憎しみは愛よりも深し: 実録・16歳連続女性殺人事件 (河出文庫 ん 3-1 実録シリーズ)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309473772

感想・レビュー・書評

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  • 16歳の少年は、なぜ罪を犯し続けたのか。


    実録、という事ですが、物語のような内容でした。
    途中で運転手が言っていたように
    死んだ者と思った方がいいかと。
    とはいえ、そんな簡単に気持ちの切り替えが
    できるものではないですが。

    うっぷんを他の人にぶつけて解消しようとするのは
    やっている事は凶悪ですが、ただの図体のでかい
    子供としか思えませんでした。

  • 本書に描かれた事件自体は、あえて言うならありふれたものである。強いて挙げれば犯人は逮捕時少年だったが、それとて空前絶後などではなく、判決も無期懲役、すなわち死刑でない。普通なら40年以上の歳月にはとうてい耐えきれず、とっくに風化しているはずだ。
    にもかかわらず、本件は今なお有名だ。
    否、それでは正確さを欠く。事件ではなく、有名なのは犯人のほうなのだ。それもただ一点、その出生のゆえに。

    「差別に苦しみ、思い余って犯罪に手を染めた」 この分野では飽きるほど目にする言い訳である。
    そう、多くの場合、それは単なる言い訳だ。本件だって、上述したとおり有名なのは犯人の身の上で、事件の詳細は初めて知った。なんという所業かと、あまり覚えない怒りに身が顫えた。どんな苦しみがあろうとも、これだけのことをしでかした代償にはなりえない。
    心からそう断じつつ――類似事件が数多ある中で、本件だけが今なお、巷間の噂から消えない。これが「差別」か…と、これまたあまりないことだが、ぞっと肝の冷える思いがした。もの心ついた頃からたった独り、生身でこの冷たさに晒されるのは、確かに想像を絶する運命である。

    ルポルタージュとしては及第点。逮捕後のディティールが詳細なことや、一方で被害者が犯人に抗議して殺意をかきたてたことを「ものも言いよう。優しく言えばおとなしく引き下がり、あたら殺されることもなかっただろうに」と書くなど、良くも悪くも犯罪者というものを知り尽くした著者ならではといった仕上りが特徴か。有名だが知られていない事件についての、稀少で貴重な資料である。

    2011/11/28読了

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