書物の破壊の世界史――シュメールの粘土板からデジタル時代まで

制作 : 八重樫克彦  八重樫由貴子 
  • 紀伊國屋書店
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本棚登録 : 265
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (736ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314011662

作品紹介・あらすじ

「もはやわれわれの記憶は存在しない。
文字や法律の揺りかご、文明発祥の地は焼失した。
残っているのは灰だけだ」
(2003年、バグダード大学教員のことば)


「55世紀もの昔から書物は破壊されつづけているが、その原因のほとんどは知られていない。
本や図書館に関する専門書は数あれど、それらの破壊の歴史を綴った書物は存在しない。何とも不可解な欠如ではないか?」 

シュメールの昔から、アレクサンドリア図書館の栄枯盛衰、ナチスによる“ビブリオコースト”、イラク戦争下の略奪行為、電子テロまで。
どの時代にも例外なく書物は破壊され、人類は貴重な遺産、継承されるべき叡智を失ってきた。
ことは戦争や迫害、検閲だけでなく、数多の天災・人災、書写材の劣化、害虫による被害、人間の無関心さにおよぶ。
幼少期に地元図書館を洪水によって失った著者が、やがて膨大量の文献や実地調査により、世界各地の書物の破壊の歴史をたどった一冊。

ウンベルト・エーコ、ノーム・チョムスキー絶賛!

感想・レビュー・書評

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  • 古代シュメール文明から現代の中東の紛争まで、いかに書物は
    破壊され、失われてきたか。その原因と時代背景、歴史を辿る。
    第1部 旧世界
    第2部 東ローマ帝国の時代から一九世紀まで
    第3部 二〇世紀と二一世紀初頭
    各部に章有り。膨大な原注、参考文献、人名索引有り。
    全体で700ページを超える。
    圧倒される本の厚さに躊躇しましたが、読み始めたら面白い!
    歴史背景と共に図書館の盛衰、書物が滅びに至る過程が、
    分かり易く、読み易い。翻訳も上質だと思いました。
    歴史、地域の幅広い範囲を扱っているのも良い。
    書物の破壊の原因の内、60%が故意、残り40%は自然災害、事故、
    天敵(虫やネズミ等)、文化の変化、書写材の劣化だという。
    40%の原因についても丁寧に記述されているし、
    電子書籍登場による問題についても言及されています。
    そして、60%の故意による破壊は2006年まで・・・イラク戦争での
    破壊まで辿っています。その壮絶なこと!
    粘土板、パピルス、羊皮紙、紙・・・記録や創作、教示等のために
    生み出された素材は、便利であると同時に、脆いものでもある。
    だからこそ、ヒトによって火に、水に、放り込まれる故意の恐怖。
    征服や弾圧の過程、思想や民族(例えその根源が同じであろうとも)
    等が要因である、自然災害以上の破壊は、喪失という絶望を伴う。
    ヒトの叡知で生まれた書物は、ヒトの手で死に至らしめされる。
    そう、破壊も救済も、全ては扱うヒト次第ということ。
    ちなみに日本は、応仁の乱・関東大震災・第二次世界大戦での
    記述がありました。

  • 破壊と紛失を免れない性質上、書物の破壊の歴史はそのまま書の歴史でもある。
    力を持ち焼きたがるバカの数は、力無く聡明な者より数も力も圧倒的である。書は焼かれるものとして冗長性を高く保つことが肝要なのだろう。

  • 失われたら、戻ってこない。。。

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    戦争や迫害、検閲、数多の天災・人災、人間の無関心さ…人類がいかに継承すべき叡智を失ってきたかを辿る。エーコ、チョムスキー絶賛「もはやわれわれの記憶は存在しない。
    文字や法律の揺りかご、文明発祥の地は焼失した。
    残っているのは灰だけだ」
    (2003年、バグダード大学教員のことば)

    「55世紀もの昔から書物は破壊されつづけているが、その原因のほとんどは知られていない。
    本や図書館に関する専門書は数あれど、それらの破壊の歴史を綴った書物は存在しない。何とも不可解な欠如ではないか?」 

    シュメールの昔から、アレクサンドリア図書館の栄枯盛衰、ナチスによる“ビブリオコースト”、イラク戦争下の略奪行為、電子テロまで。
    どの時代にも例外なく書物は破壊され、人類は貴重な遺産、継承されるべき叡智を失ってきた。
    ことは戦争や迫害、検閲だけでなく、数多の天災・人災、書写材の劣化、害虫による被害、人間の無関心さにおよぶ。
    幼少期に地元図書館を洪水によって失った著者が、やがて膨大量の文献や実地調査により、世界各地の書物の破壊の歴史をたどった一冊。

    ウンベルト・エーコ、ノーム・チョムスキー絶賛!
    https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784314011662

  • 「書物は単なる物質としてではなく、個人や共同体のアイデンティティ、あるいは記憶として破壊されていると考えるのだ。」事実、人が意思を持って本を破壊するのは象徴的で、焚書は広場で衆人環視の中で行われる。
    焚書、戦いやイデオロギー・宗教・政治の抑圧による破壊、さらには火災や天災による破壊、アレキサンドリア図書館の焼失からナチズム、中東も中国も、まさにありとあらゆる書物の破壊を取り上げた一冊。「書物の破壊に取りつかれた」と自称する。博覧強記には舌を巻く。個々の事例についてマニアックなほど書き込んだ緻密な既述は興味深いが、それが600ページ続くと「長い」とは思う。

    ところで。私は図書館で借りたのだが、その本は背がひどくちぎられ「破壊」されていた。本のテーマから故意にやったのだとしたら言語道断で、そんな人には本というものを読む資格がもない。

  • ☆石碑は残る

  • 書物の『破壊』に特化した歴史書。
    著者が述べているように、確かに図書館や愛書家の歴史をテーマにした本は数多ある。しかし、失われた書物にフォーカスしたものは驚くほど少ない。それが人為的に破壊されたものであれば、尚更だ。
    形あるものはいつか失われる。全編に渡って諸行無常を強く感じる1冊だった。

  • SF小説「華氏451度(レイ・ブラッドベリ)」(p.400に言及あり)は、実際にはどのような世界史的根拠を持っていたのか。

    <目次>

    【第1部 旧世界】
    第1章 古代オリエント
    第2章 古代エジプト
    第3章 古代ギリシャ
    第4章 アレクサンドリア図書館の栄枯盛衰
    第5章 古代ギリシャ時代に破壊されたその他の図書館
    第6章 古代イスラエル
    第7章 中国
    第8章 古代ローマ
    第9章 キリスト教の過激な黎明期
    第10章 書物の脆さと忘却

    【第2部 東ローマ帝国の時代から19世紀まで】
    第1章 コンスタンティノープルで失われた書物
    第2章 修道士と蛮族
    第3章 アラブ世界
    第4章 中世の誤った熱狂
    第5章 中世スペインのイスラム王朝とレコンキスタ
    第6章 メキシコで焼かれた写本
    第7章 ルネサンス最盛期
    第8章 異端審問
    第9章 占星術師たちの処罰
    第10章 英国における焚書
    第11章 厄災の最中で
    第12章 革命と苦悩
    第13章 過剰な潔癖さの果てに
    第14章 書物の破壊に関する若干の文献
    第15章 フィクションにおける書物の破壊

    【第3部 20世紀と21世紀初頭】
    第1章 スペイン内戦時の書物の破壊
    第2章 ナチスのビブリオコースト
    第3章 第二次世界大戦中に空爆された図書館
    第4章 現代文学の検閲と自主検閲
    第5章 大災害の世紀
    第6章 恐怖の政権
    第7章 民族間の憎悪
    第8章 性、イデオロギー、宗教
    第9章 書物の破壊者
    第10章 イラクで破壊された書物たち
    第11章 デジタル時代の書物の破壊

    高千穂遥の小説「目覚めし者は竜(ザ・ドラゴンカンフー)」の中の、文字の書かれた紙を踏むべきではないという話を思い出す。

    ヒトラー著「我が闘争」が、長年にわたり、(ドイツを含む)日本以外の国では実質的に「禁書」扱いされていたことに触れていないのは、なぜだろうか。ナチスのビブリオコーストについての章(pp.443-475)はあるのに。

    p.341 日本の室町時代の、応仁の乱における桃華坊(とうかぼう)文庫の喪失。

    p.588 ハインリヒ・ハイネ「本を燃やす人間は、やがて人間も燃やすようになる。」

  • 旧世界から現代までの書物の破壊の歴史を書いた図書。書物とその背景の歴史も書かれるのでかなり読みやすく、面白い。面白いけど人類があまりにも書物や図書館を破壊したことがわかり、落胆する。戦争や民族の否定などで書物の破壊が今でも行われているのは意識しておきたい。

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著者プロフィール

【著者】フェルナンド・バエス (Fernando Báez)
ベネズエラ出身の図書館学者・作家・反検閲活動家。図書館の歴史に関する世界的権威として知られ、複数の団体で顧問をつとめるほか、2003年にはユネスコの使節団の一員としてイラクにおける図書館や博物館・美術館の被害状況を調査した。2004年に本作『書物の破壊の世界史』(2013年に増補改訂)でヴィンティラ・ホリア国際エッセイ賞を受賞、17か国で翻訳された。

「2019年 『書物の破壊の世界史――シュメールの粘土板からデジタル時代まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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