東大教養学部の重鎮・フランス文学の大家。しかしながら著者は非常にざっくばらんな人物であると感じました。22世紀に住む日本人と日本語について5つの可能性(絶滅している。バイリンガルになっている。雑婚で周囲と溶け込んでいる。優秀な翻 訳機器により言語問題は氷解。依然として日本語人であるが、地球レベルでは全く脇役。)を問いかける冒頭から始まり、源氏物語の基調講演を行ったりする権威でありながら、通読したのが遅かったことを告白したり・・・フランス語に関しては16世紀にはイタリア語よりもランクが低かった(フランス人モンテーニュはイタリア語で話をした)が、18世紀には中心になり、ロシア貴族もフランス語を学んだ。そして20世紀にはEUでフランス語を中心にしようと目論んだところ、逆に英語による文化圏になりつつある、しかもEUとはフランス語では米国の意味!という皮肉を書いているところは面白いところです。なお、サブタイトルは日本が以前は中国語(例えば漢文、漢詩)に通じ、留学生を送り出していたが、英語に変わってきたという歴史について触れているからですが、昨今の中国語ブームはまた出戻り現象が起こるのかどうか?という問題提起も含んでいます。