蒼翼の獅子たち

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 38
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309907871

作品紹介・あらすじ

時は明治初年、新しい国のかたちが定まらないころ。四人の若者が、マグマのような熱い情熱と石清水のような清冽な理念を胸に、この国の未来を創ろうともがいていた。わずか数年前、新政府軍と幕府軍に分かれて戦っていた彼らが、なぜアメリカに渡ったのか、なぜ日本で大学を創ろうとしたのか。時代が人を産み、人が新しい国を育てる。本書は壮大なボーイズ・ビー・アンビシャスの物語である。

感想・レビュー・書評

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  • 僕が初めて直木賞作家 志茂田景樹さんを見たときにどうしても作品に手を伸ばすことができなかった…

    https://www.youtube.com/watch?v=TncKvrcpyqc

    やっぱり直木賞作家というよりも虹色ブロッコリーだよ~と思いつつ、今年初めて読んでみました。どちらかというと架空小説が多いので、笑い中心なのかなと思って手を出さなかったのもあります。だって「戦国の長嶋巨人軍」長嶋茂雄率いる巨人軍が戦国時代にタイムスリップして織田信長と共に天下取りを目指すメークドラマ……こんなの手に取れないよ~阪神タイガースなら取るかもしれないですけどねwww

    2008年本作を執筆して以来、筆を休めている状態ですね。

    「蒼翼の獅子たち」
    https://www.youtube.com/watch?v=nUECX24NSew

    ちなみに「学校をつくろう」のタイトルで映画化されている作品です。今の専修大学を作った4人の若者の話です。

    明治維新を迎え刀をペンに変えて武力から知力で欧米に追いつけ追い越せで海を渡った若者たちのサクセスストーリー。話の中心は創立に深く関わった、相馬永胤と目賀田種太郎、田尻稲次郎と駒井重格の4人。ほかの大学の創立者といえば維新にも深く関わり名を残した方たちばかりで特に気に止めなかったのですが、この4人のお名前は初めて知りました。

    それぞれの大学で日本人が主席かそれに近い成績で卒業をしていた明治維新当時。ある意味アメリカは日本人に対して危険性を感じていたのではないでしょうか?そして惜しまれつつもアメリカから帰国して苦労しながら自分たちの目指した教育にたどり着く!

    志茂田景樹さんなんですよ!本当に面白い!というよりも451Pでは物足りなさすら感じられる。僕の年でも共感できるし、憧れる。やり直しがきくならと思ってしまう。今の若者たちにはおすすめの1冊かもしれません。久しぶりに心が熱くなる1冊でした!

  • 4人の若者がアメリカ留学時に出会い、法律・経済の研鑽を積みながら、専修学校創立に向けて活動する姿を描いた小説。

    専修学校(専修大学の前身)の創立者4人の物語。「日本人による日本語で法律・経済を学ぶ学校を作る」という大志を胸に、時に励まし合い、時にケンカをして、悲恋や死別、苦境を乗り越えて、学問の研鑽と夢の実現に動く若者たちの姿に心を動かされます。

    本書を読むと向学心に火が着きます。多くの人に読んでもらいたい一冊。

  • 「エデュセッション」で知る(2011.12.3)

  • 映画「学校をつくろう」に感銘を受けて、原作である本書を読むに至りました。

    映画同様、明治の志士達の活躍が、どこか手抜きをしている我々に対して、大きな衝撃を与えてくれます。山川健次郎の本も読みましたが、明治時代の留学モノは良いですね。

    当時は当時で大変な時代だったと思いますが、夢を見つけやすい時代だったのかもしれません。もちろんそれは私の甘えが含んでいる表現ですが、何かを成し遂げるには、絶対やらなければならない理由が必要である事は、強く実感できました。

    良い影響を与えて貰いました。

    ありがとうございます。


    以下、本書で共感した箇所です。

    (page.113)
     「うちの大学には入学者はキリスト教徒でなければならないという学則があるんだが、きみはキリスト教に改宗してくれるかね」「いいえ、改宗はしません」「えっ、なぜだね?」「便宜的に改宗することは、絶対したくありません。キリスト教の是非を論ずる知識も体験もありませんが、いまはキリスト教徒以上に自分を律し、常に真実を求めて自分を磨いています。いまの自分にそれ以上のことは必要ありません」

    (page.149)
     以前はするどいまなざしだったが、深いまなざしになっている。

    (page.180)
     「あんたは官軍だったけど、戦って倒した相手への罪の意識というかたちで戦争の爪跡をしまってるね。しかし、あんたは若いんだから、どんどん勉強してさ、そんなもん気にしなさんな。むしろ、その体験は、この先、いろんなところで大いに生きてくるよ」

    (page.296)
     「いいかね、弁護するということはその人の社会で生きる権利を守ることなんだ。無実の罪を晴らすのもそれが目的ではなく、そうすることで、その人の社会における権利を守るということなんだ。これを履きちがえると、どうなるか・・・・・・」

    (page.300)
     高木も山脇も時代の荒波にいく度も翻弄(ほんろう)されながら、その都度、変転しながら乗りきり、それぞれの人生を切り拓(ひら)いている。見習うべきものがある、と駒井は羨望まじりに高く認めている。

    (page.408)
     「永胤、あなたは働きすぎでしょう」伯母幾田にあきれられたが、相馬はいっこうに意に介さぬどころか、新たな問題に首を突っこんでいくのである。

    (page.449)
     単に法律の知識を経済の知識を授ければいいのではなく、いかに高邁(こうまい)な志を立てられるか、いかに心をゆさぶる夢を描けるかをともに考え、伝えていかなければならない。それがわれわれの新たな志になる

    (page.451)
     ヘボンの辞書一冊を懐に抱いて、常に志を磨くことにひたむきだった結果がここに実っている。しかし、これからは専修学校の精神という懐にわが身をおいて、志を立て夢を抱いてここに集う学徒たちとそれを共有していかなければならない。われわれと共有できた者たちがさらにその後輩たちとそれを共有できる。それがくりかえされていくかぎり、この専修学校の精神は悠久の歳月を経ても滅びることはない

  • 913.6 シ 登録番号8100
    寄贈

  • う〜ん,残念。なぜ企画者はこの著者を選んだんだろう。同じテーマで司馬遼太郎が書いていれば…。

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著者プロフィール

作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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