図説 だまし絵: もうひとつの美術史 (ふくろうの本)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (127ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309762388

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  • だまし絵とは何か?その技法、表現についてを作品から考察。
    序 本物そっくり I 建築空間の偽装 II 蠅と貼り紙
    III 加速するゲーム IV 壁龕と変装 V 棚の現象学
    VI 描かれたカーテン VII表層の戯れ
    VIII 状差しという意匠 IXぶらさがるオブジェ
    X これはだまし絵ではない 結び
    参考文献一覧。

    精巧な描写で鑑賞する眼を欺き、錯覚を引き起こし、
    遠近法も取り入れ、三次元な奥行きをも表現する、
    本物そっくりなだまし絵。
    建築空間の偽装と仰視法による天井画は、
    こちら側に出てくるようなイリュージョン。
    本物そっくりな蠅の意味。
    後から貼られたような貼り紙は画家自身の存在の誇示。
    ウァニタス画の典型的な髑髏とハイムレイツの過激なだまし絵。
    壁龕には何をいれる?静物?彫刻?それとも信仰?
    凸面鏡のような設えに描いた中に、収まったのは自画像。
    棚にあるのは日常品、本、珍物&奇物。戸棚の中には何か?
    取り払ってみたくなるカーテン。
    画面を覆い重なるもの。ぶら下がるもの。
    著者曰く、エッシャーやアンチンボルト、国芳の絵や
    アナモルフォーシスは、似非だまし絵だそうな。
    専門用語が多く、読み進めるのが大変でした。う~ん難解。
    全ての画像がカラーだけではないのも、残念です。

  • だまし絵といえば
    エッシャーの流れる水の建物の絵のイメージでしたが
    この本では 本物そっくりに だましているという 内容でした。

    はじめの方に
    先日見たばかりの
    カラヴァッジョ の「果物籠を持つ少年」「バッカス」が載っていました。
    展示会の時にも 絵の説明で 果物を本物と間違えて鳥が来た けど
    人が上手く描けていなかった~~~ 
    人も本物のように見えてれば 鳥は 怖がってこなかったのにと いう 逸話です。

    うーむ。。。
    本物以上に本物のように描くって 凄いですよね~~

    キャンバスにカーテンを描いて
    見ている人が
    「カーテンをどかして (下の絵を)見せて」 と言ったら
    やった!!って いう 気分になったみたいです。

    そういう だまし絵の数々が 描かれていました。

    面白かったのは
    キャンバスの裏を描いた作品。
    表が見たい~~
    って これが 作品だよ~~ん みたいな 感じで・・・・

    ぶる下がるオブジェでは
    高橋由一の鮭も載っていました。
    由一は 多分留学先で このだまし絵を見たのでしょうね~~

    で、一応最後に エッシャーや歌川国芳の人が沢山くっついて人の顔になってるものも載っていましたが これらは 今回の本物そっくりという概念から 離れているので 違う枠にという事でした。

    本だと印刷の関係でいまひとつ ふーんっていう 感じですが
    実際の オリジナル作品は 
    確かに 本物と見間違えるくらい 
    質感などが ばっちり描かれていました。

    今回 たまたまオリジナルを数点 見た後だったのでこの本は 面白く読めました。

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著者プロフィール

谷川 渥(たにがわ・あつし):美学者、批評家、文学博士。東京大学大学院美学芸術学専攻博士課程修了。國學院大學文学部教授、杭州師範大学客座教授、京都精華大学客員教授などを歴任。日本近代芸術史の諸問題を踏まえながら、マニエリスム・バロックからモダニズム・現代美術にいたる広範な領域を視野に収め、多様な〈美的表象〉を渉猟し、美学と批評を架橋する。著書に『形象と時間』『美学の逆説』『シュルレアリスムのアメリカ』『鏡と皮膚』『図説だまし絵』『肉体の迷宮』『幻想の花園』『ローマの眠り』など多数。

「2023年 『三島由紀夫 薔薇のバロキスム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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