- 紀伊國屋書店 (2021年5月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784314011839
作品紹介・あらすじ
革新的な情動理論で脚光を浴びた『情動はこうしてつくられる』著者の第2弾
《あなた自身と社会を変える 新時代の脳科学入門》
これまでの脳の見かたを払拭し、〈身体予算〉という比喩で脳と身体の機能を解説しながら、脳の〈予測〉や、脳と社会の相互作用など、科学の最新トピックを精選して歯切れよく語る。
「脳を持っている人、必読」
――ヘレン・メイバーグ(神経科学者、マウントサイナイ医科大学教授)
「脳とその魔法についての概略をつかみたければ、まずはこの本から」
――デイヴィッド・イーグルマン(神経科学者、『あなたの知らない脳』著者)
「とにかく読め! あなた自身と人間という種を賢くしてくれる本だ」
――レナード・ムロディナウ(物理学者、『柔軟的思考』著者)
Best Book of 2020――Amazon.com
Best Science Books of 2020――Barnes & Noble
「ウォールストリート・ジャーナル」「ガーディアン」
「カーカス・レビュー」ほか、各紙誌絶賛!
【目次】
Lesson½ 脳は考えるためにあるのではない
Lesson 1 あなたの脳は(3つではなく)ひとつだ
Lesson 2 脳はネットワークである
Lesson 3 小さな脳は外界にあわせて配線する
Lesson 4 脳は(ほぼ)すべての行動を予測する
Lesson 5 あなたの脳はひそかに他人の脳と協調する
Lesson 6 脳が生む心の種類はひとつではない
Lesson 7 脳は現実を生み出す
【著者】リサ・フェルドマン・バレット (Lisa Feldman Barrett, Ph.D.)
米・ノースイースタン大学心理学部特別教授、ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院研究員。ハーバード大学の法・脳・行動研究センターでCSO(最高科学責任者)を務める。心理学と神経科学の両面から情動を研究し、その革新的な成果は、米国議会やFBI、米国立がん研究所などでも活用されている。世界で最も引用された科学者の上位1 パーセントに入る研究者。2007 年に米国立衛生研究所の所長パイオニア・アワード、2018 年に米国芸術科学アカデミー選出、2019 年に神経科学部門のグッゲンハイム・フェロー、2021 年には米国心理学会から顕著な科学的貢献に対する賞を与えられるなど、受賞歴多数。邦訳された著書に『情動はこうしてつくられる』(紀伊國屋書店)がある。
【訳者】高橋 洋 (たかはし・ひろし)
翻訳家。訳書にバレット『情動はこうしてつくられる』、メイヤー『腸と脳』、ドイジ『脳はいかに治癒をもたらすか』、ハイト『社会はなぜ左と右にわかれるのか』(以上、紀伊國屋書店)、メルシエ『人は簡単には騙されない』、カンデル『なぜ脳はアートがわかるのか』(以上、青土社)、ダマシオ『進化の意外な順序』、ブルーム『反共感論』(以上、白揚社)、レシュジナー『眠りがもたらす奇妙な出来事』(河出書房新社)ほか多数。
感想・レビュー・書評
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リサ・フェルドマン・バレットによる脳科学の入門書のような位置づけの本書。エッセイ寄りなのかな。
彼女の主著「情動はこうしてつくられる」を読んで人間理解が根本から変わった。
本書を読んでから、「情動~」に取り掛かるよりは、逆のほうが彼女の脳科学の理解が進むような気がしている。 -
脳は体内の予算管理しているというのは面白かった
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・脳の最も重要な仕事は思考ではなくアロスタシス管理
−トレードオフのごとく経済活動に例えられる
−ポケモンでいう「たくわえる・のみこむ・はきだす」的な?
・脳が見せる世界はファジー
・身体性は重要
→哲学や数学、論理を考え続けるより運動やピアノの方が脳が活性化するとされるのは身体を用いるからでは…という仮説が浮かんだ
(身体に合わせて脳が造られると池谷先生も述べておられるように…) -
2021/11/10
最初は一般向けの解説本かなと思って読み始めたけれど、その内容といい、テンポといい、脱線かと思いきや実は密接に絡んでいたりと一気に読ませてくれる。
各章のタイトルは後で見直しても感心させられてしまい、整理するのも判りやすい。
それぞれの章で再認識や納得させられる内容が多かったが、特に3章の幼少期における外部依存が人間にとって必要不可欠なものであること、4章での行動予測、5章での環境や文化の影響とそれを自他ともに認識することの重要性、そして最終章での五つのCのうち圧縮が抽象を生みそれが人間特有の「社会的現実」を作り上げていることが印象に強く残った。
そして何よりも科学的な内容から踏み出していると思われることについても、決してきれいごとだけではなく、脳にとって、人間にとって、そして人間が生み出した「社会的現実」にとっても…という視点からコメントしているのも説得力を感じた。
短いけれど内容の濃い一冊。 -
最新の脳科学について「平易」な言葉で書かれた本です。
一読目で「わかった気にさせる」訳者さん素晴らしい。
さらにP170の訳者あとがきも上手にまとめられてて素晴らしい。
とりあえず、脳の常識のある程度は否定され、正しい知識が得られます。 -
脳の進化のきっかけに狩りをする捕食者の誕生があった。
それまでが単に無作為に丸呑みしていただけだったのが、獲物を探知して、意図的に食べる能力を獲得した生物が現れた。
家計の管理に似た身体予算管理により、泳ぐ、走るなど資源を費やす活動をするごとに身体予算の口座から預金が引き出され、また、食べる、眠るなど、資源を補給する活動をすれば預金が増える。
エネルギーを無駄にしない効率性と予測が生存に不可欠で、複雑な体内の感覚系や運動系を発達させた身体は、効率的な運用のため、司令塔的な存在である脳を必要とするようになった。
ゆえに脳は、考えるためでも、理性を行使するためでも、想像力を発揮するためでもなく、ただエネルギーの需要が生じる前に予測しておくことで、恐ろしく複雑化した身体を効率的にコントロールするために生まれたのだ。
脳はニューロンの集まり以上のもので、泣き叫ぶ乳児をなだめようとしている時、実はその子の脳のチューニングやプルーミングを手伝っているのだということを、親は気づくべきなのだろう。
皮膚に当たるシーツの感触や、目覚まし時計の音、コーヒーの匂いなどを感じているのは、実は耳や鼻、皮膚ではなく脳である。
脳が積極的に経験を構築しているのは、体外だけでなく、体内の感覚もそうで、寝不足による疲労や空腹の経験も、実際には脳で構築されている。
このような日常的な幻覚が、感覚に意味を与え、経験を生み出している。
しかも、1杯の水がのどの渇きを一瞬にして癒やしたと感じられるように、体内の変化は常に予測が先行して実行され、直接的な影響に先立って身体の準備を整えるのだ。
「<予測>は、光の流れを目に見える物体に、気圧の変化を聞き覚えのある音に、化学物質の痕跡をにおいや味に変える。また、このページに印刷されたインクのしみを、文字や語句や概念として読んで、理解できるようにしてくれる。さらにいえば、結論を書かずに終わる文章に違和感を覚えるのも<予測>のせいである」
立て続けに発せられるビーコンの如く、すべての予測が後から取り入れられる感覚データと整合するわけではなく、予測を更新せずそれに執着を続ければ、牛を連れた少年をゲリラ兵と見間違えて引き金を引くことも起こりうる。
脳は予測する器官であり、自分が気づく前に行動するように配線されている。
我々は、まず感じてから行動すると考えているが、実際の感覚は行動の後で生じる。
敵を見て、葉音を聞いてライフルを構えるのではなく、ライフを構えて敵を見、葉音を聞いている。
車を運転するごとく、自動操縦モードで行為が実行されるため、行動は変えられず、責任が伴わないわけではない。
脳の予測を変えることは可能だし、事故の行動をコントロールすることができる。
「今日の行動は明日の脳の<予測>になり、その<予測>が自動的に未来の行動を駆り立てる。したがってわれわれは、自分の脳の<予測>を新たな方向へと調節する自由を持ち、ゆえに自分がとった行動の結果に対してある程度の責任を負わなければならない」 -
養老先生の唯能論に近いなぁ。
人間が社会を作る為の能力として、5Cを挙げている。創造性・コミュニケーション・模倣・協力はなんとなくわかったが、圧縮compressionは目から鱗のご指摘でした。 -
入門書なので新書みたいな短さ。よくある「悩みどころ」は丁寧に描かれていてそれなりにおもしろい。見間違えについてのあたりは印象的なものの全体としての印象は「素朴」といった感じ。
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脳科学の本としては非常に読みやすい語り口です。
興味深い内容ばかりですが、中でもレッスン4の「脳は(
ほぼ)すべての行動を予測する」は抜群に面白かった。
「縮重」「チューニング」「プルーニング」など気になる言葉も沢山です。
このジャンルが好きな人ならおすすめです。 -
本書のまとめは、著者のあとがきを読むのがわかりやすい。各章ごとに非常に簡潔に述べられている。結果だけ知りたければここだけ読めば良いくらい。
本書では、爬虫類脳と理性脳の対立という説を真っ向から否定している。この主張が本当かどうかはエビデンスまで読んでいないのでは自分にはわからないが、初めて聞いた説だったので衝撃的だった。 -
たきさんおすすめ
脳科学を教えている人が目についたので、脳科学に関心をもち、読もうと思った。
脳は常に予測を発して、身体予算を管理している。がこの本で言いたいこと。
身体予算という考えがおもしろいというレビューを見たが、確かに考えてみると、陶酔、始められた、記憶、健康生活などあらゆる心的能力は脳のおかげなのだと気づかされた。
ビジネスなどで「脳科学の観点からすると〜」という人もいるが、そもそも論がわかるとさらに腑に落ちる。脳科学は引き続きいろんな本を読んで体系的に理解したい。
・人間の脳はラットや爬虫類より高度な進化を遂げたのではなく、異なる様態で進化したのに過ぎない
←三位一体説という神話が広く流布した理由は、ストーリー。
人間は動物的な本性を克服し、今や地球を支配するのに至ったという「最高の動物」という栄冠を授けられることにもなるから。
・合理的な行動とは、現状に見合った妥当な身体予算の投資を意味する
(脳は、考えるために進化したわけではない)
・脳はネットワーク(航空ネットワークのよう)
・長期にわたり、一貫して改善することなく子どもを放置していれば、ほぼ間違いなく、小さな脳に悪影響が及ぶ。
アイコンタクトや言葉は肌の触れ合いを通じて社会的にニーズを満たしてやる必要がある。
貧困を強いられた場合も同様。
育児や養育環境がいかに重要か。
小さな脳は外界に合わせて配線する
・脳は、過去の経験に関する記憶力をもとに予測する器官で、気づかないうちに次の1連の行動を開始する。
言い換えると、行動は記憶と環境のコントロールのもとでなされる。
しかし、今すぐにでも多少努力すれば、脳が未来を予測するあり方を変えることはできる。
・脳は身体予算を管理し、言葉を処理する脳領域の多くは、身体予算管理を支援している主要な組織も含め体内をコントロールしている。
だから、好むと好まざるとに関わらず、私たちは自分の行動や言葉を通して、周囲の人々の脳や身体に影響を及ぼしている。
そして、彼らから同様の恩恵を受けている。
・人間は多様な心をもつ。ただ、多様性は不安をもたすので、我々はラベリングを好む。(性格診断テストなど)
心のタイプは無数あるタイプのうちの一つに過ぎず、いつでも心は変更可能。
・誰もが人間の脳内にのみ存在する社会的現実の世界で生きている。(異国からの入国、水域の漁業権、公転軌道上など物理や化学に思えること)
自ら作り出しているという事実にわれわれ自身がほとんど気づいていないが、一度線を引くと、何か別のものの記号として扱うようになる(肌の色など)
社会的現実は思っている以上に現実をコントロールしている -
無知なもので、衝撃的なないようでした。脳は予測を行なっている、予測は日々の行動や人の対話で変えられる。情報はシナプス感で圧縮される。すごい内容だった
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1つの考えに固執しているような感じで、あまり好きではなかった。
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脳科学の本を読むと、おもしろいとわからないがねじねじと縄のように合わさってトグロを巻いて溜まっていく。その縄状態がおもしろくて、脳科学の本には手が出てしまう。
記憶は蓄えられているわけではなく、再構築されているもので、同じ出来事を思い出す時でも、その都度異なった一連のニューロンによって組み立てられる…って、なんだか、ああ…と思った。再構築だから、記憶の中で感情が一番強く甦るのかな、と。
脳は考えるためにあるのではないということや他人の脳と協調しているということもおもしろかった。
生物って、不思議。 -
本書に書いてあることを押さえてない「脳科学」は今後無視していいかな。
例えば「本能→情動→理性」の三位一体脳は間違いである、とか。脳の役割は、エネルギーや体内の物質のバランスを生き延びるために配分する「身体予算」の管理だ、とか。脳のネットワーク(文字通り)は常に変化している、とか。ヒトの脳は外からの感覚の刺激によって配線され、その仕組みは予め決まってるけど配線の具合により多様なのだ、とか。脳は予測をし、行動の準備をするのだとか。圧縮の能力=抽象によって脳は「社会的現実」を生み出す、とか。 -
脳科学の基本的なところから最新の知見まで、概論的に知ることができる。脳は予測するというのが、一つの大きなテーマであったように思う。
マクリーンの三位一体脳の批判から始まり、ニューラルネットワークや対人関係の中での脳の発達、人間の心などについて7章と1/2(冒頭)で説明されている。それほど難解ではないが、高校生物レベル程度の知識は必要かもしれない。
単に、脳やニューロンといったミクロのレベルの話に終始するだけでなく、人間や社会などマクロなレベルにまで言及しているのが脳科学の書籍にしては珍しいなと思った。ここは好き嫌いの分かれるところかもしれない。 -
初めて脳科学に関する本を読んだがとても面白い。
特に、人間の脳は物理的環境や社会的環境に応じて柔軟に多様に配線される、というのが印象的であった。
乳児の脳が正常な発達を遂げるために、<社会的入力>や<物理的入力>に大きく依存しなければならない、というのは一見非常にリスクが大きい。
他方で、こうしたリスクを抱えるような脳のあり方は、親から子に、子から孫に、世代間で文化的・社会的な知識を効率的な受け渡しを可能にする、という視点は、「確かに」と思わせるものであった。
また、生まれか育ちかという議論は世に溢れているが、それを、ルーマニアのチャウシェスク政権下における失われた世代の例を出しながら、「生まれは育ちを必要とする、つまり遺伝子は、脳を完成させるために<物理的環境>と<社会的環境>を必要とする」と説明する記述は説得力のあるものであった。
本書の所々において、アドラー的思考と似通った記述が見受けられたのも興味深かった。
例えば、「周囲の人々の身体予算から引き出して社会の健康や福祉を食いつぶすのではなく、人々の身体予算に貢献するような心構えを個々人が持てるはずだ(p125)」という「他者貢献」に似た視点や、「今日の行動は明日の脳の<予測>になり、その<予測>が自動的に未来の行動を駆り立てる。したがって我々は、自分の脳の<予測>を新たな方向へと調節する自由を持ち、ゆえに自分がとった行動の結果に対してある程度の責任を負わなければならない(p108)」という「自己受容」に似た視点があげられる。
