感想・レビュー・書評

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  • 『なんて素敵にジャパネスク』、『銀の海金の大地』、思春期のころ夢中になって読んだ本があった。

    少女小説というジャンルを生み出し、最後には否定した作家。多くの名作を生み、晩年は寡作で知れた人。
    没後10年という記念誌として、氷室冴子という特異な人について、さまざまな友人、編集者、作家、評論家が語った一冊だ。

    すごくすごく好きだった物語の片鱗を、思い出す。改めて考えると、氷室さんの作品に感受性の強い年齢で出会えたのは豊かな体験だったと思う。読んでいるその当時は思いもしなかったけれど、作品には、確かな知識と裏付けと強いストーリーと強いキャラクターがいて、なんて贅沢な物語だったのだろう。

    寄稿した名のある作家の面々を見てもこの人は類い稀な作家だったなのだなと思う。
    どれだけの人間が彼女の作品に夢中になり、影響を受けたことだろう。

    一つの時代を、大袈裟ではなく生み出した人だったのだと改めて思う。
    読んでいて、すべての作品を再読したくなった。

  • 亡くなってからだいぶ経ってしまったけど、変わらず大好き。インタビューばっかりかと思ってたけど、短編がいくつかあったのがよかった。

  • 小説であれ、音楽であれ、絵画であれ、
    自分の心にまっすぐに触れたなら
    それがどんなジャンルだろうが、マイナーだろうが、メジャーすぎようが、
    そのことは、とことん大事にした方がいい。

    その作品を生み出した人が、あっという間に別世界に旅立っていってしまうかも知れないのだから。

    私には、氷室冴子さんのことでした。

    生前の彼女のインタビューや周りの人たちから寄せられた文章がたくさん。
    彼女について、知っていたこと、漠然とそうじゃないかなぁと思っていたこと、意外だったことがいっぱいつまっています。読んでいると、氷室さんの作品を夢中で読んだ時が戻ってきます。

    せっかくだから、感じたことを少しだけ。

    久美沙織さんのエッセイに出てくる氷室さんが久美さんに語った言葉
    「売れ行きも人気も幻よ。私たちは少女のこころに深く響いて残るもの、十年後二十年後の少女たちにもそのまま届くようなものを書かなくてはならないのよ!」

    氷室さんは、その通りの作品を生み出されたと思います。さらに、それは、たんぽぽの綿毛のように風にのって広がって、当時の少女、今も心は少女の多くの人々の心に中に根をおろし、次の花を咲かせたのではないでしょうか。ある人は小説家を志し、ある人は古典文学に惹かれ、みんなの心のどこかに、今も、応援歌のように残っているのではないでしょうか。

    「海がきこえる」の挿絵やアニメ化に携われた近藤勝也さんのインタビューに出てくる話
    かの宮崎駿さんは、拓が酔いつぶれた里伽子をベットに寝かせて布団をかけるシーンについて、あの年頃の男ならいろいろ思うことがあるはずなのに、なんであんなにさらっと表現するんだ、それでも表現者かと言い、対抗して「耳をすませば」を作ったらしい。

    でもね、宮崎さん、そこは怒るとこじゃないでしょ。だって、同じ10代後半の女の子の恋の話でも、描きたいものが違うのだもの。どっちの作品がいいとかの話じゃなくてさ。それはそれで、いいんだから。
    (柚木麻子さんは、本屋さんのダイアナで、全く別の10代後半の女の子の恋を描いてるしね。)

  • 氷室冴子が亡くなってから没後十年となり、私自身はおばさんになりましたが、中学生の頃に夢中で読んだ作者の本は今なお色あせずに思い起こされます。何せ卒業アルバムには友人からのいつまでも高彬ファンでいてねというお言葉までもらっているくらいです。
    そんな氷室冴子を知る人々からの想いが詰まった別冊本はとても読みごたえがあり、中には氷室冴子のエッセイまでもが再録されているというお得な本でありました。
    多分少女小説というジャンルを知った最初の作者であり、多分ほぼすべての著作を読みつくして、何故続きが出ないまま亡くなってしまったのかと嘆いた作者の一人でありました。

  • 小学校のクラスの学級文庫に置いてあったけど大人気だった。自分もすきだった。懐かしい。

  • 2018年8月29日購入。

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著者プロフィール

氷室冴子(ひむろ さえこ)
1957年1月11日 - 2008年6月6日
北海道岩見沢市出身の作家。本名、碓井小恵子(うすい さえこ)。1980年代から1990年代にかけて集英社コバルト文庫を代表する看板作家だった。藤女子大学文学部国文学科在学中、第10回「小説ジュニア青春小説新人賞」へ「さようならアルルカン」を応募、佳作を受賞してデビュー。宝塚歌劇をモデルにしたコミック『ライジング!』原作者を経て、作家に専心。
以降多くの作品を手がけ、『なんて素敵にジャパネスク』シリーズ、『銀の海 金の大地』シリーズなどが代表作となる。『海がきこえる』は1993年にスタジオ・ジブリでアニメ化された。2008年6月6日、肺癌で逝去。

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