ナンシー関 永久保存版: トリビュート特集 (KAWADE夢ムック 文藝別冊)
- 河出書房新社 (2003年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309976464
感想・レビュー・書評
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*レシートが挟んであったので購入日が分かった。
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ナンシー関については、ほとんど知りませんでした。正直、田口ランディとごっちゃになっていた位です。
以前、訃報を聞き、彼女が消しゴム版画家で、毒舌TV評論家だということを知りましたが、それ以上の情報も持っていなかったため、このムックを読んでみました。
彼女に関するトリビュート特集なので、さまざまな芸能人や文筆家が彼女に関しての寄稿がまとめられたもの。
段分けされ、けっこうな文章量となっています。
経歴や素性がわからなかったため、怖そうなイメージがありましたが、かなり純粋な人だとわかりました。
芸名のようですが、決して芸能人ではなく、あくまで一視聴者として、ブラウン管の向こうの芸能界を批評し続けた人だというところに、姿勢の一貫性を感じます。
何より、版画のクオリティの高さには驚きました。決め台詞が文字として入っているという技巧の高さには脱帽です。
ナンシーという名は、本名の直美からで、本人ではなくいとうせいこうがつけたというのも初耳でした。
いとう氏がプロモーターだったわけですね。
ほかにリリー・フランキーやみうらじゅん、山田五郎にテリー伊藤に松尾貴史などが寄稿しており、(なるほど、彼らと同じサブカル系列の人だったのか)と理解しました。
どの寄稿からも、みんなにとても愛された人だということが伝わってきます。
青森出身ということも驚きです。
芸能情報に詳しいため、てっきり都民かと思っていたので。
逆に、青森は放映番組が少ないからこそ、芸能に飢えており、情報通になるのだという説明がありました。
一般人なら見逃したり、聞き流してしまうような細かいところに鋭い視線を投げかけるところは、確かにそうかと思います。
日本を代表する版画家、棟方志功と同郷人だという誇りを持っていたという彼女。
確かに、若干違いはありますが、彼の系列を引いている人かもしれません。
これまで、彼女のような存在はなく、これからもなさそうな独特の立ち位置を築いていた彼女。
その後、彼女の存在に匹敵する技量を持ったポストナンシーが現れないのは、芸能界にとっても視聴者にとっても残念な限り。
その突然すぎる死は、確かに深く惜しまれるべきものだったと、このトリビュートを読んで実感しました。 -
たぶんいまよりもうちょっとテレビがおもしろかった時代の、ナンシー関という才能の、奇跡。や、もしかしたらナンシーがいたからテレビはぎりぎりもっていたのかも、なんて思ってしまう。
インタビュー記事が読みづらいのが残念。話はあちらこちらへふらふら、記事自体がサブカル感出しちゃってる感をさせちゃってて、もう。自意識に徹底的に厳しかったナンシーを見習ってほしかったなあそこは。
あと、一冊の雑誌の中でそう同じ話を繰り返し出さなくても。冗長。
とは言っても、全体としてはとても楽しく読めました。いっぱい笑った。みんなが言うように、今のテレビを観たらナンシーは何と言うだろう、とおもう。
リアルタイムで彼女を知らなかったことが悔やまれ、追悼文は素直に読めず。未知と既知の絶望的な差異。いとうせいこうの文章はかっこいいね。 -
21/1/14 60
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てらちゃんからのお見舞い本
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この人ほど「不世出」という言葉が似合わないようで似合う人もまたとない。
「彫られた気になる人々ベスト50」を見ても「そう来るか!」というフレーズが並ぶ。
たとえば「橋田壽賀子は、意外とひんぱんに水着姿を披露している」
「だからどうだ」を一歩超えて、橋田壽賀子という人について何か真実をついているように見える。
ただ彼女には、「なぜナンシーなんだ?」(直美から来ているとは思うが)、そして「なぜそんなに太っているんだ?」、
そして「なぜそんなに早く死んだんだ?」、とつい言いたくなってしまうのだ。 -
ライターという職業について考える。
なにを見て、なにを書くのか。
この人だったら、あとなにを彫るのか。 -
ナンシーさんが皆から愛されていることがよくわかる一冊。