指の戯れ (the BUNGEI TREASURY)

著者 : 山田詠美

• 河出書房新社 (1986年5月1日発売)

感想・レビュー・書評

[読本さんの感想 · 2023年10月20日]

終わりが衝撃的だった。主人公である彼女が最も軽蔑しているであろう愛の育み方をしている。
主人公の過去も相手の過去もうまく絡み合っているものだと思っていたのに彼女は当時の人間関係を捨てきれず、彼も当時の人間関係を勇気を出して変えることができなかったために絡み合わなかったのは可哀想だ。
しかも、此の本を読むと僕の想像だが主人公は自分の本心を曝け出していたが、彼は本心を曝け出してはいなかったのがうまい対比だ。（主人公は偽ることは出来たが、彼は出来なかった）
最後に、此の本は結構エロティシズムな単語が出てくるので苦手な人はやめておきましょう。（そんなに頻繁に出るものではないですけど、一章に一個ぐらいです。全部で十三章あります）

著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」