世界ぐるぐる怪異紀行 どうして”わからないもの”はこわいの? (14歳の世渡り術)
- 河出書房新社 (2024年3月25日発売)
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感想 : 28件
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784309617626
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みんなの感想まとめ
人間の文化や社会に根ざした怪異を、9人の文化人類学者がフィールドワークを通じて紹介する作品です。著者たちは、単なる恐怖の物語としてではなく、それぞれの地域や民族における怪異の意味や背景を探求しています...
感想・レビュー・書評
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9人の文化人類学者たちがそれぞれの調査研究地で体験したり、見聞したりした怪異を紹介する本。
怪異と聞くと、理解出来ない現象が身近に現れるようなイメージがあるが、著者は学者なので、あくまでも現実的な視点で見ている。
それがかえって面白い。
さて人類学とは、人間の暮らしを調べる学問の一つ。この内社会的、文化的な面から人間を研究するのが文化人類学。
そもそも人間とはどんな生き物なのか、人間以外の生き物を含めた大自然をどういう立場から考えるべきなのか を考えるのだ。
人間が「怪異」として扱うものは、我々の住む世界や意識に対し、距離や距離感があるものだろう。ここで人類学という学問は、怪異の正体を、「人間」としてどう理解すべきかを考える、いや、つなぎ合わせる働きをしているのではないだろうか と感じさせてくれた。
中には女性の研究者もいて、ベナン、ネパール、パナマ、ヴァヌアツ、ボルネオなど、まともな水も電気もないところに赴き、現地の「怪異」を調査する。
凄いものだ。 -
これ、本屋の児童書コーナーにあったのです。確かにヤングアダルトが楽しく読める内容。大人もまた、読むべき。
全編にわたって、しっかりと大学などに籍を置くちゃんとした文化人類学者が、自身のフィールドワークの中で実際に見聞きした怪異を語る…という本なのでこいつはわくわくしましたね……
ベナンの妖術師、イエティ、人喰いマムーなどがどう語られ恐れられ、そして社会の中でどう位置付けられているか。 -
9人の文化人類学者による世界の怪異を紹介。
ただの「怖い」ではなく、その国、地域、民族の背景や意味を考えるきっかけになる。
と言っても「14歳の世渡り術」と言うシリーズ名にあるように、決して堅苦しいものではない。
世界は広く、異なり、そして同じ、と言うことを感じられる。
西アフリカのベナン共和国。
恥ずかしながらどこにあるか全く地理的知識がない。
この国では妖術、と言うものが信じられている。
「アフリカだもんね」なんて思ってはいませんか?
私たちだって、目に見えない何かを信じることもあるでしょう?
神さま仏様、幸運悪運、ブラックホールや原子核だって!
妖術があるから平等であろうとする、とか、なんでも自分で背負い込まない、と言ったことは考え方の転換であって、必ずしも「妖術」が不幸を招くわけではない。
このことは目から鱗だった。
中国の鬼の概念も興味深い。
子孫に祭祀してもらえることが鬼にならない方法、であるそうだ。
しかし昔ながらの考えと同時に社会の変化もあり…この辺りはどうやってすり合わせをするのだろうと不思議に思った。
結婚しない、子供を産まない…迷信だと簡単には切れないものとどう付き合っていくか、とても難しい問題だ。
怪異と言ってもその物語は幅ひろく、面白い。
文化の尊重は人を大事にすることだ。
だけど、幼子が医療につなげず祈祷の末に亡くなる話は、口を挟むべきではないと思っていても、どうしたって胸が痛い。 -
文化人類学者たちが出会った怪異について。
怪異が信じられているイコール未熟な社会ということでは全くなく、他の社会では違うもので代替している装置なんだなぁ、と深く納得(ただ装置というだけではないけれども)。
14歳向け、ということでとても読みやすいけれど、大人にも読み応え十分な興味深い1冊だった。 -
『14歳の世渡り術』シリーズの一冊、読み終わってから、『ほー、こんなシリーズがあるのかぁ』となんか感心してしまった。世渡りという言葉には若干マイナスのイメージがあるけれど、このあたりはジェネレーションギャップというものなのだろう。
14歳という年齢層を対象にしているので、言葉は平易でわかりやすく読みやすい。おそらく人によっては食い足りない部分もあるかと思うが、それは執筆した著者の別の著作に手を伸ばせば良いような、そんな気がした。
怪異紀行というタイトルにふさわしいといえばふさわしく、わざとちょっとずらしているような気もするなあという、そんな印象の本。
監修も含めた9名の文化人類学者が、自分の体験も含め怪異について紹介するという体裁だが、怪異の紹介というよりはフィールドワークの紹介という方が実際に即している気がする。
個人的にはベナン(アフリカ大陸)とロシアの話が面白かった。このふたつの国で語られる内容はかなり似ていて、地理的によっぽど遠いというのに、人間というものが似たようなことを考え、ままならぬ不幸についてどう対処しているのかがわかって実に興味深かった。関連図書を調べてみるのも良さそうに思う。 -
これは面白い。世界各地を歩いた人類学者の研究、特に「怪異」を収録した本。日本や欧米における怪異研究は多く見る事が出来ますがその他地域についてはこういった本でないとそもそも知る事が出来ません。中学以上向けのため平易な言葉で書かれており読みやすいのも嬉しい。
どの章も面白かったのですがロシアの呪詛にまつわる内容は特に面白かった。参考書として紹介された『呪われたナターシャ』はぜひ読んでみたい。 -
「わからない」ものはどうしてこわいのか。文化人類学者たちが世界各国の怪異を紐解いていく本。
文化人類学の本を読んでいると世界は広いなあ…と当たり前のことを思うし、みんなそれぞれ理解しがたい文化がある。でもそれはそこで生まれて育った人にとっては大切な習慣だったりする。自分とは違う人・もの・ことがこれだけあるということを知るのは他人を画一的な物差しでジャッジせず、その人自身を知るということに繋がると思う -
ホラー好きなのでそういう興味で買ったら、真面目な文化人類学の話を、いろんな専門の先生が優しい口調で丁寧に説いている本で、何かしみじみしてしまった。
すごく文章の良い人ばっかりで(中学生以上向けだからもあるにしても)、全然わかってない人間でも読めそうな本をほかに書かれてたりは?あっこの先生のは古本で高騰している…!(「呪われたナターシャ」)とか、久々に色々読みたくなった。
ロシアの呪術の、どうやって呪われたと気付くのかの話、中国の、先祖の供養と鬼の供養の寂しい話、オーストラリアの人喰いのマムーがネットでも健在の話が特に好きだったのと、
パナマの、先住民エンベラの人々が「私たちが信じていることなのだけど」「これは自分たちの信念である」という前置きで語る川の怪異の話で、学者さんが「なぜお前はアントミャに襲われないのか」と聞かれた時に、自分はいまアントミャがいる側の世界にいる者として尋ねられてるんだ、と気付くところ凄かった。
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漫画で市民権を得たようである呪術についてのレポートが多かったかな。オモチロイ。
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世界各地の怪異を文化人類学者らが語る。
オカルトに走らず安易な意味づけもせず、当地の人々にとっては当たり前のこととして紹介する。怪異の物語が生活と直結するのはどの地も同じ。多様な世界を知り、視野が広がる。 -
イエティ、アントミャ、魔女やマムーなどなど。
それぞれの地で信じられている”怪異”を通して文化を学ぶ、新しいかたちの文化人類学の本。 -
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閲覧 -
怪異=ホラーやオカルトではなく、文化人類学や民俗学について書かれている。
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世界の色んな地域での怪異とか呪術とかとの付き合い方を通じて、社会の理不尽と我々がどう向き合っているのか見えてくるのだ。
若い人向けの本で、読み易いし面白いけど何となく時間が掛かってしまった。『呪われたナターシャ』の話もあるよ -
9人の文化人類学者がフィールドワークでそれぞれが体験したり見聞きした出来事をまとめた本。
それぞれの地域で信じられているモノやコトがコミュニティのバランスをとっていたり、畏怖されつつも興味の対象であったりと『わからないもの』と地域の人びとの関り方が知られて読み応えがありました。
14歳の世渡り術シリーズと言うジュニア向けの本ですが大人が読んでも世界が広がります。 -
文化人類学者の出会った不思議体験集。フィクションほどエピソードは濃くないけれど、未知なる世界に少し触れた感覚がある。最後のイリナ・グリゴレさんの文章に引き込まれた。1984年生まれで年も近く、ジャン・ルーシュとフラハティの映像作品にも関心を持った。
著者プロフィール
奥野克巳の作品

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