身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法

  • 紀伊國屋書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (688ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314011402

作品紹介・あらすじ

私たちは何よりもまず、患者が現在をしっかりと思う存分生きるのを助けなくてはならない――世界的第一人者が、トラウマによる脳の改変のメカニズムを解き明かし、薬物療法や従来の心理療法の限界と、EMDR、ニューロフィードバック、内的家族システム療法、PBSP療法、ヨーガ、演劇など、身体志向のさまざまな治療法の効果を紹介する、全米ベストセラー。トラウマの臨床と研究を牽引してきたヴァン・デア・コーク博士の集大成。

■本書を通して私は、被虐待児とその親の臨床の中で疑問を感じつつそのままになっていた問題や、断片的な理解のままになっていた問題のほぼすべてに、明確な回答を与えられ、視野が何倍にも広がったような体験をした。本書は日本でも、トラウマに向き合わざるを得ない人々にとって信頼できるテキストとなるだろう。――杉山登志郎(「解説の試み」より)

■科学者の果てしない好奇心と、研究者の該博な知識と、真実を語る者の情熱が見事に融合したのが、ヴァン・デア・コーク博士によるこの名著だ。――ジュディス・ハーマン(『心的外傷と回復』著者)

■ヴァン・デア・コークは、見事なまでに明快で魅力に満ちたこの力作で、私たち読者(専門家も一般大衆も)を彼自身の旅に伴い、自分の研究、同僚や学生、そして何をおいても患者から学んだ事柄の数々を示してくれる。端的に言えば、本書は傑作だ。――オノ・ヴァン・デア・ハート(国際トラウマティック・ストレス学会元会長)

■この傑出した作品は、セラピストばかりでなく、トラウマが引き起こす途方もない苦しみを理解したい、防ぎたい、あるいは治療したいと望む人なら誰もが、絶対に読むべき一冊だ。――パット・オグデン(センサリーモーター・サイコセラピー・インスティチュート創設者)

■本書は、一般読者がトラウマの複雑な作用を理解するための最先端の作品であり、苦しみを軽減するばかりでなく、生き延びるのが精一杯の状態を抜け出して人生で成功を収めるための、科学的知見に基づいた多種多様な取り組みの案内書だ。――ダニエル・J・シーゲル(UCLA医科大学臨床教授)

■本書は、明快で、人の心を捉えて離さず、途中でページを繰るのをやめるのが難しい作品であり、胸を打つ症例記録に満ちている。トラウマ治療の大家ヴァン・デア・コークは、過去三〇年間にメンタルヘルスの分野で起こったうちでも最重要と言ってよい一連の大躍進を取り上げる。トラウマが脳内のつながりばかりか、心と体のつながりをも断ち切ることが本書で明らかになり、このうえなく深刻なトラウマを抱えた人でさえ、あらゆる部分を再びまとめ上げるのを可能にする、胸躍るような新しい取り組みの数々について、私たちは学ぶことができる。――ノーマン・ドイジ(『脳はいかに治癒をもたらすか』著者)

感想・レビュー・書評

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  • 米国ブルックラインのトラウマセンター設立者であり、ボストン大学医学部精神科教授のベッセル・ヴァン・デア・コーク著。
    トラウマについて向き合った著者の30年間を凝縮した一冊です。

     恐らく、ずぶの素人である私が解説できるのはここまでで、これ以降は私の個人的な意見でしかありません。

     私は最近、トラウマ(とその療法)について調べていて、この本に出合いました。図書館で取り寄せたため、具体的な厚さなどは深く考えずに予約したのですが、取りに行ってビックリ。厚みは優に3cmを超えていました。682頁という大ボリュームです。

     内容は、著者が体験してきたことを基に、アメリカの退役軍人の抱えるトラウマに始まり、家庭内暴力、児童虐待、性被害など様々なトラウマについての臨床風景、また、その際に用いられた療法について書かれています。

     トラウマといっても軽いものから重たいものまで、人によって本当に色々だとは思うのですが、この本を読んでみて感じたこととしては、こういった知識や療法が一般に浸透して、「ちょっとこういう時に気分が悪くなる」とか「こういう場面で上手くいかなくなる」という軽い段階でも、カウンセリングや諸々の療法にたどり着くような仕組みが社会にあればいいのになと思いました。
     日本では恐らくですが、こういった専門的なケアには結構なお金がかかり、精神科など専門機関に罹ることが大前提となっているため、(症状が)精神科を受診するほどのものではない人にとっては、ケアする機会のない社会だと感じます。
     お金を払って専門的な心のケアをする、しかも重度でなくても「エステサロンに行く」くらいの気持ちで行ける場所があればいいのにと思いました(私が知らないだけなのかもしれませんが)。

     この本で説明されている療法については、とても興味があるけれど、実際に私が受けることはできないんだろうな。自分にできることといったら、ヨガ、呼吸法、自由筆記法ぐらいでしょうか。トラウマケアを重点においた劇団なんて、聞いたことないですが日本に存在するのでしょうか?
     まだまだ調べなければならないことはたくさんありそうです。
     それにしても、トラウマ関連書籍で述べられていることがひとつにまとまった!と思えるくらい、本書は網羅されていて素晴らしかったです。EMDRって何だろうと思っていました(し、怪しんでもいました)が、実績があって効果も高い方法だったんですね。
     個人的なトラウマ冒険はまだまだ続きそうです。

  • 教育、ネグレクト、虐待の問題がいかに社会にとって重要であるか思い知らされた。患者に対するリスペクトが垣間見え非常に素晴らしいセラピストなんだなと感じた。

  • ヨガをはじめて気持ちが楽になることがあり、心と身体について考えてみようと読んだ。

    演劇とトラウマの関係、シェイクスピアインザコーツは元々知っていたが、文化の方向ではなく、心理学の方向から論じられているものは少ない。
    ドイツのアウフブッフも有名。

    患者に対して、愛と尊敬をもっているのが感じられる。恐ろしい体験から、生き延びるために、人はどれだけの創造性を発揮していくか。

    優れたセラピストは、自分の自己に向き合うことを行っている。ヴァンデアコークもそう。その営みのなかで出会った治療法をひとつひとつ確かめていく感じ。

    なんだかあまり整理できていない事も多い。
    読み砕くのに、とても苦労をした。フラッシュバックもあった。ただ、試してみようと思うこともあった。自分の興味の理由も少しひもとけた。文化と心と身体。

    痛みを持つ人の心と身体に向き合うことは、暴力に溢れるこの社会を変えうることにつながるような気もする。私はまず私を癒す

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001094281

  • [出典]
    「なぜ世界はそう見えるのか」 デニス・プロフィット 他

  • 2.5

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1439701

  • 前半はくどい。

  • 世間一般のトラウマと医学的なトラウマにはかなりの剥離があると感じた。トラウマ患者が見ているのは過去の記憶ではなく、まさに目の前で起こっている事だというのだ。自分が今までトラウマだと思っていた事はトラウマではなかったと思わされた。
    治療としては、自分を客観視する事が最重要に思える。やはり衝撃的だったのはEMDRによる治療だ。これは本書で出てきてすぐに振り子の催眠術を調べてしまった。あとはヨーガだったり、演劇だったり。
    健康な人では考えられないような世界だから、いかに社会全体で支援していくか。

  • 2016年10月21日 3800円

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