大司教に死来る (須賀敦子の本棚 池澤夏樹=監修)

制作 : 須賀敦子 
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309619927

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  • ガズデン購入によりアリゾナ・ニューメキシコの土地がアメリカ合衆国の領土となった時代が舞台。

    若きフランスのカトリック神父ふたりが、この地の教化のため旧大陸から派遣される。物語は、ふたりの神父が、メキシコ人やインディアンに布教を進める困難を背景に、この時代を描いている。

    彼ら一代の人生の間に、驢馬で布教の旅をして回ったサンタフェの街には鉄道が這い、先住民の赤煉瓦の住まいはアメリカ式建築に移り変わる。

    懐旧を思わせなくもないが、それよりもむしろ、西部開拓の怒涛に呑み込まれる先住民を「他者」として見るのではない、政治性を感じさせる。

    本書で印象的なのは、西部開拓政策により農耕地と変わっていくその前の、アメリカ大陸の原風景の描写だ。砂嵐、大草原、頂きに至ることのできない丘。それら原風景と血脈を同じくするインディアンたちが、したたかにカトリック布教を受け流しつつ、神父たちとの交流が生まれる。神父たちは原始大陸に心を奪われていく。葛藤の中で表題の通り「大司教に死来る」時、彼らの心に去来したものは。

    須賀敦子の卒業制作として翻訳されたという本書。気品があり、またその時代に心を添わすごとき流れるような文章が見事だ。

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著者プロフィール

1873~1947。アメリカ、ヴァージニア州生まれ。20世紀米文学を代表する作家。1923年『我らの仲間』でピュリツァー賞受賞。『マイ・アントニーア』『おお開拓者よ!』『迷える夫人』など。

「2018年 『大司教に死来る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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