ゲノムが語る23の物語

  • 紀伊國屋書店
3.62
  • (9)
  • (8)
  • (17)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 184
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314008822

作品紹介・あらすじ

人間のDNA情報のすべて、ヒトゲノムの解読が完了した。ゲノムの解読は、人類の種としての40億年の歴史の足跡に光を当てるのみならず、ギリシャ以来の人間の知識すべてに対し革命をもたらすはずだ。「人間とは何か」という究極の問いに真っ正面から証拠を突きつける、ゲノム解読結果を、人がもつ23対の染色体にあわせて、23のスリリングなストーリーとしてまとめあげた、話題の書。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ゲノムを巡る23の物語。23つそれぞれのゲノムが持つストーリーを驚嘆と感嘆を持って解き明かす(作中22章)。AGTC4個の塩基配列の繰り返しが千差万別な我々の性格・身体・病気ひいては人生を形成しているのだと考えると何とも興味深い。内容はなかなか専門的ではあるが著者が例えと解説とユーモアを充足することで読者も置いてけぼりを喰うことなく楽しく帆走できる。本書は20年近く前の出版であることを考えると生物の設計図を詳らかにするゲノム解析もひょっとすると実現しているのかもしれない、とロマンを感じる。

  • ゲノム。人の遺伝子は23対の染色体に収められている。このゲノムが解析されたという。しかし、人間の秘密が全て明らかになったわけではなく、より謎が深まったともいえる。23対の染色体のなかからそれぞれ特色のある遺伝子を選んで、遺伝子に絡んだ興味深い話を展開している。

  • 第1染色体―生命
    第2染色体―種
    第3染色体―歴史
    第4染色体―運命
    第5染色体―環境
    第6染色体―知能
    第7染色体―本能
    X染色体とY染色体―闘争
    第8染色体―利己心
    第9染色体―病気

  • 雑誌記者というのはバランス能力が問われる。寄りすぎればはじかれる。ゆえ彼ら/彼女らは学者、新聞記者、コラムニスト、評論家などよりよっぽど俯瞰的にものを見る能力に長けていたりする。主観と客観のバランスを考えたとき、たとえどんなに名著でも往往にしてどちらかが欠けている、もしくは過剰な場合がおおい。学術、教養系のホンというのは、自分のようにド素人が読む場合、その分野の最初の1冊にどれを読むかでだいぶその後のスタンス、立ち位置が決定されてしまう。良書に当たればあたるほど強くブレインウォッシュされてしまう。それは薬よりもむしろ毒だ。
    だから何かについて知りたいとき、より中立的立場の、俯瞰的視点のものを探すことが何より重要になる。しかしそれはすごく難しい。環境学などにいたっては病的に偏っているものばかり。そしてそれは遺伝学も一緒。ともすれば「魔法の杖」のように扱われがちな遺伝子というものをどこまでフェアに扱えるか、その一点のみにおいてもこの本は再読に値する。この分厚い本を最後まで飽きさせずに読ませ、賢くなった気にさせ、また読みたいと思わせ、しかし、ゲノムに対する「全能感」は全く抱かせない。それはジャーナリストとして大きな成功とみていい。

  • 遺伝子学関連のサイエンスライターが、23本の染色体の中に含まれる遺伝子を取り上げて、それぞれにちなんだ話をつむいでいる本です。各染色体についてひとつづつ必ずテーマを見つけて書く(他にいいテーマがあっても同じ染色体で重なっていると選べない)という自らに課した制約条件にも関わらず、まとまりもあって、(この手の本にしては)読みやすい本に仕上がっていると思います。この辺りは、ライターとしての力量とこの分野における情報収集力(情熱)が感じられるところです。この人の『やわらかな遺伝子』(ちなみに"Nature Via Nurture"という原題がこの人の立場をよく表してます) というのも、この本と内容がかぶるところもありますが、よい本だと思います。

    この本が書かれたのが1999年。その後すでに8年、有名になったES細胞/iPS細胞研究の発展も含め、同分野では多くの研究成果が出ているんではないかと思います。また、新しい知見を元にした本を出してほしいところです。

    それにしても、改めて遺伝子の影響は思ったよりも深くまた精妙なもんだと感じさせてくれます。また、本書内でも文言を変えて繰り返されているように、「遺伝性」と「不可避」とを混同してはいけない、ということも忘れていけないことですが。

  • やはり・・・・やはり、マット・リドレー氏はいいです・・・!(><)

    生物学の一般書は、
    無味乾燥な教科書っぽいものか
    著者の仮説や思想の強すぎるエッセイっぽいものが多いのですが
    マット・リドレー氏の本はバランスがいいです。

    うん、
    詳しい具体的な内容は忘れました。(゚∀。)

  • かなり難解ですけど面白いですね。人間とは何かをゲノムから解読した本です。私が分かったのは人間はタンパク質で出来ているという事。大豆食品・納豆を食べるようになりましたね。

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

世界的に著名な科学・経済啓蒙家。英国貴族院議員(子爵)。元ノーザンロック銀行チェアマン。
事実と論理にもとづいてポジティブな未来を構想する「合理的楽観主義(Rational Optimism)」を提唱し、ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)、マーク・ザッカーバーグ(フェイスブック創業者)らビジネスリーダーの世界観に影響を与えたビジョナリーとして知られる。合理的楽観主義をはじめて提示した著書『繁栄:明日を切り拓くための人類10万年史』(早川書房)はゲイツ、ザッカーバーグが推薦図書にあげている。グーグルには3度招かれ講演を行なった。
1958年、英国ノーザンバーランド生まれ。オックスフォード大学で動物学の博士号を取得。「エコノミスト」誌の科学記者を経て、英国国際生命センター所長、コールド・スプリング・ハーバー研究所客員教授を歴任。オックスフォード大学モードリン・カレッジ名誉フェロー。
他の著作に『やわらかな遺伝子』『赤の女王』『進化は万能である』などがあり、著作は31カ国語に翻訳。最新刊である本書『人類とイノベーション』は発売直後から米英でベストセラーを記録している。

「2021年 『人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

マット・リドレーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
マット リドレー
村上 春樹
マーク・ピーター...
マット・リドレー
リチャード・ドー...
ブライアン サイ...
村上 春樹
リチャード フォ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×