地名から歴史を読む方法: 地名の由来に秘められた意外な日本史 (KAWADE夢新書 165)

  • 河出書房新社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309501659

作品紹介・あらすじ

由緒ある地、港町、農村からあなたの住む町まで、どんな地名にも日本の歴史が秘められている。大和朝廷の土地開発にちなむ地名、中世の荘園制度が生んだ地名、江戸時代の城下町の町づくりがわかる地名など、"歴史の生き証人"たる地名を手がかりにこの国の成り立ちを明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 大阪生まれだが、現在は東京在住だ。転勤等で何度か居住地が変わることがあった。住所が変わる都度、住所を覚えたが、その住所の地名はどんな歴史があってそうなったのかまでは考えてみたことがなかった。

    「地名から歴史を読む」というタイトルを見て、なるほど地名には、その名前が付いた歴史があるんだなと関心がわいた。

    まず本書の冒頭で、我が国に「小字」程度の土地の名称が約1000万もあるというのに驚いた。さらにそれ以上細かい俗称は1億以上あるという。その地名にイチイチそうなった歴史があるというのだ。面白い。

    1871年7月14日に実施された廃藩置県直後は300県もあった。それも幾つかが統合され、1890年の府県制実施で現在のものに近づいたという。

    Wikiを参照してみると、市町村単位の自治体では、さらに統合が進められ、記憶の新しいところでは「平成の大併合」で、かなりの町や村が無くなり、逆に市が増えている。単に地名が変わるといっても、行政区画と考えると、これは大変なことであるなと思うが、それは本書の趣旨ではなかった。

    時代小説、歴史小説を読むと馴染み深い旧国名が地名に反映されていることも多い。

    現在の地方自治法で、行政が混乱するという理由で、「同名の市は認められていない」というのを初めて知った。それでも「府中市」というのは、東京都と広島県にあり、その例外が認められた経緯なども面白い。

    さらにその原則が影響して、河内長野市とか、陸前高田市とかができたという。同じ長野市がたくさんあっては困るので、旧国名を冠にして付けたものらしい。泉大津市、武蔵村山市なんてのもそれだったんだ!

    ではでは、その旧国名というのを遡ると、あの「大化の改新」まで遡るという。その時代の行政により、地方豪族が誕生し、例えば吉備氏の所領が、備前、備中、備後となり、筑紫氏の所領が筑前、筑後になったという。

    面白かったのは、合成地名。国分寺駅と立川駅の間にできた駅が「国立」だとか、長野県の豊科町は「鳥羽村」「吉野村」「新田村」「成相村」の合併時に頭文字をとったとか。

    日本の地名の最古のものは、旧石器時代まで遡るという。そこの自然地形(川、野原、坂、山、谷、海岸、岬の7種類)にちなんでつけられたらしい。それを自然地名というのだそうだ。

    荘園と租税から生まれた名称も面白かった。
    荘園領主に納める租税が免除されることを「免」という。例えば、宮本武蔵のルーツは新免家だったが、その名はこれから来ているようだ。

    さらに、租税を夫役なら夫役だけの一つに絞る免除を「一色」といったらしい。あのオウム真理教で有名になった山梨県の上九一色村は、「一色とされた九つの郷からなる九一色という地域が、上と下に分けられてつけられた」そうだ。

    こうしてみると都内にも面白い地名が山ほどある。なぜ「豊島区」なのか。なぜ「一番町」なのか。
    「半蔵門」は?「麹町」は?

    「小伝馬町」「赤坂見附」「御台場」「高田馬場」「日暮里」・・・意識してみると、地名の歴史はとても面白いものだ。

  • 4-309-50165-6 C0221¥667E

    地名から歴史を読む方法

    1999年2月1日 初版
    2002年7月1日 8刷発行

    著者:武光誠(たけみつ まこと)
    発行所:株式会社河出書房新社

  • 全国各地、様々な地名の由来について詳しく説明、考察されている。

    普段、当たり前に呼んでいる様な地名が大昔からの呼び名が由来になっているなど、今回知ることで改めて長い日本の歴史を感じさせられ感慨深くなる一冊。
    市町村の合併等でそんな昔から引き継がれている地名がどんどん消滅していく現実を聞くと、日本史好きな自分としてはものすごく悲しく、切なくなってくる。何とかならないものだろうか、と考えさせられた。

  •  サブタイトルは「地名の由来に秘められた意外な日本史」となっている。
     市町村合併により、昔の地名がどんどん消えてしまう中、過去の地名に歴史が刻まれていることを指摘している。平成の大合併で、さらに市町村名が減ってしまったのだろう。

     中でも自分の住んでいる地元の話題や、人名が地名から付けられている場合があるので、自分の名前に関係した地名に興味をそそられた。

     そして、古代から変わらない地名もあるが、時代を経るに従い変化してきた地名は、なぜ変わったのか、あるいはなぜ変わらなければならなかったのか詳しく考察しており、読み進めるのが楽しかった。

     信仰と宗教がわかる地名として「宮」とか「神」がつく地名が挙げられていた。その例示の中に入っていなかったが、この辺では人名で「神代」という苗字がある。よみかたは『かこみ』または『かみよ』という。よそへ行くと『じんだい』と言ったりする。南部一之宮といわれる櫛引八幡宮のお膝元だから、そんな名前の人がいたのだろうか。こんなことも知りたいところだった。

    • yama40さん
      始めは少しとっつきにくい感じがしたが、読んでいくうちに引き込まれてしまった。
       また、これだけ多くの引用をしたことがない。本をそのまま一冊...
      始めは少しとっつきにくい感じがしたが、読んでいくうちに引き込まれてしまった。
       また、これだけ多くの引用をしたことがない。本をそのまま一冊コピーしたのではないかと思えるほどだ。それほど気になるところが多かったと言える。
       今度は災害に関する地名について考察した文献を読んでみたいと思っている。
      2015/01/12
  • 地名の由来に秘められた意外な日本史

  • [ 内容 ]
    由緒ある地、港町、農村からあなたの住む町まで、どんな地名にも日本の歴史が秘められている。
    大和朝廷の土地開発にちなむ地名、中世の荘園制度が生んだ地名、江戸時代の城下町の町づくりがわかる地名など、“歴史の生き証人”たる地名を手がかりにこの国の成り立ちを明らかにする。

    [ 目次 ]
    1 維新後の変貌、発展の中から生まれた地名
    2 同地名が全国にある謎をその起原から解く
    3 古代朝廷の支配体制を今日に伝える地名
    4 武家社会のありさまが地名から浮かび上がる
    5 幕藩体制下の町づくりと国土開発がわかる地名

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 鷲宮=土師の宮、などなど
    自分の住んでいる所が出ていたので、思わず買ってしまいました。
    地名にまつわるおもしろ話が満載です。

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著者プロフィール

1950年、山口県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。同大大学院博士課程修了。文学博士。元明治学院大学教授。専攻は日本古代史、歴史哲学。比較文化的視点を用いた幅広い観点から日本の思想・文化の研究に取り組んでいる。著書に『律令太政官制の研究』『日本古代国家と律令制』(ともに吉川弘文館)など専門書のほか、『歴史書「古事記」全訳』『古事記・日本書紀を知る事典』(ともに東京堂出版)、『古事記と日本書紀 どうして違うのか』(河出書房新社)など多数。

「2022年 『古代史入門事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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