が読めそうですね」
    「『文庫』の大航海。」(杉浦日向子+佐高信)
    『日本人の死角』(徳間書店、1993.9.30所収)

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著者プロフィール

1867年、紀伊国(現在の和歌山県)に生まれ、1941年に同地にて没する。在野の民俗学者、博物学者、生物学者として知られる。
著書に、『南方閑話』(坂本書店、1926)、『南方随筆』(岡書院、1926)、『続南方随筆』(岡書院、1926)などのほか、全集や選集、書簡集など多くの文業が刊行されている。

「2018年 『熊楠と猫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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