社会学的想像力

著者 :
制作 : Charles Wright Mills  鈴木 広 
  • 紀伊國屋書店
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本棚登録 : 69
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314007030

感想・レビュー・書評

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  • 身の回りで起こる諸問題と社会構造との関係性を読み解く力(社会学的想像力)の大切さを教えてくれた本です。
    社会学的想像力とは何なのか、その欠如がどのような問題を生み出すのか、私たちはどう振る舞うべきなのか、そんなことを考えさせてくれます。

  • この本は社会学ばかりでなく、学問するうえで結構必要なエートスを体現している本です。

    エートスというのは、私なりの解釈だと、「態度」みたいなものと考えてもらえるとよいのではないかと思います。

    ミルズはいろいろとこの本の中で述べているのですが、なかでも読んでほしいのは第1章の約束という章ですね。彼はそのなかで、社会学的想像力という考え方を提唱しています。

    ここで彼が述べているのは、社会学的想像力は「われわれ自身の身近な現実を、全体の社会的現象とのつながりの中で理解することを、もっとも劇的に約束する精神の資質である」(P.20)ということです。

    たとえば、昨今の就職活動を見るとよくわかる。今の就職活動は非常に厳しい。それは企業の業績が悪く、新卒の採用を控えている、もしくは縮小しているからです。

    でも、よくよく考えると新卒ががんがん採用される時期もある。なぜこのような違いが生まれているのだろうか。

    この違いを生み出すもの、それは社会構造です。ここでの社会構造というのは、経済状況だったり、法律体系であったり、私たちが生きているうえであまり変化しない関係性の束が寄せ集まったものとでも考えてもらえばいいです。

    ミルズの考え方を応用すると、学生が就活で苦しんでいるという状況は、日本社会における企業が今までの新卒一括採用という採用システムがうまく機能していないのに無理にそれを使っているために起こっているのです。

    これを読んで、「当たり前やん」と思う人も多いと思いますが、ミルズのいうエートスを持っているということですね。

    で、そこからが本番です。
    では、なぜこのような新卒一括採用という日本独自のシステムは作りだされたのでしょうか。

    会社の業績が悪い時に、非正規社員の人々はすぐに解雇され、新卒者の内定取り消しなどが起きるにもかかわらず、なぜ正社員の人々は解雇されにくいのでしょうか。

    なぜ「大卒」が一括採用されるのでしょうか。「高卒」ではなぜ駄目なんでしょうか。「中卒」は?

    時代によって新卒者の雇用なりやすさが異なってしまうことはよくないことではないのか。
    もう少し、形式ばった言い方をすると、採用の配分が年次世代によって異なることは正義にかなうことなのか。

    というような疑問を発することがこの状況を変えることにつながるのではないでしょうか。

    ミルズが社会学的想像力という考え方はこのような個人と社会との関係性の認識とその関係性への疑問を持つことの大切さを示唆してるのではないかと思います。

  • やすやすと受け入れるな。疑問を持て。そのために資質を持て、ファイルを作れ。

    今後の勉強に活かしますよ。

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