愛するということ 新訳版

制作 : Erich Fromm  鈴木 晶 
  • 紀伊國屋書店
4.12
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本棚登録 : 3606
レビュー : 359
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314005586

作品紹介・あらすじ

人間砂漠といわれる現代にあり、こそが、われわれに最も貴重なオアシスだとして、その理論と実践の習得をすすめた本書は、フロムの代表作として、世界的ベストセラーの一つである。

感想・レビュー・書評

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  • ご多分に漏れず、読みたいところだけ読んでいます。

    まず書かれ方について。
    非常に変わっていると思います。右脳で直感的に書いていると思わせるような、飛躍ぶりですが、文体はロジカルな風に書いているので、気持ち悪く思う人もいるかもしれません。
    また、宗教や過去の哲学者や心理学者を批判する一方で急にそれらや彼らを根拠として理論を展開します。

    でも、私はこの本が比較的好きです。
    なぜなら、とても直感的で、所々良いと思える言葉があるからです。

    ・東洋では昔から 、人間にとって肉体的にも精神的にも良いことは 、最初は多少の抵抗を克服しなければならないとしても 、快いものでなければならない 、と考えられていた。
    ・人は自分自身にたいして敏感になることができる 。たとえば 、疲れを感じたり 、気分が滅入ったりしたら 、それに屈したり 、つい陥りがちな後ろ向きの考えにとらわれてそうした気分を助長したりしないで 、 「何が起きたんだろう 」と自問するのだ 。

    上記の文体の気持ち悪ささえ許容できれば、一読する価値あり。

  • 「コテコテの機能付き冷房が効いた部屋で、横になりながら一冊の本について考え、使い方によっては孤独を埋めてくれるスマホをイジる」という贅沢な日常の中にいては、時代・言語・生活習慣などが自分と異なる筆者の価値観に、どれだけ寄り添えているのか分からないけれども、「愛」という壮大なテーマに関して、自分の理想像もしくは人々への勧めとして、自身の考え方を世に表明する筆者に、尊敬の念です。
    どうしても愛を求めてしまう自分が嫌で、それを改善しようと努力し思考して導いた理想像を実現するべく、世に本という形で実現を宣言した。一方で、その宣言の中には、世に承認されたいと思う自分がいて、結局「愛されたい」という人間の本質的な部分は変わらないのか、という筆者の自覚もあった。だからこそ題名に、‘art’と付け、できるだけ生来の人間の性質に上書きする形で、愛を求めるよりも相手を愛す努力をすべきだ、というメッセージを示唆したのでは、という気がしました。
    時代が違えど、食べて飲んで寝て笑う同じ人間の気持ちが、はっきり分からないというのは、とても不思議だなと感じます。
    そう考えると、愛するために必要不可欠なのは、「相手を知ること」なのかなと、個人的には解釈しています。

  • ”愛とは「世界全体にたいして人がどう関わるかを決定する態度、性格の方向性のこと」という定義(p.76)に強く共感。ただ、これはある程度いままでの自分のなかにもあった考えで、新たな行動にはつながらない。

    「合一感」「生産的に生きる」「息づいているものを与える」あたりに強く興味をひかれた。いまの自分に足りないもの、いまの自分が欲しているものかな。

    <抜き書き>
    ・成熟した愛は、自分の全体性と個性を保ったままでの結合である。愛は、人間のなかにある能動的な力である。人をほかの人びとから隔てている壁をぶち破る力であり、人と人とを結びつける力である。p.41
     ※やわらかい優しいものではなく、もっと力強い、猛々しいものなのだ。岡本太郎みたいだね (^^)
    ・与えるという行為のもっとも重要な部分は、物質の世界にではなく、ひときわ人間的な領域にある。(略)自分自身を、自分のいちばん大切なものを、自分の命を、与えるのだ。(略)自分のなかに息づいてるものを与えるということである。自分の喜び、興味、理解、知識、ユーモア、悲しみなど、自分のなかに息づいているあらゆる表現を与えるのだ。p.45?46
     ※SNSやブログなどはこのために使いたいな。
    ・愛とは、特定の人間にたいする関係ではない。愛の一つの「対象」にたいしてではなく、世界全体にたいして人がどう関わるかを決定する態度、性格の方向性のことである。p.76
     ※世界全体!方向性!! → でも、これはある意味で誰もが納得するフレーズだな。
    ・異性愛には、もしそれが愛と呼べるものなら、一つの前提がある。すなわち、自分という存在の本質から愛し、相手の本質と関わりあうということである。p.90
    ・理にかなった信念の根底にあるのは生産性である。信念にしたがって生きるということは、生産的に生きることなのだ。p.186
     ※「生産性」という意外な言葉!!
    ・信念をもつには勇気がいる。勇気とは、あえて危険をおかす能力であり、苦痛や失望をも受け入れる覚悟である。
     ※勇気はあるか? 覚悟はどうだ?
    ・能動とはたんに「何かをする」ことではなく、内的能動、つまり、自分の力を生産的に用いることである。愛は能動である。p.190

    <きっかけ>
     人間塾 2015年12月の課題図書。
     墓参りの帰り道に読了。これも何かのご縁!”

  • 約10年の時を経てようやくリベンジ読破。
    大学生の時はパラパラ眺めるだけで内容までしっかり入ってこなかったけど、今になって少し内容を咀嚼できるようになった。
    原著が出版されたのが1956年で邦訳されたのが1959年って書いてあったんだけど、60年前に書かれたことが現代にも当てはまるってそれだけ普遍的なんだなって思った。
    習練に必要な要素は①規律②集中③忍耐④関心で、更にそれは“能動的”であること。
    ↑この内容が特に印象に残った。

    “能動的”に読むことができたから初めて読んだ時よりも内容を咀嚼できたんだなと痛感。

  • 恋と愛の違いは助詞にあるのではないか。フロムによってその考え増強された感じがして嬉しい。

    人「に」恋する。それはあくまでも対象が外部に存在し、自分が相手に何かを与えるわけではない。〜に勝つ、〜に負ける…等の言葉に現れるように、「に」という助詞はその目的語が相対する存在になる。

    人「を」愛する。それは自分の内面・自分が持つ感情を自発的に提供することを意味する。〜を与える、〜を求める。フロムはこうした「愛」の見方を端的にまとめている。

    『愛は能動的な活動であり、受動的な感情ではない。その中に「落ちる」ものではなく「みずから踏み込む」ものである』

    つまり落ちるのが恋なのであり、みずから踏み込んでいくのが愛なのである。

  • 私にとって人生のバイブルです。

  • メンヘラちゃんに読ませたら溶けそうだと思った。
    愛するってとってもハード

  • 技術の習練
    ①規律
    ②集中
    ③忍耐
    ④関心

    愛には...
    信念(自分・他人)、謙虚さ、客観性も。

  • 18.4.8
    nhk 世界の哲学者に人生相談
    愛は「落ちる」ものではない
    「自ら踏み込む」ものである
            フロム

  • 「愛は技術である」「The art of loving 」という出だしがまず印象的で、後半では、現代資本主義によって、消費生産活動のみに従事する大衆が人間的な豊かさを失っていることを指摘するとともに、人間の人を愛するという本性的な営みと社会的生活が一体化するような社会システムが必要とされると主張ししている。

    結局今の社会では、集団/慣習/信仰に基づいた同調意識によって、人間の根本的な、孤立を克服したいという欲求に応えようとしているものの、仕事/娯楽の内容も画一的で、本質的な人間同士の一体感という満足を得ることができない。

    それの大きな原因は資本主義的なシステムにあり、人間ではなく経済発展にスポットが当たっており、人間のロボット化が進んでいるからだ。

    最後に、愛とは、自分の生命の息吹ー知識、喜び、興味、ユーモア、理解ーを与えることであるとともに、世界全体に対して、自分がどう関わるのが決定する態度および性格の方向性のことである。

    自分自身の生産的な観察と思考に基づいた、他の一切から独立した確信を持って生きる態度というのは、映画スターや著名人のように決して称賛され模倣されることはないが、ポスト資本主義時代においては必要な考え方ではないだろうか。

    この本が50年以上前に書かれていて、今なお通じるところが多いことには素直に驚いた。

    面白い本貸してくれた友達には感謝やな

    • さおりさん
      阪急でthe art of lovingの方を読んでる人がいて話しかけたかった、が、やめた
      阪急でthe art of lovingの方を読んでる人がいて話しかけたかった、が、やめた
      2019/05/21
    • egueguさん
      なかなか話しかけるのは難しいですよね。知ってる人ならともかく…!
      なかなか話しかけるのは難しいですよね。知ってる人ならともかく…!
      2019/05/24
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著者プロフィール

エーリッヒ・フロム (Erich From)
1900年ドイツ・フランクフルト生まれ。フロイト理論にマルクスやヴェーバーを接合して精神分析に社会的視点をもたらし、いわゆる「新フロイト派」の代表的存在とされた。また、真に人間的な生活を可能にする社会的条件を終生にわたって追求したヒューマニストとしても有名である。しだいに、禅や東洋思想へも関心を深めた。
著書に、『愛するということ』『悪について』『生きるということ』『フロイトを超えて』『希望の革命』『反抗と自由』『人生と愛』『破壊』(以上、紀伊國屋書店)ほか多数。1980年歿。

「2016年 『ワイマールからヒトラーへ〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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