夏目漱石、読んじゃえば? (14歳の世渡り術)

著者 :
  • 河出書房新社
3.81
  • (15)
  • (17)
  • (19)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 195
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309616926

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  『14歳の』なので、中学生くらい向け、と言ったところですかね。
     夏目漱石の書籍をより身近に感じてもらうことに重点が置かれているから、書き方も口語で、子どもに向けて話している感じで書かれてます。
     そういう書き方が苦手だと、その時点で読むのが嫌になるかもしれないけれど、でなければ、内容は分かりやすいし、すごくいいと思う。
     正直、私も中学だか高校のころに、「こころ」を読んだけれど(教科書に載ってたような気がする)、はっきり言って全然意味分かんなかったから、そのころにこの本があったらなぁ、と思いました。

  • 夏目漱石を読むポイントというか、文学作品として堅苦しく考えなくていいんだよーということを教えてくれている本。
    割と漱石以外の小説の読み方にも応用できそうなことを言っていて、興味深く読めた。

    今からでも実践できるけど、高校時代にこの本があったら、かなり読書経験が豊かになったと思う。
    大学時代に夏目漱石の講義で言われたことがこの本を読んで今更ながら腑に落ちた部分があって、個人的に反省。勉強が足りてなかった。

    奥泉さんの解釈の仕方がいちいち面白くて、(坊ちゃんは中二病のコミュ症とか。)
    読んだことのあるものはもう一度読み返したくなったし、読んでないものも気になった。

    夏目漱石に興味が湧く一冊でした。

  • すっごいおもしろかったー!やっぱり文豪の書いた作品ってとっつきにくい印象があるけど、この本のおかげで漱石作品が身近なものに感じた!改めて坊ちゃんとか読みたいなーと思います。プロの読書家、っていう言葉がいいなあと思いました。漱石作品だけでなく、読書の仕方についても書かれてました。全て読み切らなくても少しでも好きな言葉があったりとか、例えば旧字体がかっこいい!とか、それだけでも読んだことになるし、無理して全ページを読まなくてもいい。っていう考えが良いなあと。この言葉で名作へのハードルが低くなったのでもっとたくさん読みたい!

  • 若年層向けに書かれた夏目漱石の読書指南書……と思ってはいけない。砕けた文章で書かれてはいるが、これ、かなり深いことを書いている。
    例えば『小説が面白く読めるかどうかというのは、君自身にかかっている』。文章を読んで、どれだけのものを受け取って、イマジネーションを膨らませることが出来るのか? 少なくとも筋立てだけを追っていてはこういう読み方は出来ない。伊藤計劃も映画絡みで似たようなことをblogに書いていたが、『自分が読めていないだけかもしれない』ということは念頭に置いた方がいい。
    『細部に拘る』というのはナボコフも書いていたが、基本的に文章を読むというのは細かいことをニヤニヤ笑いながら読むことだ。要するに読書というのは快楽であって、教養をつけようとか人生の役に立てようとか考えて読んでもつまらないでしょう……というのは吉田健一の受け売りだが、ホントそうw 澁澤龍彦だったか生田耕作だったか、『お勉強で本を読む人はいないでしょう』という素晴らしいお言葉もある。

    個人的には漱石だと圧倒的に『夢十夜』が好きだ。長編も面白いけどねぇ(しかし、『こころ』が実はパッとしない……なんて本当のことは(ry)。

  • 14歳の世渡り術 というシリーズらしいが、平易な文と飾らない語り口調で、とても読みやすかった。

    作者の夏目漱石愛

  • 図書館。「(p50) 小説の細部に注目する楽しみ方というのは、映画を観ている時に「このカット、すげえ〜」って思うことに似ているかもしれないな。ストーリー全体じゃなくて、はっとしてしまうような、一瞬の輝きを見つけた経験が、君たちにもあると思うんだ。」→あるある!小5〜中1くらいに金曜ロードショーで偶然観た『レオン』。レオンが倒れるシーンで、カメラを落とすような感じでレオンの視界が映し出されたシーン。もう、ぞくぞくー!ってなって、映画でそんな感覚になるのが初めてで、そのシーン、いまだに覚えている。



  •  漱石の作品の楽しみ方を紹介したもの。話し言葉で丁寧に分かり易く解説しています。

     「吾輩は猫である」も「草枕」も作品自体にはストーリー性がある訳じゃない。全体を把握するというよりも部分を味わうものであったり、行間の「美しさ」を感じるものだったり(『草枕』)する。言葉を尽くしてイメージをつくりだしているそんな感じのものもある。


     著書が書き残したものを読者が「自分の世界を使って、それを自分で面白がる」こと。それにはある程度の読解力が必要としてる。で、読解力というはいろんな意味での「教養」とか「経験」をら集結させることで鍛えられる。

     よくあることだけど、何年かして再読すると以前とは違った解釈になったり、新発見したりする時がある。その場合も読解力が増したということが言えるのかも知れない。

     著者は漱石の作品に貫いているテーマは孤独だとしている。主人公の孤独、とくに他人とコミュニケーションができない孤独いろんな形で書かれている。コミュニケーションがとれなくて失敗して、孤独に陥ってしまってる人たちがたくさんでている。余談になるが僕なんかも真の意味で人とコミュニケーションがとれなくて孤独に落ち入りその寂しさの穴埋めを読書に求めているところがあるわけで、漱石の孤独のテーマが凄くよく分かるのだ。

     最後に僕の染みているのは、『こころ』と『坊っちやん』です。『こころ』の先生の僕はこんな風に生きてきましたってメッセージを残しているところがたまらない。『坊っちやん』はお手伝いさんの「清」の全肯定的な愛情を示してる処。なんか漱石作品の感想になったしいました。

     この著者はほんとに「夏目漱石」が好きなんだと思う。作品が好きだから書いたその本人も好きになってくる。よく漱石のことを調べ上げている。
     読書というものの仕方、その楽しみ方を教えてもらった気がする。読書の深部に触れることによって、ある種の世界観が広がっていくのを感じるのだ。

  • 中高生向きシリーズの1冊で、夏目漱石好き(なんと、『『吾輩は猫である』殺人事件』という小説も執筆)の小説家である著者が、『吾輩は猫である』、『草枕』、『夢十夜』、『坊ちゃん』、『三四郎』といった夏目漱石の代表的な小説の読み方を指南。中高生向きだけあって、くだけた文体で、すいすい読める。
    夏目漱石の作品は、『三四郎』、『こころ』、『夢十夜』しか読んだことがなかったが、本書を読み、他の作品も読みたくなった。
    夏目漱石の小説の紹介だけにとどまらず、本書は、小説はどう読むべきかという本質論にも迫っている。ストーリー至上主義に陥るのではなく、文章自体をアートとして楽しむなど、本書は、小説には、読者次第でいろいろな楽しみ方があるということを教えてくれる。

  • 漱石好きの著者による漱石解説本。
    難しい本を、一字一句理解しなくていいんだよ!というアプローチが新鮮だった。
    一枚の絵画を遠くから眺めるように。漢語の持つ雰囲気を楽しむように。
    中学生くらいの子に向けて、ちょっと「厨二心」を刺激するような感じでも書かれているような感じがするけど、正直大人も興味をそそられる。この雰囲気は14歳向けだからなのか、奥泉氏の持ち味なのか?
    漱石も読み返したいけど、奥泉氏の著書も読んでみたくなった。

  • これは「14歳の世渡り術」というシリーズみたい。
    なぜ私はこれを買ったのか……。
    子供に読ませようと思ったわけでもないんだけど。

    14歳ぐらいの子に「夏目漱石は難しく考えないで、こんな風に読んでみればいいんだよ!」と教えてくれる本なので、読みたいけどちょっと取っつきにくいなと思ってる中高生にはいいかも。

    私は実年齢は40オーバーですが精神年齢はひねくれた小5なので、文章がどうも「年上のやつが自分たち(この場合は精神年齢の方)の年齢に無理やり目線合わせてしゃべってやがる」と穿った見方をしてしまい、ダメでした。

全30件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

奥泉光(おくいずみ ひかる)
1956年山形県生まれ。1986年に『地の鳥 天の魚群』でデビュー。1993年『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞、1994年『石の来歴』で芥川賞、2009年『神器』で野間文芸賞、2018年『雪の階』で毎日出版文化賞文学・芸術部門をそれぞれ受賞。

「2018年 『夏目漱石 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

奥泉光の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
朝井 リョウ
西 加奈子
夏目漱石
辻村 深月
田中正人
宮下奈都
有効な右矢印 無効な右矢印

夏目漱石、読んじゃえば? (14歳の世渡り術)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×