- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309624556
作品紹介・あらすじ
グーテンベルクの活版印刷の発明と共に、検閲の歴史は始まった。初めは宗教改革のビラ取り締まり、やがて、新聞、雑誌はもちろん、小説、戯曲、詩に至るまで、自らの名誉と立場を守るため、ハプスブルク家の人々は検閲に躍起になっていく。そして、彼らが検閲に必死になればなるほど、次々と抜け穴を見つけていく表現者や印刷業者たちとくり広げられるいたちごっこは、やがて著作権の誕生につながっていく。出版という観点から見た、ちょっとユーモラスなヨーロッパ文化史。
感想・レビュー・書評
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著者の経歴が何だこれ?って感じです。
明治大学理工学部教授で専攻はドイツ・オーストラリア文化史。
文理学部なんて何やっているかわからないような名前ではなく、”理工学部”なのに、専攻がそれっすか!
理系の自分には読むのが辛い。
いきなり、”リート”とか書いてあるが、不動産投資信託 (Real Estate Investment Trust)なら知っているが、
「18世紀末から19世紀にかけてドイツで成立した芸術的歌曲」なんて一般人が知るか!って感じ。
https://seisenudoku.seesaa.net/article/472425902.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
序章 検閲から何が見えるか
第1章 活版印刷は世界を制す
第2章 神聖ローマ帝国の検閲事始め
第3章 神聖ローマ帝国における検閲制度の法整備
第4章 印刷特権
第5章 選挙協約と検閲
第6章 領邦国家の検閲制度
第7章 マリア・テレジア治下の検閲制度の改革
第8章 前三月期の検閲事情
終章 窒息しそうな検閲の果てに -
珍しく中東欧系の歴史本を読んでみました。神聖ローマ帝国からオーストリア帝国までの、帝国レベル、そして領邦レベルそれぞれにおける検閲制度の変遷を概観する内容です。
著者いわく、これまでの検閲に関する歴史の研究というのは、ともすれば検閲する側(国家や協会)と検閲を受ける側(学者や作家、宗教家など)のあいだで繰り広げられる機知と滑稽の(ということはたぶんに劇化された)エピソード史としての側面が強かった、そこを脱してより総論的・理論的な歴史を描きたい、ということ。
・・・なのですが、検閲制度の歴史が結局は時代々々の皇帝や国王や司教たちの野心、出版業者や書籍商、そして著作者たちの思惑などに起因する個別的なできごととして表象されていること、そして帝国レベルや領邦レベルのできごとが時間的に頻繁に前後しながら論述されていることから、全体にまとまりなく理解しづらいエピソード史の集合体のような感じになってしまっています。
まあ制度史なんてこんなもの、ということなのかもしれませんが、本書の中でもときたま触れられている「検閲」の対象や検閲する主体の変化だとか、その背景にある思想の変遷だとか、あるいは「検閲」を支える(逃れる)技術の発展だとか、そういった観点からの体系的な論述があればもっと面白かったのにと思います。 -
時系列通りにすすまないので、話題が前後左右に行きつ戻りつ、と非常に読みにくい。
ただし、検閲という興味深いテーマに加え、面白いエピソードも織り込まれており楽しめた。 -
素材は一級だと思うのだが…なんというか、散漫。
もとよりモザイクのような「ドイツ」を取り上げるのに、話が三百諸侯のそこここに広がるのはいたしかたないとは思う。しかし、それにしても話題があっちこっちへ始終飛ぶのはなんとかしてほしい。「次に◯◯について語りたいが…その前に、少し脱線して××の話をすることにしよう」 こんな文章を幾度目にしたことか。
そんなだから、みんなが気になるトンデモ検閲のエピソードなどもさほど多くはない。ただ、それでもしごく興味深いテーマであったことは事実。
2013/12/14読了 -
ハプスブルク家、ヨーロッパを書物の検閲という観点で眺めた1冊。同じ歴史でも覗くフィルターを変えることで見え方が変わるのがよくわかる興味深い1冊