書物の破壊の世界史――シュメールの粘土板からデジタル時代まで

  • 紀伊國屋書店
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レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (736ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314011662

作品紹介・あらすじ

「もはやわれわれの記憶は存在しない。
文字や法律の揺りかご、文明発祥の地は焼失した。
残っているのは灰だけだ」
(2003年、バグダード大学教員のことば)


「55世紀もの昔から書物は破壊されつづけているが、その原因のほとんどは知られていない。
本や図書館に関する専門書は数あれど、それらの破壊の歴史を綴った書物は存在しない。何とも不可解な欠如ではないか?」 

シュメールの昔から、アレクサンドリア図書館の栄枯盛衰、ナチスによる“ビブリオコースト”、イラク戦争下の略奪行為、電子テロまで。
どの時代にも例外なく書物は破壊され、人類は貴重な遺産、継承されるべき叡智を失ってきた。
ことは戦争や迫害、検閲だけでなく、数多の天災・人災、書写材の劣化、害虫による被害、人間の無関心さにおよぶ。
幼少期に地元図書館を洪水によって失った著者が、やがて膨大量の文献や実地調査により、世界各地の書物の破壊の歴史をたどった一冊。

ウンベルト・エーコ、ノーム・チョムスキー絶賛!

感想・レビュー・書評

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  • 過去に行けるのなら、アレクサンドリアの大図書館に行ってみたい。およそ5,000年前の文字の発明により、人類は頭の中で考えていることを取り出して保存し、より多くの人に伝えることが可能になった。そして、それは書物の破壊の歴史の始まりでもあった。本書は書物破壊の愚行を延々と綴ったものだ。日本の応仁の乱の戦禍にまで触れる徹底振りに驚かされる。本書を読むと、今、ギリシャ時代の古典を読めていることの奇跡と、その一方で失われて読めなくなってしまった書物に思いが行く。
    折しも日本のニュースでは、政治家主導で公文書が"遅滞なく速やかに"破棄されているという。愚行は今も繰り返されている。

  • 古代シュメール文明から現代の中東の紛争まで、いかに書物は
    破壊され、失われてきたか。その原因と時代背景、歴史を辿る。
    第1部 旧世界
    第2部 東ローマ帝国の時代から一九世紀まで
    第3部 二〇世紀と二一世紀初頭
    各部に章有り。膨大な原注、参考文献、人名索引有り。
    全体で700ページを超える。
    圧倒される本の厚さに躊躇しましたが、読み始めたら面白い!
    歴史背景と共に図書館の盛衰、書物が滅びに至る過程が、
    分かり易く、読み易い。翻訳も上質だと思いました。
    歴史、地域の幅広い範囲を扱っているのも良い。
    書物の破壊の原因の内、60%が故意、残り40%は自然災害、事故、
    天敵(虫やネズミ等)、文化の変化、書写材の劣化だという。
    40%の原因についても丁寧に記述されているし、
    電子書籍登場による問題についても言及されています。
    そして、60%の故意による破壊は2006年まで・・・イラク戦争での
    破壊まで辿っています。その壮絶なこと!
    粘土板、パピルス、羊皮紙、紙・・・記録や創作、教示等のために
    生み出された素材は、便利であると同時に、脆いものでもある。
    だからこそ、ヒトによって火に、水に、放り込まれる故意の恐怖。
    征服や弾圧の過程、思想や民族(例えその根源が同じであろうとも)
    等が要因である、自然災害以上の破壊は、喪失という絶望を伴う。
    ヒトの叡知で生まれた書物は、ヒトの手で死に至らしめされる。
    そう、破壊も救済も、全ては扱うヒト次第ということ。
    ちなみに日本は、応仁の乱・関東大震災・第二次世界大戦での
    記述がありました。

  • 途中まで。
    すごい労作なんだろうけど、調べた結果をただ羅列している印象。それでも価値はあるのだろうが、読んで面白いものではない。第2部半ばまで頑張り、少しずつ面白くなってきてる…? 感はあったがそこで挫折。
    おそらくと言わずとも現代に近づくほど面白くなるのだろうと思われ、いっそ第3部だけ拾い読みしようかとも思ったが、そこまで根性が続かなかった。

    2020/1/11~

  • 【書物の破壊の世界史】
    まとまらなかった〜。
    当事者に興味がない書物が風化して消えていく一方で、議論を巻き起こしてしまうような書物も、積極的な破壊の対象に。いずれにせよ当事者からすれば価値がないものだけど、価値って時代とともに変わる訳で。
    多種多様な史実の裏にある書物の破壊について、その背景と結果がつぶさに語られてる。いろんな歴史があって面白い。
    #読書 #歴史 #本 #紀伊國屋書店

  • 破壊と紛失を免れない性質上、書物の破壊の歴史はそのまま書の歴史でもある。
    力を持ち焼きたがるバカの数は、力無く聡明な者より数も力も圧倒的である。書は焼かれるものとして冗長性を高く保つことが肝要なのだろう。

  • 失われたら、戻ってこない。。。

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    戦争や迫害、検閲、数多の天災・人災、人間の無関心さ…人類がいかに継承すべき叡智を失ってきたかを辿る。エーコ、チョムスキー絶賛「もはやわれわれの記憶は存在しない。
    文字や法律の揺りかご、文明発祥の地は焼失した。
    残っているのは灰だけだ」
    (2003年、バグダード大学教員のことば)

    「55世紀もの昔から書物は破壊されつづけているが、その原因のほとんどは知られていない。
    本や図書館に関する専門書は数あれど、それらの破壊の歴史を綴った書物は存在しない。何とも不可解な欠如ではないか?」 

    シュメールの昔から、アレクサンドリア図書館の栄枯盛衰、ナチスによる“ビブリオコースト”、イラク戦争下の略奪行為、電子テロまで。
    どの時代にも例外なく書物は破壊され、人類は貴重な遺産、継承されるべき叡智を失ってきた。
    ことは戦争や迫害、検閲だけでなく、数多の天災・人災、書写材の劣化、害虫による被害、人間の無関心さにおよぶ。
    幼少期に地元図書館を洪水によって失った著者が、やがて膨大量の文献や実地調査により、世界各地の書物の破壊の歴史をたどった一冊。

    ウンベルト・エーコ、ノーム・チョムスキー絶賛!
    https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784314011662

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/523117

  • 「書物は単なる物質としてではなく、個人や共同体のアイデンティティ、あるいは記憶として破壊されていると考えるのだ。」事実、人が意思を持って本を破壊するのは象徴的で、焚書は広場で衆人環視の中で行われる。
    焚書、戦いやイデオロギー・宗教・政治の抑圧による破壊、さらには火災や天災による破壊、アレキサンドリア図書館の焼失からナチズム、中東も中国も、まさにありとあらゆる書物の破壊を取り上げた一冊。「書物の破壊に取りつかれた」と自称する。博覧強記には舌を巻く。個々の事例についてマニアックなほど書き込んだ緻密な既述は興味深いが、それが600ページ続くと「長い」とは思う。

    ところで。私は図書館で借りたのだが、その本は背がひどくちぎられ「破壊」されていた。本のテーマから故意にやったのだとしたら言語道断で、そんな人には本というものを読む資格がもない。

  • ☆石碑は残る

  • 書物の『破壊』に特化した歴史書。
    著者が述べているように、確かに図書館や愛書家の歴史をテーマにした本は数多ある。しかし、失われた書物にフォーカスしたものは驚くほど少ない。それが人為的に破壊されたものであれば、尚更だ。
    形あるものはいつか失われる。全編に渡って諸行無常を強く感じる1冊だった。

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著者プロフィール

【著者】フェルナンド・バエス (Fernando Báez)
ベネズエラ出身の図書館学者・作家・反検閲活動家。図書館の歴史に関する世界的権威として知られ、複数の団体で顧問をつとめるほか、2003年にはユネスコの使節団の一員としてイラクにおける図書館や博物館・美術館の被害状況を調査した。2004年に本作『書物の破壊の世界史』(2013年に増補改訂)でヴィンティラ・ホリア国際エッセイ賞を受賞、17か国で翻訳された。

「2019年 『書物の破壊の世界史――シュメールの粘土板からデジタル時代まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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