- Amazon.co.jp ・本 (635ページ)
- / ISBN・EAN: 9784314011266
作品紹介・あらすじ
暴力の生物学的基盤の解明を目指す新たな学問分野・神経犯罪学を確立した著者が、脳、遺伝、栄養状態等の生物学的要因と、生育環境や貧困等の社会的要因、およびその相互作用から、いかに暴力的な性格が形成されるかを解説する。また、最新の研究成果の実用化に際して直面する倫理的・法的問題を指摘し、より暴力の少ない未来の実現へ、具体策を提言する。
感想・レビュー・書評
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非常に面白かった。タイトル通りの内容の本であり、様々な調査や統計の結果が掲載されている。暴力、犯罪行為のバックグラントとしての、脳の機能、状態…とはいえ、人間の事であるゆえ、とかく要因というのは複合的であり、相関関係と因果関係というのは見誤ってはいけないのだと、定期的に語られている。今は世の中、普通の人でも脳科学という言葉を使い、メディアは少々卑俗化した脳科学ネタをはびこらせているが、人の行いそのものを、脳の機能、社会的背景、心理学等々、複合的に読み解いていこうという姿勢がもっとこの先大切になっていくのではないだろうか。人は単純化した理解が好きである。それは危険なのだろう。そして、人間の事が解れば解るほど、優生学的な目線が気になるのも、人の世か。これを読了した後、サリー・サテル「その脳科学にご用心」などなかなか面白い読書になる気がします。
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ロンブローゾへの回帰という感想もあるかもしれないが、現在の犯罪者理解の最先端は脳神経科学を抜きには語れない。
学者が書いたものでもあり、やや小難しい表現もあるが、基本的には初学者でも読める。
犯罪者の自己責任などという言葉が空虚に思えるようになりますよ。 -
なぜ暴力をふるうのか、犯罪を犯すのか。本書は先ず、直感に反する生物的要因を明らかにする。更に暴力を生む生物学的変化を生むことに社会的要因が強く関与することを解説する。生物学的要因とはすなわち犯罪者予備軍を認知するための技術を人類は手にしているということであり、未然に防ぐことが可能となること、また犯罪者は治療可能であることを示している。社会はこの事とどのように付き合って行くべきか、本書最後の主題であり投げ掛けである。白黒つく命題ではなく程度を測りながら少しずつ法制度に組み込んでいくのだろう。誰しもが被害者、加害者になる可能性のある問題。日本でも暴力事件の際にこの観点からの考察が増えて議論を促して欲しいものだ。
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めちゃくちゃおもしろかった。
2回も読んでいっぱいノートとっちゃった。大学図書館で借りたけど,買ってもいいかもって思うぐらい。 -
生理学的要因と、社会的要因が重なると、暴力的人間になり易いという研究は、恐らく正しいものと思う。これにある程度積極的に関与することで、暴力犯罪が減らせられることも、多分正しいのであろう。著者も言っている通り、どこまでの介入が許されるのか、非常に難しい問題だ!日本の司法は、報復主義に押され、厳罰化の方向に進んでいる。この流れの行き着く先は、・・・とても心配だ。
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シリアルキラーやサイコパスといった暴力犯罪者は遺伝や脳損傷などの生物学的要因と劣悪な生育環境などの社会的要因の相互作用によって生み出される。神経犯罪学者の著者は、法廷にMRI画像を提出する活動もされています。「クリミナルマインド」や「CSI科学捜査班」を見ているので、思わず手に取ってしまいましたが、各章の冒頭に記された凶悪殺人犯の実例がとても怖かったです。でも、子育てに関して注意すべきことなど、日常生活で役立ちそうなことも書かれていました。
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著者の主張には説得力がある でもその主張はいつもどこにもいる私利私欲の塊のような人間たちに利用されると目も当てられなくなるような気がする そして人間は神でさえないので将来のことが100%わかったらなんてあり得ない仮定を持ち出してあなたならどうすると問われても馬券を買う程度の答えしかできないしそんなんで説得はできない
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暴力の生物学的基盤の解明を目指す新たな学問分野・神経犯罪学を確立した著者が、脳、遺伝、栄養状態等の生物学的要因と、生育環境や貧困等の社会的要因、およびその相互作用から、いかに暴力的な性格が形成されるかを解説する。また、最新の研究成果の実用化に際して直面する倫理的・法的問題を指摘し、より暴力の少ない未来の実現へ、具体策を提言する。