ぼくはお金を使わずに生きることにした

  • 紀伊國屋書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314010870

作品紹介・あらすじ

イギリスで1年間お金を使わずに生活する実験をした29歳の若者がメディアで紹介されるや、世界中から取材が殺到し、大きな反響を呼んだ。貨幣経済を根源から問い直し、真の「幸福」とは、「自由」とは何かを問いかけてくる、現代の『森の生活』。

感想・レビュー・書評

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  • アイルランド出身のマーク・ボイル。
    エコノミーとエネルギー問題、フードロスや地球環境を考える問題提起として1年間お金を使わない生活をスタート!場所は山奥…ではなく都市近郊。お金なし生活でマークが伝えたかったことは…。

    都市近郊っていうのもポイント。
    フードロスの問題提起として消費期限が切れた商品をスーパーのゴミ箱から採取(フリーガンというらしい。ラベルがちょっと汚れたから売れないとか、定められた消費期限が明日で切れるから廃棄とか…そういったものから市場で廃棄される食べられる野菜などをピックする)できるのが都市ならではのこと。

    ビーガン、オーガニックのものしか食べない(継続可能な農業)
    移動は自転車か徒歩かヒッチハイク(カーボンフットプリント問題)
    パソコンなどの電気は手回し発電機・太陽光などなど
    と、彼が決めたルールにのっとって1年間を過ごすという実験的生活。

    かなり極端だけど…まあ実験的生活だしね

    で…この生活、かなり不便
    地球上の人類の便利さは何らかの代償によって支えられているっていうのはよくわかった!

    わかったけど…
    なんかね~もやもやする
    いや、問題提起なのは伝わった
    けどなんかマネできることってあるかな~
    マネはできんかも…

    で、ひえ~!!と思ったのが
    「わきだめし」
    ためた水シャワーのみ(せっけんなし)を浴びることについて「臭くなるのでは?」という質問者にわきのニオイを嗅いでもらうというもの。マークさん曰く「ビーガンだし体臭はない」って書いてるけど…ビーガンでもなんでもわきの下は汗かくし新陳代謝してるよ…体臭ないっていう人って自分が気がつかないだけだと思う。
    見ず知らずの人のワキなんて嗅ぎたくない~!


    っと、全く経済とか環境汚染とか継続可能な生活とかとは全く違う印象が強烈に残った本でした。

    こんなピント外れな感想ですみません!

  • 面白かったです。
    「お金をつかわずに生活する」・・・・その準備と一年間をつづっています。
    最初にこの題名を見かけたときはビックリしましたけれども(笑)。なに?!現代のソローにでもなるつもりなの???とか思いました。
    ・・・ソローとは、ちょっと方向性が違うかな。

    「シーナのブラックドレスで365日」っていう本ありましたよね?(ブログやブクログを休んでいた時期で、ブクログ本棚に入ってないけど購入して手元にあります。)黒いシンプルなワンピースを(何着か同じものを作って洗い替えして)一年間着続ける、新しい服を買わずにもらいもののアクセで着まわして・・・!っていうやつ。

    あれとチョット似ていて、彼が「お金をまったく使わずにいる」ことが、なにがしかの宣伝活動であり、「さあみんな、目をさまそうよ」的な、
    まったくお金を使わずにいることだってできるんだ、自分の経済・消費活動を振り返ってみようよ。
    ・・・・とまあ、そんな感じでしょうか。

    同じ真似は出来るわけがないし、しようとも思わないんだけども、彼の、自分の未熟な部分もさらけだして本にしている、自分と他者に誠実であろうとするところに好感がもてました。
    自分の物欲も振り返ることができたし、あまり深く考えずに、さらりと読んでみることをオススメします。

  • 最初に思っていた印象と全然違う中身でびっくりしました。
    お金を使わないなんて、どんなぶっとんだ人なのかと思ったらその逆で、真面目に地球の将来のことを考えている人で、自分を主張できるだけのしっかりとした意見を持っている人でとても魅力を感じました。
    金なし生活も、ホームレスみたく世捨て人のようなものではなくしっかりと現実的な計画に基づいていたり、完全なる自給自足で社会から孤立したい訳ではなく周りの人たちと積極的に関わり合いを持ち、助け合いでお金をカバーして行く所など、好感が持てる所が多々ありました。

    この人のやったことをそのまま実践できるとは思わないけど、この本を読むことによって、今までとは違った考え方ものの見方を出来るようになったと思います。
    すごく刺激を受ける一冊でした。

  • タイトルとカバーの写真からして、世捨て人的サバイバルな内容を連想させますが、そうではありません。

    菜食主義の著者がガンディーの影響から、環境問題について考え始めたのがきっかけ。食品の1/3が廃棄されている現実を見て、その原因は消費者と消費される物の距離があまりに離れてしまったことにあるとし、それは貨幣システムが根っこにあると考察します。すごいのはボーっと考えただけではなく、そのお金を使わないで1年間生活するという実験を始めるのです。

    税金をはじめとして、使わないと思っただけでは簡単に逃れられない世の中。周到に準備をしていくのですが、そうはいっても突っ込みどころ満載。極端でばかばかしく見えます。

    でも、本書の価値はそんなところにあるのではないのです。その突っ込みを入れる自分自身に、その突っ込みを入れる背景を考えさせてしまうというところにこそ価値があるのです。なぜ、大変なエネルギーを使って運ばれてきた食糧を廃棄して平気でいられるのか?なぜ、働いた成果はお金でないといけないのか???

    南の島で、マネー経済に組み込まれた国の家々はみすぼらしく見え、孤立しているとさえいえる島の家は清潔で美しく見えるのにショックを覚えたことを思い出します。

    3.11を経験して身にしみた今こそ、持続可能な生活はどのようなものか、ちゃんと考え、行動に移す必要があるのではないせしょうか。「里山資本主義」とあわせ読むと非常に興味深いです。

  • 次世代が持続可能な生活をするためにできることを何かひとつでもしたら世の中が変わるのかな。ベニシアさんが言うように「人は欲しいからといってラベンダーを全部摘んではいけない。ハチのために残しておく。」何事にもそんな気持をもっていたい。私にできるのはそういうこと。

  • これは一人のイギリス人青年が1年間『お金なし』の状態で過ごした記録を書籍化したものであります。この本を通して『物質文明』にいきることとはどういうことか?本当の『豊かさ』とは何かを教えられました。

    この本を知るきっかけとなったのは、確か雑誌か何かで紹介されていたからだったと思います。内容はというと、29歳のイギリス人青年が1年もの間、お金というものを使わないで生活するというもので、正直なところ、この貨幣万能化社会で何を好き好んでこういうことをするのかいなといぶかしんで読み始めたところ、筆者のフランクにつづられる文体に引かれ、一気に読んでしまいました。

    作中で彼は不用品交換で入手したトレーラーハウスに太陽光発電パネルをとりつけて自分の住まいとし、手作りのロケットストーブで調理をし、また暖を取る。歯磨き粉や石鹸などの生活用品は、なんとイカの甲を乾燥させたものや植物、廃材などから完全ハンドメイドで作成し、「衣食住」と俗に言うくらい必要だと思われる衣類は不要品交換会を主催し、そこで手に入れる。さらに移動手段は自転車をつかい、車では難なくいける距離をひた走る。野生で培われる筆者の行き方に惚れ惚れとしました。

    もしも、国が転覆するなどのことが自分の身に降りかかってきた場合、こういう男が生き残っていけるのではないかと思ってしまいました。しかし、そういいことばかりではなく、この生活を始めたために物質文明に片足を残さなくてはならぬ大学に通う彼女と別れ、
    「カネなしだって恋がしたいんだよ!」
    雄たけびを上げんばかりにつづっているこの言葉はまさに「魂の叫び」と呼ぶにふさわしいものであると思いました。

    しかし「なぜ、生きるか?」というシンプルな命題とお金がなくともここまでできるんだ、ということを文字通り体で示した、彼の生き様を、僕は心からたたえずにはいられません。

  • 無線経済の提唱者。フリーエコノミー・コミュニティの会員は160カ国、3万5000人に及ぶという。著者のボイルは08年から2年半の間、お金をいっさい使わずにくらした。その暮らしの記録が本書だ。

    評者の辻信一氏は、「本来、経済とは、自然界から受ける恩恵を共同で管理運営していく方法にすぎない、自然とコミュニティあっての経済だ。しかし、現代人のほとんどが、経済といえば、お金の事で、マネー経済こそがおこの世で唯一の選択肢であるかのように思い込んでしまった」と指摘する。

    ボイル氏は、フリーエコノミーとは贈与経済、ギフトエコノミーであると説く。

  • 貨幣経済に頼らず生きるという事を公言しただけでセンセーショナルなニュースになるんだあ。というのが率直な驚きだったかも。
    日本だったら自分で1年やってその間SNS発信、出版社などの媒体の取材を受けて書籍化というルートだと思います。彼、イギリスでは有名人なんでしょうか。

    自給自足および食料採集、生活こまごまの事を読みたかったのですが、どちらかというと対人関係や世の中との折り合い。マスコミ対応などの方がボリュームが大きく、自然と生きる的なスケール感は無かったです。

    今自分の営んでいる生活がいかに環境負荷が高いかは、とても感じられました。だからと言ってなかなか生活を変えていくのも大変なんですが・・・。
    次作はテクノロジーを使わないという作品ですが。これはもう読まなっくていいかな。

  • 世捨て人を目指す話だと思ったらさにあらず。1年の期限付きで金を使わない生活を送ってみる、という実験、またはチャレンジ。昔TV番組であった、懸賞で当たったものだけで生活する、というのを思い出した(見ていないけど)。金を使わない、といっても自分ルールだから、誰かが無料でくれたり、拾ってきたものは使ってよいし、パソコンやメールといった文明の利器もOK。条件ではなすび氏よりだいぶ楽そうだ。

    そういうことをやった背景には、貨幣経済に対する疑問や、何より大量生産/大量消費と環境破壊に対する著者の危機感があり、それには一部同意するけれど、アピールとしては個人的にはあまり響いてこない。金を介在させず、共同体で協力して作物や労働をシェアし、ものを大切にして暮らす、というライフスタイルは、要は100年、200年前に日本に普通にあった村の暮らしなのでは? そういう暮らしはイギリスにもあったのではないかと思うのだが。当時の暮らしの中に、自給自足、またはそれに近い形でやっていくための知恵はそれこそ山のようにあると思うのだが、それじゃなんで駄目なんだろう?

    金を使わずに暮らすノウハウも、無料交換サイトの紹介などはともかく、イラクサをお茶にしたり、ヒトヨダケでインクを作ったりする方法はあまり役に立ちそうにはない。牧歌的な暮らしの楽しさが語られるわけではないし、途中で挫折しかかった。

  • 人里を離れ,山に篭ってのサバイバル譚なのかなぁ…
    と思い本書を借りた。

    でも,どちらかと言えば,都会に住むホームレス譚に近い。

    コミュニティを重視し,与える生き方をしていると,
    結果として周囲の人が何だかんだで助けてくれ,
    結果としてお金を使わないで生活することができる。
    岡田さんの提唱する評価経済に近い考え方だと思う。
    それに,脱・貨幣,脱・資本主義,
    そして持続可能な閉じた円環などの思想が加わっている。
    思想的には理解できる。

    貨幣は虚であり,資本主義は世界を不毛の土地へと変えるであろう
    ――と私も考えている。
    一例を挙げれば,大量の化石エネルギーを使うことによって
    今の生活が成り立っている。
    その化石エネルギーがなくなってしまえば,
    当たり前のように,今の生活は崩壊する。

    環境破壊が進み,人間が地球に住めなくなるのが先か,
    化石エネルギーが枯渇してしまうのが先かは分からないけど,
    今の状態が今後,100年と続く気はしない。

    しかしながら,著者の言うような理想社会が
    到来するとも考えられない
    ――ごくごく閉じた世界では可能かもしれないが。

    でも,今後の人間の生き方の,一つの指針になるかもしれない。

    追記。
    岡田さんの評価経済の場合もそうだけど,
    お金を使わないで生きていくには,
    その代償として高いコミュニケーション能力が必要になると感じた。
    それはそれで,結構,シンドイ。
    著者はコミュニケーション能力が高いから,
    金なし生活をエンジョイできたのだと思う。

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著者プロフィール

1979年、アイルランド生まれ。2007年に英国ブリストルでフリーエコノミー(無銭経済)運動を立ちあげ、2008年の無買デーからお金を一切使わない生活実験を開始。実験最初の1年間の記録『ぼくはお金を使わずに生きることにした』(紀伊國屋書店)は19カ国で刊行され、大きな反響を呼んだ。現在はアイルランド西部の小農場で、電気もガスも水道もないセルフビルドの小屋に暮らし、贈与経済の実践をつづけている。他の著書に『無銭経済宣言——お金を使わずに生きる方法』、The Way Home: Tales from a life without technology(紀伊國屋書店より邦訳刊行予定)がある。

「2020年 『電子版 モロトフ・カクテルをガンディーと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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