ペンギンが教えてくれた 物理のはなし (河出ブックス)

著者 :
  • 河出書房新社
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レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309624709

感想・レビュー・書評

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  • 野生動物に小型カメラや記録計を取りつけて、得られたデータを分析することで動物の生態や行動を調査することを、バイオロギングというそうです。
    本書の著者は、そのバイオロギングの手法でさまざまな動物の生態を明らかにしてきた、国立極地研究所の研究者です。
    研究対象はバイカルアザラシ、アデリーペンギン、ニシオンデンザメ、ワタリアホウドリなどなど。
    空の上や海の中…人間の目では追跡しきれなかった動物の行動が、データから浮かび上がってくる様子にわくわくしてしまいます。

    面白かったのは、著者が初めて導入したタイマーによって自動で切り離される記録計についての話。
    この仕組みによって、記録計を取りつけた動物を、再度捕獲して記録計を取り外す必要がなくなったのです。
    …これだけだと、なんだか簡単な話のように聞こえてしまいますが、それが実現するまでには試行錯誤の繰り返しがあったのです。
    アザラシから無事に切り離され、湖面に浮かんでいた記録計を無事回収できたときの喜びの大きさが伝わってきて、こちらまで嬉しくなりました。

    著者にとっては本書が初めての書籍とのことですが、その文章の面白さに夢中になってしまいました。
    「これめっちゃ楽しいんだよ!」とみんなに知ってもらいたい…という著者の想いが、バイオロギング門外漢が読んでもとても楽しい1冊を生み出したのだと思います。
    次作も期待!

  • バイオロギングという研究から分かったことをエッセイ風に書いてある本。「動物学を通した物理の本」だと思って買ったので、期待していたものとは違ったが、それでもおもしろい本だった。

  • 「ぺんぎんは、なんでもぐるのですか?」
    この本はバイオロギングという新しい分野について、とても分かりやすく説明しています。技術の発達により渡り鳥やペンギンアザラシの生態を追跡することができるようになった。とは言っても相手は野生動物であって、追跡装置をつけたり、回収したりは、そう簡単なことではなくて、研究者は日々悪戦苦闘して動物たちを追いかけている。最先端の研究について、その成果だけでなく、研究のための苦労や感動がそのまま綴られているので、臨場感を持って読むことができます。
    追跡する方法は主に三つあるそうで、人工衛星で電波をキャッチして測位を特定するアルゴス。渡り鳥につけるために開発したジオロケータ。これは数分間に一度照度(明るさ)だけを記録して、そこから経度と緯度を計算する。それからマグロやホオジロザメの回遊を分析するために開発されたポップアップタグ。これは深度や水温、照度を記録してある一定の時間が経つと魚体から切り離されて水面に浮かび上がる。
    位置を計測するならGPSだろうと思っていたが、動物の生態に合わせて機器の性能向上や小型化を進めるために多くの努力が払われてきた。その結果、見えてきたのは、今まで知られていなかった動物達の運動能力は想像を超えるものだった。そしてそのような能力を身につけた理由はどこにあるのか。動物達の知られざる生態に迫る。
    このような研究ができるようになったのも、ICT技術の発達によるもので、発信器と人工衛星で位置を計測してコンピュータで解析する。そこに動物達がいることは知っていたけれども、どのように行動しているのかは、ようやく分かってきた。研究者達のわくわく感が伝わってきて、面白く読み進めることができました。科学を知りたい子供(中高生?)にもお薦めです。

  • ものすごく読みやすい科学の本。
    動物に計器をつけてデータを集め、行動を調査する「バイオロギング」という手法でわかったこと。

    海を泳ぐものと空を飛ぶもの。
    南北の移動と東西の移動。
    高くまで飛ぶ、深くまでもぐる。
    速い遅い、軽い重い、運動量の多い少ない。
    多様な世界を多様なまま理解しようとする生物学と、
    多様な世界の普遍の原理を見つけようとする物理学。

    なぜこの体はこうなんだろう、なぜこう動くんだろう、
    人が知らない場所であの動物はなにをしているんだろう、
    という「いきもののふしぎ」を軽快な文章でつづっていく。
    内容がすごく面白い。で、楽しい。
    知的な面白さと、遊びの楽しさと。

    ひとつの話が実は次の話の説明にもなっている。
    同じ原理がいろんな形で語られる。
    ひとつひとつの話が興味深くて、順番に読み進めるときちんと理解できる。
    わかりやすい文章というものは伝えるために練り上げられたものなんだなと実感しながら読んだ。

    自分のやっていることが好きで誇りをもっている人の話は面白い。

  •  国立極地研究所に勤める生物学者である著者は、バイオロギングという調査方法を駆使して、これまでほとんどわからなかった野生動物の生態を調べている。バイオロギングとは、調査対象に小型カメラや記録計を取りつけ、得られたデータを分析することで動物の生態や行動を調査する技術だ。これはいわば、「未来からやってきた双眼鏡」なのだが、それを可能にしたのは、デジタル技術の急速な発展だという。GPSや人工衛星を使った追跡システム、親指の先サイズの革命的な記録計であるジオロケータなど、これらのおかげで特にこれまで追跡の難しかった大気中の鳥や海の生き物たちの暮らしぶりが、少しずつわかってきた。
     アホウドリは46日間で地球一周する(速い!)、ウェッデルアザラシは1時間近く息を止められる(長い!)、クロマグロの泳ぐ平均時速は7km(遅い?)など、バイオロギングの普及とともに、え⁉と目が点になる調査結果が次々と報告されている。
     さまざまな技術が進み、いつか米粒ほどの機器が誕生したら、裏山のアリにでも背負わせてみみたい。

  • 最近はバイオロギングという手法で動物の行動を追うことができる。アホウドリが46日間で地球一周したり、アザラシが741メートル潜ったりとする生態がわかってきた。生き物ってすごいねと純粋に思った。機能美の集大成って感じだ。著者のユーモラスな文体が読みやすく、それでそれで?とどんどん話を聴きたくなるところがいい。中に生き物のイラストとかあったら、もっとわかりやすかったかも。そこがちょっと惜しい。

  • マッコウクジラは2000m以上潜るし、あほうどりは46日で地球を一周する。マグロは時速7km程度で泳ぐし、ゴロゴロしてそうなゾウアザラシは1年のうち10ヶ月は大海原を泳ぎまわってる。バイオロギングの手法でもたらされた動物たちの大変興味深い姿。と同時にバイオロギングの進歩そのものにも感心するところ大。面白かった!

  • バイオロギングを使った海洋生物や鳥類の生態、生理の研究を行っている研究者の本。
    バイオロガーを生物個体に取り付けるという、技術の進歩により実現した比較的新しい分野の研究が、物理という道具を使い切り刻むことでさらに一歩前に進んで行く。それがさまざまな生物を例に出ていて面白い。その生物がまたマウスとかではなく極地にいる個体とというのがわくわく感を増大させる。
    物理をしっかりものにしている科学者だからこそこのような実験モデルを組み立てられて、得られた貴重なデータから面白い発見ができるんだなと感心してしまった。
    物理をもっと勉強しておくべきだったという気にさせられた。
    実験現場でもある極地環境エピソードも面白くて笑ってしまう。

  • 興味のある人にとっては面白い本なのだと思います。
    残念ながら、私はそこまで物理にも生物にも興味が持てない人間なので・・・

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著者プロフィール

1978年生。国立極地研究所生物圏研究グループ准教授。極域に生きる大型捕食動物の生態を研究。東京大学総長賞、山崎賞、第68回毎日出版文化賞受賞。著書に『進化の法則は北極のサメが知っていた』。

「2020年 『ペンギンが教えてくれた物理のはなし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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