- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784314010634
感想・レビュー・書評
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共感という能力は、人間固有の能力ではなく、他の動物も
持っている能力である。その能力は、幼児から大人になる
につれて発達するように、動物も進化の過程で高度な共感
能力を得てきた。
ということが、この本で主に述べられていること。
私たちは困っている人に対し手を差し伸べるように、あらか
じめプログラムされているということらしい。
共感は自動化された反応で、制御しようにも限界がある。
その限界を上げるのが、大人になるということ。
例えば、赤ずきんちゃんがオオカミがおばあさんのふりを
して寝ているところにいるとき、赤ずきんちゃんはどんな
気持ちでしょうかという問いをしたときに、
子供は怖がっているという。これは、オオカミと対峙して
いる(赤ずきんちゃんに共感している)自分の感情から
自分の思考を切り離せないから。
これは、7,8歳になると切り離すことができるようになるという。
しかし、ホラー映画のように大人になっても、共感を制御
できないものもある。
この情動の感染(共感)と呼ばれる能力の上に、視点取得
という概念がある。
例えば、サルは、子供が川を泳ぐことが怖くて先に進めず、
叫び声を上げているとき、子供が何か困っていることは
わかるが、助けようとしない。
つまり、困っていることは感じるが、子供の立場に立って
考えることができない。
この視点取得と自己認識能力はとてもリンクしている。
自己認識能力とは、鏡に映った自分を自分だと思える能力。
サルは鏡に映った自分が何がなんだかわからなくなってしまうが、
オラウータンは自分だと認識する。
そして、オラウータンは、子供が木々を移れるように離れている木
を近づけてやることができる。
このようなことができる動物は、オラウータンやイルカ、ゾウ、
カササギがいるらしい。
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