- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309616926
感想・レビュー・書評
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文庫も同じマンガ家さんの挿絵だよね?
夏目漱石、読んじゃえば? :奥泉 光,香日 ゆら|河出書房新社
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309616926/詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
夏目漱石を読むポイントというか、文学作品として堅苦しく考えなくていいんだよーということを教えてくれている本。
割と漱石以外の小説の読み方にも応用できそうなことを言っていて、興味深く読めた。
今からでも実践できるけど、高校時代にこの本があったら、かなり読書経験が豊かになったと思う。
大学時代に夏目漱石の講義で言われたことがこの本を読んで今更ながら腑に落ちた部分があって、個人的に反省。勉強が足りてなかった。
奥泉さんの解釈の仕方がいちいち面白くて、(坊ちゃんは中二病のコミュ症とか。)
読んだことのあるものはもう一度読み返したくなったし、読んでないものも気になった。
夏目漱石に興味が湧く一冊でした。 -
思いもよらぬ掘り出し物をした。これは良書だ。シリーズ名通り14歳を対象にしているものとするが、全く成人向けいやむしろ五十歳代以降が読むべきだ。
なぜなら時間と金となにより人間関係がシンプルになっている年代だからこそ夏目漱石を読むべきだから。
実際草枕を読み返してみたら当時はただ乱読の中に埋もれさせてしまっていたこの歴史的傑作が明確に真の傑作として浮かび上がってきた。
いや待てよ。この読書体験あらばこその評価であるとすれば当然中高生の難読の中に漱石はやはり必要なのだ。
物語を追わなくてもいい。最後まで読まなくてもいい。途中から読んでもいい。文章そのものを味わう読み方がある。なるほどと思った。
特に目から鱗を剥がしてくれたのは、難解な言葉を調べずにその文字の形をこそ味わうという読書法。
草枕は漱石が思いっきり意図的に難解な言語を、それでも衒学の皮肉を込めて頻用しているという。
文章の視覚的なデザイン指定まで考慮しているというのだ。草枕を十全に味わうためには旧仮名遣いこそ正しい読み方だと。
青空文庫を漁ってみても旧仮名遣いの草枕はない。苦労して調べた結果「鶉籠」の復刻版というのが存在することがわかり即購入。 -
漱石好きの著者による漱石解説本。
難しい本を、一字一句理解しなくていいんだよ!というアプローチが新鮮だった。
一枚の絵画を遠くから眺めるように。漢語の持つ雰囲気を楽しむように。
中学生くらいの子に向けて、ちょっと「厨二心」を刺激するような感じでも書かれているような感じがするけど、正直大人も興味をそそられる。この雰囲気は14歳向けだからなのか、奥泉氏の持ち味なのか?
漱石も読み返したいけど、奥泉氏の著書も読んでみたくなった。 -
『14歳の』なので、中学生くらい向け、と言ったところですかね。
夏目漱石の書籍をより身近に感じてもらうことに重点が置かれているから、書き方も口語で、子どもに向けて話している感じで書かれてます。
そういう書き方が苦手だと、その時点で読むのが嫌になるかもしれないけれど、でなければ、内容は分かりやすいし、すごくいいと思う。
正直、私も中学だか高校のころに、「こころ」を読んだけれど(教科書に載ってたような気がする)、はっきり言って全然意味分かんなかったから、そのころにこの本があったらなぁ、と思いました。 -
すっごいおもしろかったー!やっぱり文豪の書いた作品ってとっつきにくい印象があるけど、この本のおかげで漱石作品が身近なものに感じた!改めて坊ちゃんとか読みたいなーと思います。プロの読書家、っていう言葉がいいなあと思いました。漱石作品だけでなく、読書の仕方についても書かれてました。全て読み切らなくても少しでも好きな言葉があったりとか、例えば旧字体がかっこいい!とか、それだけでも読んだことになるし、無理して全ページを読まなくてもいい。っていう考えが良いなあと。この言葉で名作へのハードルが低くなったのでもっとたくさん読みたい!
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若年層向けに書かれた夏目漱石の読書指南書……と思ってはいけない。砕けた文章で書かれてはいるが、これ、かなり深いことを書いている。
例えば『小説が面白く読めるかどうかというのは、君自身にかかっている』。文章を読んで、どれだけのものを受け取って、イマジネーションを膨らませることが出来るのか? 少なくとも筋立てだけを追っていてはこういう読み方は出来ない。伊藤計劃も映画絡みで似たようなことをblogに書いていたが、『自分が読めていないだけかもしれない』ということは念頭に置いた方がいい。
『細部に拘る』というのはナボコフも書いていたが、基本的に文章を読むというのは細かいことをニヤニヤ笑いながら読むことだ。要するに読書というのは快楽であって、教養をつけようとか人生の役に立てようとか考えて読んでもつまらないでしょう……というのは吉田健一の受け売りだが、ホントそうw 澁澤龍彦だったか生田耕作だったか、『お勉強で本を読む人はいないでしょう』という素晴らしいお言葉もある。
個人的には漱石だと圧倒的に『夢十夜』が好きだ。長編も面白いけどねぇ(しかし、『こころ』が実はパッとしない……なんて本当のことは(ry)。 -
漱石の作品を通じ「小説」の本質に迫るとても良い本で、出会えて良かった。絵画のような小説と音楽のような小説がある、という分析は面白い。小説を書く人は、この本に気づかされることがあるかもしれない。
どこから読み始めてもよい、読みたい部分だけ読めばよいなど、既存の読書の固定観念を覆すような「読書の仕方」を提案してくれるため、読書のハードルも下げてくれる。
人と人とのコミュニケーションの本質にも踏み込んでおり、これから様々な人間関係の苦痛や妙味を知っていく、あるいはすでに知り始めた子供に向けた、温かい大人の目線を感じる。
良い国語の授業を受けたような気分になれる本。 -
氏の手になる読書エッセイやね。小説の読み方指南、としても読める。考えてみると、”こころ”の教科書に載っていた部分とか、”坊ちゃん”や”猫”の最初の方しか読んだことがない。どれもそんなに面白いと思えず、それ以上掘り下げることもなく今に至るんだけど、本書を読むと、もうちょっと読んでみても良いのかも、って気にさせられる。でも、物語を重視しない、みたいなこと言っちゃってるしな~。断固ストーリー重視派としては、そのへんに違和感を覚えてしまうのでした。そして多分、結局は読まないであろうと思えたのでした。
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漱石の作品を独自の視点で紹介している本
ラインアップは以下のとおり
吾輩は猫である
草枕
夢十夜
坊ちゃん
三四郎
”短編集”
こころ
思い出すことなど
それから
明暗
中高生を対象にした夏目漱石の紹介本としては
今までで一番のお気に入り
(たくさん読んではいないけれど)
特に気に入ったのは、夢十夜の読書感想文の書き方
「夢十一夜を書くっきゃないでしょ!」 ってとこ。 -
小説の楽しみ方の幅が広がる本。
小説を読むことの敷居を下げてくれた。
例えば、「全部読む」が一番大切なことではない。「ストーリー至上主義」を捨てる。
小説は「アート」だと思うといい。
もちろん、その小説の特徴によるが、複数の読み方を持っておくことで作品をより豊かに楽しめることは確かだ。
夏目漱石に関わらず、小説の楽しみ方の幅が広がる良本。 -
最近夏目漱石の本に興味が湧いてきたが、何から読んだらいいのかわからないので、本書に手を伸ばした。14歳に向けた本ということでかなり噛み砕いて口語調で説明されているので、軽くすらすら読める。
本は読者が自分で面白がるものであること、物語ではなく絵画を鑑賞するように字面を楽しむこと。夏目漱石の本だけでなく、どんな本を読むときにも当てはまる心がけだといえるだろう。いままで本を読むときは初めから終わりまできっちり読まないと読んだことにならないと思っていたが、こんな風に自由に楽しむ方法を知って、本へのハードルが下がった。
また、一見明るく描かれているように見える『坊っちゃん』や『吾輩は猫である』にも根底に孤独さが描かれていると知り、そういうところに目を向けて今度読み直してみたいと思った。
夏目漱石の作品の基本情報や読み方を知ることができ、とても満足した。一つ減点するとすれば、フルートのくだりが少しくどいということ。 -
漱石の小説の読み方が分かる。
物語として読むではなく、文章の美しさに目を向けるというのは、納得。 -
14歳の人に向けて書いていたのね、現在64歳の著者が同年の読者(私)を啓蒙~小説は全部読まなくてもいいのである(我が輩は猫である)小説はアートだと思うといいよ(草枕)「夢十一夜」を書いてみよう(夢十夜)先入観を捨てて読んでみたら(坊ちゃん)脇役に注目するといいかも(三四郎)作者の実験精神を探ってみよう(短編集)傑作だなんて思わなくていい(こころ)「物語」を脇に置こう(思い出す事など)イメージと戯れよう(それから)小説は未完でもいいのだ(明暗)~気が楽になる。読み方は人それぞれだからね。作者に共感しなくてもいいんだけどさぁ
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14歳の世渡り術 というシリーズらしいが、平易な文と飾らない語り口調で、とても読みやすかった。
作者の夏目漱石愛 -
図書館。「(p50) 小説の細部に注目する楽しみ方というのは、映画を観ている時に「このカット、すげえ〜」って思うことに似ているかもしれないな。ストーリー全体じゃなくて、はっとしてしまうような、一瞬の輝きを見つけた経験が、君たちにもあると思うんだ。」→あるある!小5〜中1くらいに金曜ロードショーで偶然観た『レオン』。レオンが倒れるシーンで、カメラを落とすような感じでレオンの視界が映し出されたシーン。もう、ぞくぞくー!ってなって、映画でそんな感覚になるのが初めてで、そのシーン、いまだに覚えている。
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漱石の作品の楽しみ方を紹介したもの。話し言葉で丁寧に分かり易く解説しています。
「吾輩は猫である」も「草枕」も作品自体にはストーリー性がある訳じゃない。全体を把握するというよりも部分を味わうものであったり、行間の「美しさ」を感じるものだったり(『草枕』)する。言葉を尽くしてイメージをつくりだしているそんな感じのものもある。
著書が書き残したものを読者が「自分の世界を使って、それを自分で面白がる」こと。それにはある程度の読解力が必要としてる。で、読解力というはいろんな意味での「教養」とか「経験」をら集結させることで鍛えられる。
よくあることだけど、何年かして再読すると以前とは違った解釈になったり、新発見したりする時がある。その場合も読解力が増したということが言えるのかも知れない。
著者は漱石の作品に貫いているテーマは孤独だとしている。主人公の孤独、とくに他人とコミュニケーションができない孤独いろんな形で書かれている。コミュニケーションがとれなくて失敗して、孤独に陥ってしまってる人たちがたくさんでている。余談になるが僕なんかも真の意味で人とコミュニケーションがとれなくて孤独に落ち入りその寂しさの穴埋めを読書に求めているところがあるわけで、漱石の孤独のテーマが凄くよく分かるのだ。
最後に僕の染みているのは、『こころ』と『坊っちやん』です。『こころ』の先生の僕はこんな風に生きてきましたってメッセージを残しているところがたまらない。『坊っちやん』はお手伝いさんの「清」の全肯定的な愛情を示してる処。なんか漱石作品の感想になったしいました。
この著者はほんとに「夏目漱石」が好きなんだと思う。作品が好きだから書いたその本人も好きになってくる。よく漱石のことを調べ上げている。
読書というものの仕方、その楽しみ方を教えてもらった気がする。読書の深部に触れることによって、ある種の世界観が広がっていくのを感じるのだ。 -
中高生向きシリーズの1冊で、夏目漱石好き(なんと、『『吾輩は猫である』殺人事件』という小説も執筆)の小説家である著者が、『吾輩は猫である』、『草枕』、『夢十夜』、『坊ちゃん』、『三四郎』といった夏目漱石の代表的な小説の読み方を指南。中高生向きだけあって、くだけた文体で、すいすい読める。
夏目漱石の作品は、『三四郎』、『こころ』、『夢十夜』しか読んだことがなかったが、本書を読み、他の作品も読みたくなった。
夏目漱石の小説の紹介だけにとどまらず、本書は、小説はどう読むべきかという本質論にも迫っている。ストーリー至上主義に陥るのではなく、文章自体をアートとして楽しむなど、本書は、小説には、読者次第でいろいろな楽しみ方があるということを教えてくれる。 -
これは「14歳の世渡り術」というシリーズみたい。
なぜ私はこれを買ったのか……。
子供に読ませようと思ったわけでもないんだけど。
14歳ぐらいの子に「夏目漱石は難しく考えないで、こんな風に読んでみればいいんだよ!」と教えてくれる本なので、読みたいけどちょっと取っつきにくいなと思ってる中高生にはいいかも。
私は実年齢は40オーバーですが精神年齢はひねくれた小5なので、文章がどうも「年上のやつが自分たち(この場合は精神年齢の方)の年齢に無理やり目線合わせてしゃべってやがる」と穿った見方をしてしまい、ダメでした。 -
R2/1/22