- Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309760865
作品紹介・あらすじ
日本語の美しさ、奥深さ、格調の高さ…名品かるたで楽しむ日本の秀歌。くわしい解説、鑑賞辞典で歌の意味、技法がよくわかる。
感想・レビュー・書評
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一番の特徴は、百首すべてについて、冷泉家所蔵の日本最古の歌ガルタが、カラーで大きく載っていること。これら歌ガルタを見ているだけでも、歌に込められている雰囲気が伝わってくる。百首それぞれに、定番の現代語訳、歌人紹介、解題。いくつかの歌についてはゆかりの地の写真なども。巻末にコラム、簡単な「鑑賞辞典」。
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現存最古のカルタの画像と共に、歌の紹介をしています。
全カラーページで写真を多用しているので、臨場感を持って歌の雰囲気が味わえます。
業平が詠んだ、竜田川の紅葉の美しい写真を見た時には、感激しました。
歌留多は、日本固有ののものだと思っていたら、ポルトガル伝来のものだったんですね。
室町時代末にヨーロッパからカルタが伝来し、その題材として百人一首が有名になったそうです。
そんな歴史は全く知らずに、子供の頃からカルタに馴染んできました。
歌人のプロフィールがよくわからなずにいましたが、簡単に紹介文がついていたので、血縁のつながりなども知ることができました。
大江千里が在原業平の甥だったとは。
また、「源氏物語」で朧月夜の君が口ずさんでいた歌は、大江千里の歌だということも知りました。
古典文学同士、繋がりがあるものですね。
雅な貴族の知的な遊びというイメージが強かったのですが、歌合で平兼盛に敗れた壬生忠見は、ショックで死んでしまったらしいと聞き、歌にかける当時の歌人たちの本気度に驚きました。
百人一首には、公平に両者の歌が収録されています。
著者は、各歌の解説をしながら、理知的だとか論理が勝っているなどと批評しています。
学者でありながら、著者は情を重んじているように思います。
ただ、それこそ理論的に淡々と各歌を紹介しているので、どの作品にもあまり感情移入はできないものの、歌の説く当時の背景なども説明されており、ためになりました。
真面目に学べた一冊です。