- Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309621845
作品紹介・あらすじ
史上最高の科学者フェッセンデンが実験室の中に宇宙を創った!世界中の言葉に翻訳された、名作中の名作「フェッセンデンの宇宙」をはじめ、代表作「向こうはどんなところだい?」「翼を持つ男」、切ない怪奇小説「帰ってきた男」、ショート・ショート「追放者」、さらに本邦初紹介作として「風の子供」「凶運の彗星」「太陽の炎」「夢見る者の世界」の4篇を含む、全9篇を収録。
感想・レビュー・書評
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ふと夜の空を見上げてみる。
広い空のもっともっと向こう、漆黒の宇宙で、「製作者」が顕微鏡を覗きこんで「地球」の様子を監視しているとしたら──?そして今の「地球」で起きている災害や戦争が、その「製作者」の手によるものだとしたら?
私たちの意思はどこまで通用しているんだろう。
そう考えるとゾッとする。 -
古典作品のためか、いま読む限りSFとしてのリアリティはほぼなく、全体的にエンタメ小説という感じだったが、キャプテン・フューチャーの作者と聞いて納得した。。まあこれはこれでそれなりに面白い。「追放された男」のショートショートっぽいさが好き。逆に「太陽の重力を中和すると地球は加速して彗星にぶつかる」はひどい誤りで、流石にSFを名乗る以上このくらいはまともにやってほしかった。
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表題作、おもしろかった。研究室の中に宇宙を創造してしまった男の話って、すごくよく分かる。
男って、こういうこと、しがちだよね。
コレって、藤子F不二雄とか星新一とかの原型なのかも。
表紙のデザインも好き。
ヘンリー・ダーガーが密室で書き続けたアール・ブュレットがモチーフになってるよね絶対。彼もまた、密室で、宇宙を創造しちゃった人だし。 -
SF。短編集。ちょいファンタジー。
森博嗣『私たちは生きているのか?』で引用されていたので、読んでみた。表題作のみ、アンソロジーで既読。
作品全体を通して、どこか怖さが感じられる、独特の雰囲気がある。どの作品もクオリティ高め。
「フェッセンデンの宇宙」マッドサイエンティスト。20ページほどの短さで、宇宙の歴史を想像させ、切れ味鋭い恐怖も与える。SF短編の傑作の1つでしょう。
「風の子供」ファンタジー。まさに奇想という感じ。
「向こうはどんなところだい?」SF。火星もの。リアルすぎて怖い。いずれ人類が通らなければならない道かも。傑作。
「帰ってきた男」ホラー。ありがちな展開と思ったら、一捻りあった。”どこに”帰ってきたのか?素晴らしい発想。個人的一押し。
「凶運の彗星」SF。侵略もの。悪くないが、やや助長、やや地味か。
「追放者」ショート・ショート。皮肉なオチが良い。
「翼を持つ男」ヒューマンドラマ、ミュータント版。ラスト1ページが美しい。
「太陽の炎」SF。水星。宇宙は人間のものではない。
他1作品。全9作品。 -
時空間を超えた匠の技
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半世紀以上昔に書かれているにも関わらず今も新しい視点や驚きを与えてくれるハミルトンの傑作短編集。
今日では科学的に誤った個所(水星は自転していない等)があるが、そんなことは全く気にならず。
海外SF翻訳小説には珍しく(俺だけ?)、分かり易く、読みやすい。しかし、軽い訳では無く、テーマは深く新たな発見が出来るのが良い。
【収録作品】
・フェッセンデンの宇宙...人工宇宙テーマ。超傑作。
・風の子供...生きている風。
・向こうはどんなところだい?...ヒーローものとは違う火星探検もの。傑作。
・帰ってきた男...ゴーストストーリー。悲しく切ない。
・凶運の彗星...侵略もの。生きてる脳登場。
・追放者...SF作家を主人公としたショート・ショート。
・翼を持つ男...ミュータントもの。心を揺さぶられる。
・太陽の炎...水星探査を題材。
・夢見る者の世界...二人の男の夢と現実が交差ファンタジー。良い。 -
山本弘の「神は沈黙せず」に触発されて興味を持った一冊。長編かと思っていたけど、短編集です。確かにタイトル作のアイデアのみで長編引っ張るのは難しそう。
さて肝心のタイトル作については事前にアイデアの肝をネタバレしていた事もあり、ちょっと食べ応えの無い感じになってしまった。ただ「神は沈黙せず」という壮大な長編SFの元ネタであるだけに、絶妙な不気味さを兼ね備えている。
その後の数点は不気味さを備えたSFというより純粋にファンタジーに通じる作品が続く。この不気味さは心地よいのだが、あまりファンタスティックな話に興味が無いので外れかと感じていたが。
後半の翼関連二作が非常に楽しく爽快に読める物語だった。この作者は不気味系一辺倒なんだと印象を持っていたが最後でよい意味でイメージの違う作品が来て、楽しませる内容の一冊となっている。
ただ出版年的に若干古くさく感じるの部分もあるので仕方ないマストなSF小説とまでは言えない評価としている。