愛するということ 新訳版

制作 : Erich Fromm  鈴木 晶 
  • 紀伊國屋書店
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本棚登録 : 3602
レビュー : 358
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314005586

感想・レビュー・書評

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  • 「愛とは信念の行為であり、わずかな信念しかもっていない人は、わずかしか愛することができない」という言葉に痺れる。個人的にあまり愛という言葉は好きになれなくてどちらかというと肯定感というほうがしっくりくる。フロムのこの本に書かれている愛も世間一般の愛というイメージよりは、本質は深く肯定するための技能といったことかもしれない。原題は「Art of Loving」。自分の浅い理解としてはこの本の主旨は愛する(≒深く肯定する)ためには性格が生産的な段階に達している必要があり、それは「与えられるから与える」のではなく能動的に与えることによって実践されるものであり、「与えることによってすなわち与えられる」というもの。このあたりはレヴィ=ストロースか誰かの本で読んだ少数民族の価値観であったりビル・モリソンの言葉ともリンクする。もともとはもう少し心理学的な内容を期待して読み始めた(幼児期の自己肯定感の形成に興味があった)のだが、かなり観念的な内容だったかも…。ただ、基本的に拾い読みだったものの、拾えた範囲ではフロムも資本主義の市場原理とフロムが唱える愛の相反性について言及していたりして、このあたりは頭の整理に役立った気がする。

  • 日本人の宗教感覚からするとなじみの薄い章もあるが、特に第四章はゆっくり読む価値がある。ありふれた愛という概念の中にも、何か発見できるだろう。

  • 精神分析家のエーリッヒ・フロム著。ファシズムを心理学的に分析した「自由からの逃走」の著者である。「愛」につて兄弟愛、母性愛、異性愛、自己愛、神への愛まで理論を展開。
    「異性愛は排他的であるが、相手を通して人類全体を愛する。一人の人間としか融合できないという意味で排他的であるが、兄弟愛を排除することはない」
    愛は能動的であり、一人を愛せるならば他の大勢を愛せ、他の大勢を愛せるならば一人を愛することができる。博愛的な理論であるが、真理でもあろう。

    「異性愛は独特のものであるという見解も正しいし、意志の行為であるという見解も正しい、正確にいえば、どちらも正しくない。ゆえに、うまくいかなければ簡単に解消できるという考え方も、けっして解消してはならないという考え方も間違っている。」
    う~む、難しい。果たして、人生の終わりには理解することができるようになるのだろうか。

  • ドイツの学者エーリッヒ・フロムによって1956年に発表された著書。名著です。
    一言でまとめると、愛するとは技術(知識と努力)である、ということ。
    現代の「愛」というのは、運がよければ愛すべき人に出会える、という対象の選び方として解釈されているが、それは違うと。
    つまり、愛する対象よりも能力が重要だと。
    そして、愛するというのは激しい感情ではなく、決意であり、決断であり、約束だと。
    そのためには・・・
    本書を読んでみてください。

  • 愛は技術だろうか。それとも1つの快感であり、それを経験するかどうかは運の問題であるか。今日の人々の大半は後者だと考えているが、著者の考えは前者である。

    これは絶対に読むべき本である。

    人生観を大きく変えた一冊。

  • 「与えるという行為は、自分のもてる力のもっとも高度な表現」であり、もらうよりも喜ばしい。「自分の生命力の表現」だからである。

    ハッと目が覚めたような感じがした。何かがズシリと落ちた。この本に書かれてることはやはり抽象論である。しかしながら、とても考えさせられ、時間をかけてじっくり読み込む価値は大いにある。

    この書籍は、フロム氏が人間の本性、そればかりでなく、社会の構造までを「愛」という一文字で説明することに挑戦した偉大な書物だと思う。50年後も100年後もずっと読み続けられるだろう。こういう本こそ国語の教科書に載せるべきではないかとさえ思ってしまうほどだ。

  • 「コテコテの機能付き冷房が効いた部屋で、横になりながら一冊の本について考え、使い方によっては孤独を埋めてくれるスマホをイジる」という贅沢な日常の中にいては、時代・言語・生活習慣などが自分と異なる筆者の価値観に、どれだけ寄り添えているのか分からないけれども、「愛」という壮大なテーマに関して、自分の理想像もしくは人々への勧めとして、自身の考え方を世に表明する筆者に、尊敬の念です。
    どうしても愛を求めてしまう自分が嫌で、それを改善しようと努力し思考して導いた理想像を実現するべく、世に本という形で実現を宣言した。一方で、その宣言の中には、世に承認されたいと思う自分がいて、結局「愛されたい」という人間の本質的な部分は変わらないのか、という筆者の自覚もあった。だからこそ題名に、‘art’と付け、できるだけ生来の人間の性質に上書きする形で、愛を求めるよりも相手を愛す努力をすべきだ、というメッセージを示唆したのでは、という気がしました。
    時代が違えど、食べて飲んで寝て笑う同じ人間の気持ちが、はっきり分からないというのは、とても不思議だなと感じます。
    そう考えると、愛するために必要不可欠なのは、「相手を知ること」なのかなと、個人的には解釈しています。

  • ”愛とは「世界全体にたいして人がどう関わるかを決定する態度、性格の方向性のこと」という定義(p.76)に強く共感。ただ、これはある程度いままでの自分のなかにもあった考えで、新たな行動にはつながらない。

    「合一感」「生産的に生きる」「息づいているものを与える」あたりに強く興味をひかれた。いまの自分に足りないもの、いまの自分が欲しているものかな。

    <抜き書き>
    ・成熟した愛は、自分の全体性と個性を保ったままでの結合である。愛は、人間のなかにある能動的な力である。人をほかの人びとから隔てている壁をぶち破る力であり、人と人とを結びつける力である。p.41
     ※やわらかい優しいものではなく、もっと力強い、猛々しいものなのだ。岡本太郎みたいだね (^^)
    ・与えるという行為のもっとも重要な部分は、物質の世界にではなく、ひときわ人間的な領域にある。(略)自分自身を、自分のいちばん大切なものを、自分の命を、与えるのだ。(略)自分のなかに息づいてるものを与えるということである。自分の喜び、興味、理解、知識、ユーモア、悲しみなど、自分のなかに息づいているあらゆる表現を与えるのだ。p.45?46
     ※SNSやブログなどはこのために使いたいな。
    ・愛とは、特定の人間にたいする関係ではない。愛の一つの「対象」にたいしてではなく、世界全体にたいして人がどう関わるかを決定する態度、性格の方向性のことである。p.76
     ※世界全体!方向性!! → でも、これはある意味で誰もが納得するフレーズだな。
    ・異性愛には、もしそれが愛と呼べるものなら、一つの前提がある。すなわち、自分という存在の本質から愛し、相手の本質と関わりあうということである。p.90
    ・理にかなった信念の根底にあるのは生産性である。信念にしたがって生きるということは、生産的に生きることなのだ。p.186
     ※「生産性」という意外な言葉!!
    ・信念をもつには勇気がいる。勇気とは、あえて危険をおかす能力であり、苦痛や失望をも受け入れる覚悟である。
     ※勇気はあるか? 覚悟はどうだ?
    ・能動とはたんに「何かをする」ことではなく、内的能動、つまり、自分の力を生産的に用いることである。愛は能動である。p.190

    <きっかけ>
     人間塾 2015年12月の課題図書。
     墓参りの帰り道に読了。これも何かのご縁!”

  • 約10年の時を経てようやくリベンジ読破。
    大学生の時はパラパラ眺めるだけで内容までしっかり入ってこなかったけど、今になって少し内容を咀嚼できるようになった。
    原著が出版されたのが1956年で邦訳されたのが1959年って書いてあったんだけど、60年前に書かれたことが現代にも当てはまるってそれだけ普遍的なんだなって思った。
    習練に必要な要素は①規律②集中③忍耐④関心で、更にそれは“能動的”であること。
    ↑この内容が特に印象に残った。

    “能動的”に読むことができたから初めて読んだ時よりも内容を咀嚼できたんだなと痛感。

  • 私にとって人生のバイブルです。

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著者プロフィール

エーリッヒ・フロム (Erich From)
1900年ドイツ・フランクフルト生まれ。フロイト理論にマルクスやヴェーバーを接合して精神分析に社会的視点をもたらし、いわゆる「新フロイト派」の代表的存在とされた。また、真に人間的な生活を可能にする社会的条件を終生にわたって追求したヒューマニストとしても有名である。しだいに、禅や東洋思想へも関心を深めた。
著書に、『愛するということ』『悪について』『生きるということ』『フロイトを超えて』『希望の革命』『反抗と自由』『人生と愛』『破壊』(以上、紀伊國屋書店)ほか多数。1980年歿。

「2016年 『ワイマールからヒトラーへ〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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