短篇コレクションI (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 240
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (524ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309709697

作品紹介・あらすじ

南北アメリカ、アジア、アフリカの傑作20篇。新訳・初訳も含むアンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 「南部高速道路」
    アイデアが天才的。交通渋滞が、これほど心動かす物語になるとは。
    「波との生活」
    詩的な文がそれこそ波のように次から次に押し寄せ、鳥肌がたった。
    「白痴が先」
    死神を説得する。
    「タルパ」
    よくありそうな話なのに、なんだ、この喚起力!
    「色、戒」
    まさに映画。運動神経のよい作者だと感じた。
    「肉の家」
    すさまじい沈黙の重さ。またこのあからさまなタイトル。目も当てられない。
    「小さな黒い箱」
    パッション=受難=情熱を取り戻すために。
    「朴達の裁判」
    ゴーゴリの魂を継ぐ小説。主人公朴達に対する愛情をまぶしたユーモアが何とも良い。ずっと読んでいたくなる。
    「夜の海の旅」
    精子の旅が、観念的に隠喩的に語られる。この長さでちょうどいい。これ以上長くなるとついていけない。
    「ジョーカー最大の勝利」
    漫画と小説のあいだ。
    「レシタティフーー叙唱」
    心にじかに触れてくる。あるいは心という虚構を鮮明につくりだす小説。
    「サンフランシスコYMCA讃歌」
    高橋源一郎的。こっちが元祖だけれど。
    「ラムレの証言」
    10割が事実。3割が小説。
    「冬の犬」
    流氷をめぐる、生死をさまよう場面がすばらしかった。しかし犬はあっけなく……このやるせなさこそが小説。
    「ダンシング・ガールズ」
    アメリカで、自室に娼婦を連れ込んで、踊っていけない理由は!? すぐに思いついた人は本作を読むべき。
    「母」
    いつか面白くなるのだろうと思いながら読んだら最後まで面白くなかった。
    「猫の首を刎ねる」
    選者池澤夏樹だからこそ楽しめた一編。
    「面影と連れて」
    御嶽(うたき)の森の、拝所(うがんじゅ)の、もっと奥にある聖所(いび)。その描写に、息を飲んだ。

  •  メディアを通して世界情勢を知った気でいても紛争のニュースは遠い国の出来事でしかなく、旅をするにも時間とお金がかかる。でも小説を読めば能書きなしで世界中の面白い部分を体験できる。「名作」だけ集めた従来の文学全集に一石を投じる本書のセレクションは、パレスチナ、韓国、カナダから沖縄の作品まで幅広い。美しい水を恋人にした男の話や、理由なく殺される弱者の押し殺した嘆き。教科書に載らない彼らの小さな声は、しなやかで力強い肉声となって読者に語りかける。この一冊で、ニュースとは違う世界のリアルを体験してほしい。
    (教員推薦)

    ↓利用状況はこちらから↓
    http://mlib.nit.ac.jp/webopac/BB00539316

  • 夏休みなので読書感想ツイートを。

    #ラムレの証言

    ガッサーン・カナファーニー
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    短篇コレクションI (池澤夏樹個人編集 世界文学全集 第3集)

    読む前に、何ページくらいあるのかな~確認したら6P=紙3枚分で、思わず「え、みじかっ!(・・;」と声が出た。

    61年前の作品だけど、僅か6頁の中に凝縮されているのは現在のニュース等で見聞きするパレスチナとまるで同じ。一行目から最後の一文字まで緊張が緩むことがない。太陽の日差しと息苦しい静けさと張り詰めた空気にこっちも呼吸が止まりそうになる。読後はため息とものすごい疲労感。

    「褐色の肌の女兵士」の冷酷さに現在も続くイスラエルの歪みが映し出されている。アラブ等非欧州系ユダヤ人はスファラディムやミズラヒムと呼ばれイスラエルでは二級市民扱いで差別されるが、同時に対アラブの盾として国境警備隊等でパレスチナ人に直接暴力をふるう当事者。

    イスラエル国内の極右支持層・対アラブ強硬派にはこの「褐色の肌の女兵士」のような非欧州系ユダヤ人が多いらしい。ブルーハーツのTRAIN-TRAINの歌詞「弱い者たちが夕暮れ さらに弱いものをたたく」と、EDEN4巻の崔とリュウイチの会話を思い出した。

    そもそもが政治的に造られた対立・暴力の構造が、作品が発表された61年前から何も変わっていないことに呆然とする。まるで時間が止まったみたいに暴力がずっと続いている。「なんだこれマジでクソだな」って気持ちでいっぱいだ。結末は映画『オマールの壁』のラストを思い出させる。

    ちなみにラムレの場所はテルアビブの南西、リッダ(Googleマップの表記はロッド。ちなみにDAMの故郷。)の南西隣。……多分。地図上の表記は「ラムラ」。レでもラでもどっちでも良いのかな?ラマッラーと混同しそう。

    『短編コレクションⅠ』は約3.5cmとそこそこイカツイ厚さだけど、#ラムレの証言 自体は僅か6ページなのでさくっと読めます。楽しい話じゃないけど何度も読みたくなる。読後はどっと疲れますが、夏の日差しと暑さを感じながら短時間で重苦しい気持ちになりたい人にオススメ。

  • なかなか普段は読めない、凡ゆる時代の凡ゆる文化の短編が読めてよかった。
    好きだった、印象に残った話:
    「色、戒」 張愛玲
    「朴達の裁判」 金達寿
    「レシタティフー叙唱」トニ・モリスン
    「母」 高行健
    「面影と連れて」 目取真俊
    案外アジアの国の作品が好きなようなので(翻訳の問題もあるかもしれないが)、もっと中国や韓国の文学も読んでみようと思った。また、他にも前から読みたかったチヌア・アチェべやマーガレット・アトウッドの作品が収録されていたのも良かった。文体が好きなのでそれぞれの長編も読んでみようと思う。

  • 他のコレクションも面白そうなので随時読むこと

  • 朴達の裁判が面白い。

  • 気になった半分くらいを拾い読み。
    『面影と連れて(うむかじとぅちりてぃ)』が凄かった。
    語りにぐいぐい引っ張られて,短編とは思えない読後感だった。

  • 2013/1/26購入

  • 池澤夏樹個人編集の世界文学全集はほんとうに当たりが多い。この全集でエリアーデの”マイトレイ”、クンデラの”存在の耐えられない軽さ”に出会った。
    今回は短編コレクションで世界各地の作家の作品が収められていて、”肉の家”と”色、戒”が好きになった。

    ”若い革命家たちに陰謀、暗殺計画、退廃した富裕層、セックスの罠、それに(たぶん)恋…この話にはエンターテイメントの長篇一冊分の素材が詰まってる”

    佳芝の極限状態での心の揺れ、そしておそらくは恋についての、色気のある短編だった。

  • 池澤さん編ってことでオススメされていたから読んでみたけど、あまりこういう短編って得意でないのかも……
    事件を起こして、その事件の解決が明確で無い、ってのが苦手らしいです。

    「ささやかだけれど、役にたつこと」これは、つらい話。でも人間、ご飯ってすごい大事。
    「小さな黒い箱」これ、本当にこの後どうなるのよ……好きなタイプの話なんだけど。浅倉さん訳だからサイバーパンク思い出したし
    「ラムレの証言」ユダヤ人も被害者であるが、彼らがパレスチナ人に加えた、街角での無情な暴力の話。子供の健気さが、つらい。どこも被害者ばかりだ、あの地は。

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