モダンガール大図鑑 ---大正・昭和のおしゃれ女子 (らんぷの本)

著者 :
  • 河出書房新社
3.25
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本棚登録 : 134
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309727981

作品紹介・あらすじ

キュートで可愛くて、おしゃれでモダン。セクシーでちょっとキッチュ。100年前の日本に突然あらわれた「モダンガール」。ショートヘアに、念入りなお化粧。ドレスやハイヒール、冬にはトレンチ、ダッフルコートであでやかに装う。銀ブラでデパートに出かけ、シネマを楽しみ、カフェやパーラーでひと休み。時代の寵児だった「モガ」の魅力にせまる、初めての1冊。未発表図版満載。

感想・レビュー・書評

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  • モダンガールは断髪に洋装。香水と細いシガレット。
    なんてイメージは、昨今の昭和ブーム・大正ロマンの愛好に
    よって、誰もが持っていると思う。

    家に閉じこもりがちの楚々とした令嬢。
    やわらかものの着物のたもとを揺らし、優しく微笑む。

    そんな女性像もまだ生きていた頃
    モガって何が新しかったのか。

    女の命と言われた黒髪をバッサリと切り、細身の体に纏った
    ドレスはなんとも大人っぽい。一見して男性の言いなりには
    ならなそうな感じの、だけどなよらかで誘惑的な彼女達。

    働いて、自分のお金で装い、街を闊歩する。

    明治以降の女性の変化には、都市文化の醸成が進んで
    「家で働くか、そうでなければクタクタの身体を休ませる」
    という選択肢の他に、富裕層や勤労女性であれば、自分の
    お金で余暇の時間に、スポーツ・遊び・旅行・買い物…。
    およそ今の私達が楽しんでいるレジャーを自分の意志で
    行う、という行動が可能になっていったということがある。

    モガとはこれすなわち、都市文化の華やかな楽しみを
    思い切り享受した女達の姿なのである。

    だから、遊んでいる姿・装っている姿ばかりが活写され
    まだまだそんな自由はなかった女達に羨望の眼差しと
    ちょっと蓮葉ではしたないイメージをも持たれていたはずだ。

    モボたちの相手をする、享楽的な妖しい女、という感じが
    つきまとうのはこのせいではないか。

    モガたちが、その生活を維持するために、
    実はまじめに働いていたり、
    家庭の中で夫であるモボたちに、自分に釣り合う
    格好のいい女で居てくれと言われつつ、女中さん達に
    差配をしていたり、という姿は、隠れていて
    浮かび上がってこない。

    都市がが爛熟して文化の幅が広がると、それまで表面化して
    こなかった文化の担い手や享受者を使って、新しい理想の
    憧れ像を仕立て、広告や商業のベースに載せて活性化する。

    そのターゲットであり広告塔であったのが、モガだった
    のではないかなと、この本を読んでいて考えたのだった。

    それにしても、当時はなんて粋で瀟洒で、香り高い
    モードの時代であったことか。

    豊富な図録を見ていると、本当にこの時代のモガって
    格好いいし優雅だ。当時の中ではおてんばなのだろうけど
    今から見れば女らしいし、十分行動的で。

    ああ、見習いたい。

    永井荷風を読む時に、この本の著者の都市文化論や
    モガ論を頭に入れて読むと面白いかもしれない。
    見てるだけでも楽しい本でした。

  • 古いモノ好きである。しかし未発表図版って???

    河出書房新社のPR
    「大正・昭和初期、新しい仕事につき、モダンな洋服姿の女性が街を闊歩した。モダンガール(モガ)の登場である。化粧品、デパート、カフェ 。モガの暮らしも紹介。未発表図版満載!!」

    • tmnkさん
      正に欲しい本でした、ありがとうございます。モガについての本ってわりとないんですよね。
      正に欲しい本でした、ありがとうございます。モガについての本ってわりとないんですよね。
      2012/11/11
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「モガについての本ってわりとない」
      そう言われてみれば思い出せない。石川桂子「大正ロマン手帖」や海野弘「モダンガールの肖像」くらいかなぁ、、...
      「モガについての本ってわりとない」
      そう言われてみれば思い出せない。石川桂子「大正ロマン手帖」や海野弘「モダンガールの肖像」くらいかなぁ、、、
      2012/11/12
  • 私は生まれる時代を間違えた!
    でも大正時代に生まれていたら
    モダンガールなんてものはやらなかったんじゃないなか?
    カテゴラリーの中にいれられるのもつまんないものね。
    でもこの中の絵はがきのファッションや趣味嗜好は、私の大好きなものばかり。お酒と煙草を除いてはね。


    ダンガールの資格10カ条

    1、しとやかさは敵。

    2、甘味屋など行かず、喫茶店でジンジャーエールを飲み、
    ゴールデンバッドをふかすべし。

    3、洋酒は一通りこなし、
    「あら、可愛いロビンだ事!」とボーイをあしらい、おごらせるべし。

    4、流行雑誌は軽率に買わず、自分のオリジナルスタイルを貫くべし。

    5、シネマに夢中になるべし。

    6、招待状を持って、めかしてダンスホールへ行くべし。

    7、土日はゴルフマンの格好の男性を連れて銀座へ行き、
    最低11回は往復すべし。

    8、伊勢屋(質屋)には、つけぼくろを。
    どんな時もおしゃれ心を忘れるべからす。

    9、間服(季節と季節の間の服)を油断せず用意すべし。

    10、利害関係のある男性には唇を許すべし。その際、
    熱く見つめて「あなただけよ。」と添えるべし。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ダンガールの資格10カ条」
      ふ~ん、、、何だか理解し難いのもあるけど。素敵な取り決めですね。
      「ダンガールの資格10カ条」
      ふ~ん、、、何だか理解し難いのもあるけど。素敵な取り決めですね。
      2012/12/18
    • クマコ・ヘンリーさん
      わたくし1番は難なくクリアでしたぞよ^.-
      わたくし1番は難なくクリアでしたぞよ^.-
      2012/12/19
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「1番は難なく」
      なんと!←思わず褒め言葉を述べそうになっちゃいました。。。
      私は5番なら(男だから関係無いけど)、、、
      「1番は難なく」
      なんと!←思わず褒め言葉を述べそうになっちゃいました。。。
      私は5番なら(男だから関係無いけど)、、、
      2013/01/08
  • 大正〜昭和初期の過度期を颯爽と駆け抜けたモダンガールたちのイラストや広告画を中心に収録。

  • 着物から洋装へ。そんな大正〜昭和初期の過度期を颯爽と駆け抜けたモダンガールたちのイラストや広告画を中心に収録。モダンガール=モガだから洋装中心かな?と思っていましたが、着物に断髪のモガもいたりして、なかなかバリエーションに富んでいて楽しい。豪快に煙草をふかすモガの広告とかすごすぎ。この本のおかげで小林かいちの存在を知れたのが有難かった。しかしこの頃のポスターは手描きなのにデザインがモダンでカッコイイ。

  • 大正末期から昭和初期の女性風俗を、絵葉書やポスター、広告をもとに紹介。

    勘違いされやすいのだが、モガのように華やかに生きられたのは庶民ではごく一部。新中間層と呼ばれた世代。多くの農村では、学校もいけず、子守りや奉公で中退した子女たちが多かった。

  • モダンガールってすごい。
    カフェとか車、ゴルフ、飛行機、いろんなものが日本にやってきて、近代化していった。それと同時に女性の社会進出も進んでいった。

  • <閲覧スタッフより>
    大正から昭和にかけて都会を颯爽と闊歩したモダンガールたち。「モガ」と呼ばれた彼女たちは、自立と自由を勝取った新しい女性の時代を体現した存在でした。そんな女性たちのオシャレや華やかな時代感覚を多彩な図版とともに紹介しています。
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    所在番号:367.21||イク
    資料番号:10218262
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  • この時代の女性たちはしとやかですが、モガと言われる人たちは意外と大胆で女を出している。たくさんの絵の中でも表紙の女性はとてもセクシー。
    作家としては小林かいちの絵が好きです。

  • 昭和初期に描かれた絵葉書やポスターの中のモダンガールを収集したビジュアルブック。
    全ページカラーでないのがなんとも残念。
    「SIN」とだけ署名された絵葉書作品が特にすばらしい。アール・デコをここまで理解した画家が日本にいたとは!
    「SIN」の描いたものだけで一冊企画してもいいほどだと思う。

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著者プロフィール

1957(昭和32)年、京都市東山区生まれ。実家は三代続いた京料理店。副業として切手商を営んでいた父の影響を受け、小さい頃より切手、切符、展覧会チケットなどの収集を行う。京都市立堀川高校を卒業して上京し、東京大学文学部美術史専修課程で西洋美術史を学んだ。産経新聞文化部記者を早期退職し、現在は絵葉書・地域史研究家として執筆活動などを行っている。主な著書に『ロスト・モダン・トウキョウ』(集英社)、『モダンガール大図鑑 大正・昭和のおしゃれ女子』(河出書房新社)、『2005日本絵葉書カタログ』(里文出版)、『日本の美術絵はがき 1900-1935』(淡交社)、『東京古地図散歩【山手線】』(フォト・パブリッシング)ほか多数。
本書では駅周辺の解説、沿線案内図・地図・写真解説等を担当。

「2023年 『東急電鉄池上線沿線アルバム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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