私はすでに死んでいる――ゆがんだ〈自己〉を生みだす脳

制作 : 藤井 留美 
  • 紀伊國屋書店
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本棚登録 : 124
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314011563

作品紹介・あらすじ

「いやいや、私の脳は死んでるんです。
精神は生きてますが、脳はもう生きてないんですよ」

「自分は死んでいる」と思いこむコタール症候群、自分の身体の一部を切断したくてたまらなくなる身体完全同一性障害(BIID)、何ごとにも感情がわかず現実感を持てない離人症――

自己感覚が損なわれる珍しい精神疾患を抱える患者やその家族をはじめとし、ドッペルゲンガーの経験者、自閉症スペクトラム障害の当事者などへのインタビュー、それらを治療・研究する精神科医や神経科学者への取材をもとに、不思議な病や現象の実相を描き出す。著者はときには違法な下肢切断手術の現場に同行したり、錯覚を起こす実験に参加してみずから体外離脱を体験しようと試みたりするなど、ユニークなアプローチで〈自己意識〉という難問に迫る。

〈私〉とは、いったい誰なのか? 神経科学の視点から〈自己〉の正体を探るポピュラーサイエンス読み物。

‟オリヴァー・サックスの著作を彷彿とさせる”――『サイエンス』誌
ニコラス・ハンフリー、マイケル・ガザニガ、フランス・ドゥ・ヴァールらも称賛!
春日武彦氏による解説を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 自己と他者の境目が曖昧になる様々な症状について、きちんと言語化して読者に理解できる形にした、ということをまず感謝したい。下手をすれば「意味不明」と捨てられてしまいそうな症状、現象も当事者の証言からきちんと拾い、実験と仮説と残っている問題点まで書かれている。客観に徹している見方や表現に好感が持てた。

    今意識している自己は意外とあやふやで、脳の機能のどこかがうまくいかないと身体と自己感覚はすぐ離れてしまう。たまたまうまく繋がっているだけかもしれない。

    筆者の「最後に」は情報が整理されている。ここから読んで、読み終えてまた読んでもよいと思った。それに対して日本の精神科医による「解説」はどこか他人事のように見えて、ちょっとがっかりした。本文が客観を貫いているのに解説で主観と偏見が混じり、面倒くさそうな印象。患者になったとき主訴をこんなふうに捉えられていたらたぶんつらい。

  • 知りたいことが書いてあった。
    BIIDが切断者の写真を収集する。

  • 請求記号 141.93/A 46

  • 自分の肉体の一部が「自分のものではない」と感じられ、手術をしてでも切り離したくて仕方のない人たち…まったくもって理解不能だけれど、性同一性障害のようなもので、なおかつ拒食症と同様ボディイメージに障害があるのだと解説されると納得できる。
    ドッペルゲンガーが脳の障害によるものだというのもビックリ。
    いろいろ目からウロコが落ちた。

  • 精神疾患などの「自己がむしばまれる病」を通じて,どうやって自分は自分の体を自分のものであると感じているのかを明らかにしていきます.

    こうした感覚と脳の特定の部分が関連している可能性を指摘した後で,脳,身体,精神はつながったひとつの連続体で,デカルトの二元論では説明できないというのが結論でしょうか.

  • 自己は、どのように生まれるのか?という哲学的テーマに、ゆがんだ自己を持つ病気の人々の自己、内面を見ていくことで、迫ろうとした本です。個人的には自己に関する哲学的テーマは観念的過ぎて、よくわかりません。しかし取り上げられた病気は興味深く、よく取り上げられがちな自閉症だけでなく、コタール症候群や自己像幻視や身体完全同一性障害などに関する研究や患者さんへのインタビューなど興味深く読みました。脳の不思議に引き込まれる本だと思います。最後に書かれた「どんなに重い病状であっても、自らの状態を経験する「私」は必ずそこにいる」を念頭にこれからも自己や意識の研究は進められるのだろう。

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