利己的な遺伝子 <増補新装版>

制作 : 日高 敏隆  岸 由二  羽田 節子  垂水 雄二 
  • 紀伊國屋書店
3.92
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本棚登録 : 2872
レビュー : 170
  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314010030

作品紹介・あらすじ

「なぜ世の中から争いがなくならないのか」「なぜ男は浮気をするのか」-本書は、動物や人間社会でみられる親子の対立と保護、雌雄の争い、攻撃やなわばり行動などが、なぜ進化したかを説き明かす。この謎解きに当り、著者は、視点を個体から遺伝子に移し、自らのコピーを増やそうとする遺伝子の利己性から快刀乱麻、明快な解答を与える。初刷30年目を記念し、ドーキンス自身による序文などを追加した版の全訳。

感想・レビュー・書評

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  • 一、全体として何に関する本か
     「利己的遺伝子」はネオダーウィニズムと言われるダーウィンの主の起源を深化さたものである。ダーウィニズムでは、自然淘汰の単位を「種」としているが、利己的遺伝子では自然淘汰の単位を「遺伝子」としている。進化は、種が生き残るためではなく、遺伝子が生き残るために行われるものだという衝撃的な内容で、世界的に注目されている説である。


    二、何がどのように詳しく述べられているか
     我々は、遺伝子を保存するための生存機械である。これが、利己的遺伝子の最も重要な結論である。人はなぜ生きているのか?その答えは「遺伝子を保存するため」である。進化論というと、種が生き残ることだと多くの人は考えているが、著者は遺伝子が生き残るために自然淘汰が起こるという新しい結論を出した。しかも、遺伝子は利己的である。自分の生存しか考えていない。動物が利他的な行動を示すのは、遺伝子の利己性のためである。それは「群淘汰」という原理で説明されている。各個体が集団の幸福のために犠牲を払うようにできている種の方が、自分自身の利己的利益をまず第一に追求している集団より、結果として絶滅の危機が少なくなる。動物が利他性を示すのは、遺伝子を保存するためである。
     例えば、人は家族を守るためなら自分の危険をも犯す。親が子を命がけで守るのは、子が自分の遺伝子の半分のコピーを持つからである。兄弟間でも利他性が現れるのは、兄弟も遺伝子的には自分と同じ遺伝子を半分持っており、それを守ることが遺伝子の保存になるからである。親戚、親戚の親戚…と自分からの血縁が遠のくほど、自分と同じ遺伝子のコピーが少なくなるので、他人よりも近親者に対して自己犠牲が強く働くのだ。動物は利他的行動を取るように見えるが、実は自分と同じ遺伝子の保存という利己的遺伝子の本能が働いているだけである。
     また、遺伝子はなぜ動物というロボット(容器)を造ったかであるが、これは単純にバクテリアのような単純細胞が生存できる場所が一杯になったため、動物という新たな形で生存するようになっただけである。実際、バクテリアの数に比べれば動物の数はごく僅かであり、動物が世界を支配しているのではなく圧倒的にバクテリアの方が支配的である。遺伝子の保存という点では、動物はバクテリアに全く及ばない。


    三、その本は全体として真実か、どんな意義があるのか
     著者は、この本を「サイエンスフィクション」として読んでほしいと冒頭に書いてある。この本では、数学など科学的なことはほとんど出てこず、筆者の考えだけを述べたものであり証拠はない。よって、半信半疑の域を出ることはできないのだが、内容は間違いなく面白い。
     筆者が自ら述べている通り、利己的遺伝子は非常に恐ろしい話で誰もその事実を認めたくはないが、この仮説で全ての「生」が説明できるのである。


    四、一番面白かったのはどこか、なぜ自分は面白かったのか
     自然淘汰がなぜ起こるのか。それは偶然なのか、必然なのか。そして、人はなぜ生きるのか。そういった永遠のテーマを新しい視点から考察しており、本書を読み終えると著者の考えに少し共感できるようになるのが不思議である。

  • 「利己的な遺伝子」リチャード・ドーキンス著・日高敏隆訳、紀伊国屋書店、2006.05.05
    558p ¥3,024 C0040 (2019.03.26読了)(2019.03.14借入)(2017.02.01/11刷)
    この本は、「生き物は、遺伝子の意のままに操られている」ということを縷々述べているものというイメージで読み始めたのですが、著者の述べていることがどうもよくわからないまま終わってしまいました。4日ぐらいで読み終わるつもりが8日ほどかかりました。
    生物の習性については、いくつか興味深い事例が述べてありました。

    【目次】
    三〇周年記念版への序文
    一九八九年版へのまえがき
    序文(ロバート・L・トリヴァース)
    一九七六年版へのまえがき
    1 人はなぜいるのか
    2 自己複製子
    3 不滅のコイル
    4 遺伝子機械
    5 攻撃―安定性と利己的機械
    6 遺伝子道
    7 家族計画
    8 世代間の争い
    9 雄と雌の争い
    10 ぼくの背中を掻いておくれ、お返しに背中をふみつけてやろう
    11 ミーム―新登場の自己複製子
    12 気のいい奴が一番になる
    13 遺伝子の長い腕
    補注
    書評抜粋
     公共の利益のために  ピーター・メダワー卿
     自然が演じる芝居  W・D・ハミルトン
     遺伝子とミーム  ジョン・メイナード=スミス
    訳者あとがき  1980年2月  日高敏隆
    第二版への訳者あとがき  1991年1月  日高敏隆
    第三版への訳者あとがき  2006年3月14日  日高敏隆
    訳者補注
    参考文献
    索引および参考文献への鍵

    ●訳者あとがき(525頁)
    動物にみられる一見「道徳的」な行動―たとえば同種の仲間を殺したり傷つけたりすることを避けるとか、親が労をいとわず子を育てるとか、敵の姿に気づいた個体が自分の身にふりかかるリスクをも顧みず警戒声を発するとか、働きアリや働きバチがひたすら女王の子孫のために働くとか―をどのように解釈するかは、長い間の問題であった。とくに、自己犠牲的な利他行動がいかにして進化しえたかということは、説明が困難だった。
    一つの考え方が群淘汰説である。淘汰は個体にではなく、集団に働くのだと、この説では考える。利他行動によって互いに守り合うような集団は、そうでない集団より、よく生き残ってゆくであろう。
    もう一つの説は、この本でドーキンスが述べている遺伝子淘汰説である。淘汰はやはり個体、いや正しくは遺伝子に働くのだというのである。

    ☆関連図書(既読)
    「種の起原」チャールズ・ダーウィン著・堀伸夫・堀大才訳、朝倉書店、2009.05.10
    「ダーウィン『種の起源』」長谷川眞理子著、NHK出版、2015.08.01
    「攻撃 1」ローレンツ著・日高敏隆訳、みすず書房、1970.01.30
    「攻撃 2」ローレンツ著・日高敏隆訳、みすず書房、1970.05.15
    「男性と女性 下」M.ミード著・田中寿美子訳、東京創元新社、1961.09.
    「ブリンジ・ヌガグ」コリン・ターンブル著、筑摩書房、1974.04.10
    (2019年3月28日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    「なぜ世の中から争いがなくならないのか」「なぜ男は浮気をするのか」―本書は、動物や人間社会でみられる親子の対立と保護、雌雄の争い、攻撃やなわばり行動などが、なぜ進化したかを説き明かす。この謎解きに当り、著者は、視点を個体から遺伝子に移し、自らのコピーを増やそうとする遺伝子の利己性から快刀乱麻、明快な解答を与える。初刷30年目を記念し、ドーキンス自身による序文などを追加した版の全訳。

  • 生物一般に対する常識を覆したに留まらず、『攻殻機動隊』や『虐殺器官』にまで影響を及ぼしている現代の進化論入門書にして20世紀の最重要古典。中心となるのは「生物は遺伝子の乗り物である」という巧みな比喩が印象的な、遺伝子を中心に置いたダーウィンの進化論の捉え直しと、遺伝子の様に文化を自己複製物として考える「ミーム」という概念。そう、コンピュータの世界が0と1で作られている様に、所詮僕らもATGCの4つの塩基で作られたDNAの産物。ページを捲る度に世界観が更新されていくかの様な、あまりにも鮮烈な読書体験だった。

  • 生命体の繁栄のために遺伝子を使うのではなく、遺伝子の繁栄のために遺伝子が生命体をつかう。自分のこれまでの生命観とは180度違う内容のため衝撃が大きかったが、すんなり吸収できたのはやはり、まず地球上に発生した自己複製子からすべて始まったからかもしれない。また、個体群の数が増えてくると、交配数を減らし、子を作らずあたかも長期的に繁栄するように、淘汰されない程度に調整する遺伝プログラムがあるようであるというのは、人間においても当てはまるのではないかと思う。90億人時代に突入すると言われている中で、先進国では晩婚化が進むというのは、そういうことではないのだろうか。また、食糧危機の回避のための農業新技術がさらなる人口増につながり、解決にならないというのは、まったくの盲点であり、食糧問題は本当に難しいと感じた。この本は、生物学に無知な人、初学者、専門家向けに書かれている。まず、無知者として生命観はまるで変わった。次は、なぜ人類だけが、先見性という能力と文化を身につけたのか?遺伝子への反抗なのか、それともその先に遺伝子の狙いがあるのか、などなど疑問が次々と生じる。初学者としてもう1度注意深く読み理解を深め、次へ進むべきなのかもしれない。それでなくとも、ゲーム理論の気のいいやつが1番になるということも参考になるし、単純に考える幅、視野が広がった。自らの思考プロセスに衝撃を与えるには十分すぎる内容だった。

  • 利己的な遺伝子 <増補新装版>

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです
    http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA76802207

  • この本は必読書。素晴らしい。

  • 信州大学教育学部教員だった頃から、学生にもっと本を読んでもらいたいと考えて、月一回「これは絶対面白い」という本の紹介ミニコミ誌(『DOHC月報』)を発行してきている。もう31年続いているので、紹介した本は300冊を超えるが、その中から1冊を選ぶとしたら迷うことなくこの本を選ぶ。進化生物学の本であるが、人文社会科学すべてを根底から見直す視点を与えてくれる。500頁を超える本だが、第1章から第4章までをゆっくり読めばいい。きっと世の中の見方が変わります。

  • マーク・トウェーンは利他的行動が“功名心”から説明できるとしたが。マルクス主義はフロイト理論を援用して、「ブルジョワジーは自らの階級の利益のために行動する」としたが、(『デューン』のベネ·ゲセリット教団と同じく)“遺伝子の流れ”が本体で、遺伝子の自己保存の論理で本能的“自己犠牲”が説明できる。動物にも欺瞞や裏切りがある。卵子を持つ不利な♀に対し♂の誠実:浮気がどの程度の割合になると均衡に達するかまで数学的に算出する手法にセンスオブワンダーがある。異性に“誠実”は有利な戦略ではあるが、シングルマザーに養育費を払わない男も遺伝子的には有利。連れ子が虐待で殺されたりしなければ。やれやれ。
    生物を「遺伝子の乗り物」として考察するばかりではなく、最終章に至ってミームという“文化的遺伝子”を提唱し(この本が元祖とは知らなかった)人間性の本質に光明を与える(渡り鳥の道が一定なように動物でも伝承文化はあるそうだが)。

  • barrack配架

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著者プロフィール

【著者】 リチャード・ドーキンス (Richard Dawkins)
1941年ナイロビ生まれ。オックスフォード大学時代は、ノーベル賞を受賞した動物行動学者ニコ・ティンバーゲンに師事。その後、カリフォルニア大学バークレー校を経て、オックスフォード大学で講師を務めた。

1976年刊行の処女作『利己的な遺伝子』は世界的ベストセラーとなり、世界にその名を轟かせた。この本は、それ以前の30年間に進行していた、いわば「集団遺伝学と動物行動学の結婚」による学問成果を、数式を使わずにドーキンス流に提示したもので、それまでの生命観を180度転換した。

その後の社会生物学論争や進化論争においては、常に中心的な位置から刺激的かつ先導的な発言をしており、欧米で最も人気の高い生物学者の一人となる。

積極的な無神論者としても知られており、2006年に刊行した『神は妄想である』も全世界に衝撃を与え、大ベストセラーとなった。

王立協会は2017年に、一般投票による「英国史上最も影響力のある科学書」の第1位として『利己的な遺伝子』が選ばれたことを発表した。

「2018年 『利己的な遺伝子 40周年記念版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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