古井由吉自撰作品 3 栖/椋鳥 (古井由吉自撰作品【全8巻】)

著者 : 古井由吉
  • 河出書房新社 (2012年9月11日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309709932

作品紹介・あらすじ

初期長篇三部作の第二巻。崩壊の発端を細密に描く「栖」、人間の関係の迷路をめぐって生の闇を暴く短篇集「椋鳥」。古俗と聖性の土地から都市へ、性と出産、関係の失墜、狂気の進行。人間の営みの深い淵をえぐり、現代の男女の危うさを定着した著者円熟期の傑作。

古井由吉自撰作品 3 栖/椋鳥 (古井由吉自撰作品【全8巻】)の感想・レビュー・書評

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  • 森羅万象を無慈悲に切断するメスの純白のきらめき

    本巻に収められたのは一九七九年刊行の「栖」と八〇年の「椋鳥」の長編二作である。長編というてもそのおのおのが六から八つの短編小説から成り立っていて、ある意味ではそれぞれが独立した小説世界を構築していると評してもよろしい。

    結ばれた数珠の一つひとつに男と女の激烈な戦いともたれあいが透けて見えて、また似たような男女が繰り広げる似たような悶着が繰り拡げられているとなりの透明な数珠に繋がってゆく。

    鎌のような月が冴えわたる真夜中に繰り広げられる四畳半の密室に閉塞した男女の交合といさかい。なまぐさい口臭や肉と生理のおぞましい叛乱の気配が夜のしじまに漂うのだが、朝になればなんの残骸も痕跡も留まることはない。これは荒涼とした都会に生きるのぞみのない男女のいつかどこかで見たような、もしかすると若き日の私たち自身の姿だ。

    されどこのような地獄の蝮のごときからみあいの意味について君は深刻に考える必要はない。これらの文章は所詮は読んで楽しく面白い単なる読み切り小説なのだから。

    それにしてもここで古井由吉が駆使している日本語の切れ味の鋭さよ。私は思わず尻の穴から忍び入って大腸の無数のポリープを無慈悲に切断するメスの純白のきらめきを思った。

    古井由吉撰集パタリと閉じて思う男の妄想の凄まじさ 蝶人

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