人生100年時代を生き抜く子を育てる! 個別最適化の教育

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  • 学陽書房
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784313653887

作品紹介・あらすじ

文科省・文科省それぞれが今年6月25日に発表した教育政策で、重なるキーワードとして登場した学びの「個別最適化」。それはいったいなにか? これからの時代を幸せに生きる力を育てる鍵がそこにある!

感想・レビュー・書評

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  • モニターとして、一足先に読ませていただきました!
    いろいろな視点が得られたので、ブログにまとめます

  • 個別最適化の教育とは、「子ども本人や保護者が勉強する分野を自由に選択できる」こと。大学のような最高学府からではなく、小・中・高の時代から選べるようにするのが特徴である。

    子ども達が主体的に学ぶことを実現させるカリキュラムが、「学び合い」である。
    「学び合い」とは次のような教え方である。
    ①教師は、「目標は、クラスの全員が数学の問題を達成することです」と伝える。
    ②子どもは、自分が問題を解いた後、他の子に教えるためにクラス中を移動していく。
    ③できる子ができない子をサポートし、その子が違う子をサポートする、という連鎖が生まれる。
    ④教師は授業中アドバイスをしない。授業の最後に、「全員が自分の課題を解決できたか」を確認するだけ。

    学び合いに対する意見に、「大人が介在せず、子どもたちだけで学ばせることに問題はないのか?」というものがある。これへの対抗意見は次の通り。
    ・子どもがつまづいている箇所は、大抵はささいなポイントであるため、教師が教えずとも子どもが教えるだけで足りる。
    ・知識が深ければ教え方が上手くなるわけではない。教え教えられる両者の理解が適度であるときに、学びが成立する。
    ・分からない子たちにとって、どの箇所が分からないのかはバラバラである。こうした子たちに必要なのは、画一的な知識よりも、一人ひとりとの対話である。
    ・「一人も見捨てないのは得」と子供たちが理解することで、学びの輪が広がっていく。

    学力向上のポイントは、本人が学力を向上させたいと思うことである。そのためには、教師による一方的な命令よりも、クラスという集団が、「学びたい」「教えたい」という雰囲気を作ることがカギになる。

    また、「学び合い」は時間がかかると思われているが、実は逆である。従来の授業形式では、先生が黒板に書いて問題を解かせる間、優秀な子は時間を持て余していた。
    学び合いならば、解き終わった子が遅い子を教えに回ることで、効率よくカリキュラムを終えられる。中には教えるためだけに全て予習してくる子もいる。

    結局のところ、「何がわからないか」「何を教えてほしいか」を理解しているのは子供たち自身なのである。
    また、それすら理解できない子供たちに対しては、同じ目線にいる仲間たちが一番的確にサポートできるのだ。

    障害を持つ子や勉強ができない子にとって大切なのは、四則演算よりも、「人とのつながりを持てるようにすること」なのだ。学び合いがそのつながりに最適なカリキュラムである。

    【まとめ】
    「学び合い」の肝は、「教師が子ども達を信用する」ことである。
    同時に、「知識ではなく、自ら学ぶという姿勢に意味がある」という理念を子ども達に理解してもらうことが、自発的で優れた学びを生んでいくのだ。

  •  文部科学省が言っている「個別最適化」について考えたくて、Amazonで「個別最適化」を検索、本書を購入しました。しかし、この本で言うところの「個別最適化」は、文科が言っている「個別最適化」とは違うということが分かりました。(p.16 ただし、文部科学省では「公正な個別最適化された学び」と表現し、公正という文言がつけられています。)

     日本の公立学校が行っている集団指導で、本当に「個別最適化」した学習が可能なのだろうか、というのが私の問題意識です。以前、「個に応じた指導」が言われ始めた頃、とても学校現場では対応できないだろうと思っていました。そのうち、特別支援教育みたいな話も出てきました。どこまで学校に、一人の教師に負担を強いるつもりなのだろう、少なくとも私はそう感じていました。

     そして、働き方改革です(笑)。矛盾です。仕事は増えて、時間は減らせ、という話です。さらに「個別最適化」、おいおい、責任者はどなたですか?

     筆者が主張するところの「学び合い」が答えになるのかは分かりません。確かに、画期的なアイディアではありますが、子どもたちの意欲、能力を過大評価しているのではないでしょうか。でも、「個別最適化」を学校、教師だけの力で実現できないことは確かです。教師はもちろん、子ども、保護者が(意図的に地域は省きます)力を合わせなければ、「個別最適化」は実現できません。

     10年後の学校はどうなっているでしょうか。残念ながら私には想像できません。

  • 今、求められる教育の在り方が書かれている。
    その点で、とても納得させられる。

    一方、将来的なビジョンには疑問も。
    これは幸せの定義が違うからで、仕方の無い部分ではあるけど、共感までには至らなかった。

  • 「予習してはだめだとは言っていないからね。」
    この一言は衝撃を受けた。

  • 『学び合い』関連の本を何冊か読まれている方ならば、半分くらいはさっと読み通せます。
    個別最適化に向けた社会的な背景、学術的な根拠の多様な引き出しはさすが西川先生…圧倒されます。
    ただ、個別最適化の教育=『学び合い』
    とするのはまだ自分の中で疑問です。
    学び方の個別最適化の手段の1つとしては『学び合い』はかなり有効だと思います。
    しかし、学習内容の個別最適化を目指すのであれば、子ども集団の成長もしくは、教師の個々のカンファランスによるものが大きいような気がします。
    その辺のもやもやを解決するためにも、改めて『学び合い』を勉強しなおし、実践してみようと思いました。

  • 教員ならば読んでおいた方がいい、知っておいた方がいい情報が多く含まれている。

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。筑波大学教育研究科修了後、東京都の公立高校教諭を経験し、その後上越教育大学で研究の道に進み、現在、上越教育大学教授、前臨床教科教育学会学会長。教科を学ぶ児童・生徒・学生・大人の姿に徹底して密着した調査と分析による研究を行っており、教育臨床学、学習臨床学の構築を進めている。

「2019年 『人生100年時代を生き抜く子を育てる! 個別最適化の教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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