元型論

  • 紀伊國屋書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (524ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314008402

作品紹介・あらすじ

人間のこころには、フロイトのいう個人的な無意識だけでなく、人類に共通の集合的無意識がある-ユングの独創であり、卓見である「集合的無意識」とそのパターンとしての「元型」をめぐるユング自身の理論的文章をすべて収録した決定版。古今東西の該博な知識に裏づけられたユングの名文を、長年の研究に基づいた丁寧な訳註・解説を付け、日本語に再現する。ユング思想を理解するのに必携の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • ユング心理学の中核をなす重要な論文集。
    特に論文Ⅸ「心の本質についての理論的考察」だけでも多くの人に読んで欲しい、非常に価値がある。
    「心」への考察を深く掘り進めていくと、その先には現代物理学、量子論の課題にもぶつかる。
    ユングは物理学者と対話する。
    さて現代をかえりみても、人工知能AIの開発など、人間の心に物理的技術が追い付くために何が必要なのか、あるいは追い付けないのかどうか、ずっと議論されている「心」をめぐる諸問題に、本書は多くの示唆を与えてくれる。
    本書が全く古くない、ということは「心」とはなにかについていまだに分かっていないからだ。

  • 5〜6年くらい前にコーチングを学び始めてから、その理論的なバックグランドみたいな感じで、心理学、心理療法の本もあれこれと読んでいる。

    そういうなかで、ユングは、なんだか神秘主義的な感じで、読まずぎらいしていたのだが、プロセスワークももともとはユング派だったわけで、最近の関心事の男性性/女性性の結合みたいなのも、ユング的な話しなので、入門書をこえて、ぼちぼちとユング自身の著作を読み始めている。

    が、ユングの著作の膨大なこと。1冊1冊が分厚い。しかも、かなり難解でなに言っているのかわからない。

    というなかで、自分の関心は、どうも「集合的無意識」「対立物の結合」みたいなところにあるようなので、その辺を中心に読んでいて、そういうテーマのコアとなる本は、この「元型論」らしいということで、苦労しながら、読んでみた。

    といっても、これはいろいろなところに発表された論文やエッセイを集めたもので、重複した記述もあったりして、かならずしもこれで「元型論」が体系的に理解できるわけではない。

    ここで取り扱われているアーキタイプは、アニマ(男性のなかの女性性というか、女性へのセクシャルな妄想の投影みたいなもの?)、影(シャドウ)、老賢者、母、母娘、童児、トリックスター、精神など。
    これらがどういう関係にあるのかは、今ひとつ分かりにくい。

    が、ユングのユニークな思考プロセス、あっちいったり、こっちいったり、飛躍したりしながらも、ズボズボと本質的なところに深まっていったりを楽しむことができる。

    ユングって、オカルトなイメージがあって、錬金術とか、宗教とか、神話の話しなどがどんどん引用されるので、なんだろう元祖スピリチュアル系というイメージがあるのだけど、ここにいるのは、結構、科学的、学術的な方法論、そして西欧的な合理主義を大切にする慎重な学者という感じ。

    本当のところどう考えていたのかは分からないけど、スピリチュアルにとられることを警戒して、科学的に立証できることにもとづいて議論している、というニュアンスのことをしばしば書いている。

    やっぱ、20世紀の前半なので、こういうスピリチャル的なものに対する拒否感というのは相当につよかったんだろうな。

    というなかで、学術的な正確性を保ちつつ、人間存在の暗闇というか、無意識にズボズボと入っていく勇気がいいと思う。

  • やはりJung, C. G.は人を選ぶ。内容は、元型に焦点を絞っている。よって、論の展開は了解できる。しかしその表現やコトバの含意するところがわからなかった。その理解不能の領域にこそJungの真骨頂があるのだが、そこまでは、まだたどり着けないようである。

  • 研究書にしては読みやすく、すっと内容が入ってきます。分かりやすく書かれているので難解ではありません。内容も面白い。

  • 分かりやすく、奥深い。

  • 積読。

  • 心理学に興味のある人ならば楽しめる一冊。
    だが、
    分かりやすい例として、
    聖書の話やギリシャ神話等(オデュッセイア)の話が出てくるので、
    それらの話が分かっていないと、
    分かりやすい例がより分からない例になってしまう。

    かといって聖書とギリシャ神話読んでからこれ読みはじめるっていったら何年がかりの大仕事になってしまうんだろうと言う一冊。

  • 人物の例がほとんど西洋の例なので何の話かいまいちイメージが湧かない、というのが第一印象。再読中。

  • ユング心理学の重要概念である「元型」について書かれた本です。かなり難解で、全てを理解することは難しいと個人的には感じましたが、ユング思想を知るためには、一読しておいて損はないと思います。

  • 2008年クリスマスプレゼントで貰う。
    特にアニマの考察が面白い。(私は女性なのでより注目するべきはアニムスの方だけど)
    「マザーコンプレックス」がすっごい面白かった!
    純粋なマザーコンプレックスは女性にしか発現しない、とか。
    母と娘は、いちばん関係が近いために、感情も様々なものがあるのに、まったく気がつかなかった。

    まあ…ユングもフロイトも男性だから女性に関する考察が多いのは仕方ないヨネ…

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