愛するということ 新訳版

制作 : Erich Fromm  鈴木 晶 
  • 紀伊國屋書店
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レビュー : 359
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314005586

感想・レビュー・書評

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  • 人との境界線の引き方、母親との確執、娘への依存、他者から依存される自分...精神病患者の視点。人はどうやって狂っていくのか。様々な悩みを考えるにあたり、ヒントとなる言葉が多く出てきた。また、子供を支配しようとする母親、父親の在り方、様々な愛の形の違いについて...読み返すほどに理解を深めることが出来る。この先も、息詰まるために何度も読み返すと思う。

  • 最初に断っておくとこれは恋愛ハウツー本ではない。
    愛すること、を感情に起因する「受動的」なものではなく、意思や技術による「能動的」なものと捉えたものである。
    モテたいとか、そういう下心は叶わない。

    著者は「自由からの逃走」などで知られるエーリッヒ・フロム。いわゆる新フロイト派の人で、本著ではフロイトを批判しつつ例として提示する。
    といっても一般向けの本なので一部論拠が弱いが、そこはキモではない。

    本著は4つの章で構成され、愛についての考察がなされる。全体として、受動的な「愛される」ことを望む態度は非常に手厳しく批判される。
    「神への愛」など一部非キリスト教徒には肌感覚でわかりにくいところがあるが、約60年前の本とは思えないほど状況に変化がない、どころかフロムの危惧するほうへどんどん向かっている。

    というのも前提として、現代資本主義によって現代における愛と呼ばれるものの原則が構成されている、と仮定しているからだ。
    全てのものが代替可能な、市場原理に基づいた商品となるのであれば世間で言われる愛もまた最適解へと方向づけた競争へと向かう。
    恋愛対象および候補を魅力的に感じるポイントも、そういった原理によって定められ操作されると実例をあげて説明する。

    根本的にパートナーを「商品」と同じような価値基準で選定することで、「消費」することなく本当に愛せるのかという問いである。
    (この辺は人間である手前、資本主義原理以外でも反例がありそうだが)

    パートナーを「チーム」つまり不可侵の他人とわりきって「理解」することをも批判している。そうでなく、双方が「合一」に向かうこと。昨今の個人主義的な「個性を認める、お互いの生活に干渉しない」という次元で一線を引かず相手ととことん向かい合う、ということであろうか。
    相手を偶像化し至上善とすること、空想の世界でセンチメンタルな愛をもつことも批判し現代人にとって羨むものはほとんどNGじゃんという徹底っぷりである。

    今読んでも本著の例にそこまで違和感がないのは、やはり市場原理が恋愛事情に作用しているという論説に時間の流れが説得力を持たせている。

    そんなフロム先生が愛の修練において重要だというのが、「規律・集中・忍耐・最高の関心」であるという。
    ほとんど精神修行であり、現代人にとってはいずれも欠けるところで、相当要求されるところは高い。
    理想化されたかつての素朴な時代と比べ、皮膚感覚として人間として生命力を損ない、ある種の機械化によって愛することをも妨げているということか。

    よほど精神的にタフで成熟した人間でないと真に自分以外の人を愛することができない、と考えると酷な話である。が、この辺りを読了後にじっくり考えたところ自律すらできないで他人を愛せるわけもないのである。
    愛してるよ、なんて言うは易し行うは難し。

    面白いのが、逆説的に「1人になれないものは愛せない」という考え方である。これがなぜかは説明を省くが、なるほど確かに一理あると思った。
    人と真摯に接するには内省が必要なのである。

    考え方として古臭いと感じることはあるし少し独善的な部分もあるのだが、現代でも充分読むに値すると思う。
    というか氾濫する安易な恋愛ハウツー本を読むよりよほど有意義である(本著でもそれについては手厳しい批判がある)。
    テクニックといっても異性を落とすテクニックではない。愛は自分のエゴを超越する戦いでもあるのだ。
    「みんな普通はこうなんだからさ~」みたいな退屈な意見はシカトしてしまえ。


    個人的にもこれまでの人生でずっと世間がいうところの恋愛にはどこか違和感を覚えるところがあって、そういう上手く言語化かできない痒い所に届くというか、腑に落ちた発見が多々あった。ありがとうフロム先生。

  • 愛とは「落ちる」ような状態ではなく技術である。
    愛の問題は対象の問題であって能力の問題ではないという思い込み。
    冒頭のフレーズで結構目が覚めました。

    誰かを愛するということは決意であり約束であるというフレーズ、しゃきっとしてて好き。

  • 158

  • フロムによれば、神とは自分自分自身のこと、他人を愛することは自分を愛すること。
    フロイトの理論の背後には資本主義の台頭があったのか。フロムが賞賛するエックハルトも読んでみたい。
    谷川俊太郎氏の、「読む者の人生経験が深まるにつれて、この本は真価を発揮するだろう」という言葉にまさに納得。5年前だったら読了できなかったと思うけれど、今読み終えて、これ程心に響く読み物もなかなか無いなと。

  • 文章は決して難しくない。愛することがどういうことかも難しくない。非常に易しい本です。でも、結局何が愛することなのか私には捉えることができませんでした。これから何度も読み返し自分の技術に取り入れたいと思います。

  • 「愛」と一語で言うのは簡単だが、そこには様々な意味合いがあり、「母性愛」「自己愛」「異性愛」などがあることに改めて気付かされた。心理学・哲学・宗教学など様々な学問に関わってくる文章であり、一読しただけでは理解しきれない部分も多かった。「愛は技術である」という印象的なフレーズを心に留めて、今後も「愛」というものの奥深さを追究していきたいと思う。

  • 20数年ぶりに読んだ。学生時代に読んだ時とは違って、結婚して子供もいる今だからこそ実感できた部分が多々あった。

  • まだ観念論でしか読めない自分が歯がゆい。

  • 僕は愛を証明しようと思うと併読。
    愛はとにかく能動的な行いだということが印象的、だけどこの論を受け入れるには自分は少し若すぎる

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著者プロフィール

エーリッヒ・フロム (Erich From)
1900年ドイツ・フランクフルト生まれ。フロイト理論にマルクスやヴェーバーを接合して精神分析に社会的視点をもたらし、いわゆる「新フロイト派」の代表的存在とされた。また、真に人間的な生活を可能にする社会的条件を終生にわたって追求したヒューマニストとしても有名である。しだいに、禅や東洋思想へも関心を深めた。
著書に、『愛するということ』『悪について』『生きるということ』『フロイトを超えて』『希望の革命』『反抗と自由』『人生と愛』『破壊』(以上、紀伊國屋書店)ほか多数。1980年歿。

「2016年 『ワイマールからヒトラーへ〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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