- 本 ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784314011860
作品紹介・あらすじ
【この謎に満ちた魅惑の世界を知れば、今夜、眠りにつくのが楽しみになる!】
有史以来、人々を魅了してきた「夢」という現象はいったい何なのか?――1953年のレム睡眠発見を機に進展した夢の科学的研究は、21世紀の現在、核心に迫りつつある。
夢研究の歴史をひもとき、典型的な夢、動物の夢、悪夢、明晰夢、創造力との関連性など数々の研究を紹介しながら、著者らが構築したNEXTUPモデルを解説し、その理論をもとに夢の正体に挑む。
感想・レビュー・書評
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夢はなぜ見るのだろうと漠然とした疑問からさまざまな既にある見解から紐解いていこうという本。105頁第7章「脳はどうやって夢を生み出すのか?夢にはどんな役割があるのか?その役割を果たすために、なぜ夢を見なければならないのか?答えはこうだ。わからないわからないわからない」 このページいる?と思った。
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【配架場所】 図・3F開架
【請求記号】 145.2||ZA
【OPACへのリンク】
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有史以来、人々を魅了してきた「夢」という現象はいったい何なのか? 1953年のレム睡眠発見を機に進展した夢の科学的研究は、21世紀の現在、核心に迫りつつあります。(生命融合科学分野 大塚正人先生推薦) -
難しかった。夢の歴史から明晰夢まで。読んでいてまさに夢を見ている感じを受けた。つまり謎に満ちていてよく分からない。著者らが編み出したNEXTUP(可能性理解の為のネットワーク探索)モデルは興味深かった。睡眠の段階によって見る夢も違うものだという。PTSD発症のステップも興味深い。確かに夢というのは自分しか体験出来ないし、研究するのも困難なのだろうと思った。しかし、そこに意義があるのだろうと思う。
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毎日見る夢は何が根拠なのかと関心が湧き手に取った一冊。夢の科学は意識や認知にも絡むテーマなので、もとより本書で解明はされ得ず(そもそも解明は可能なのだろうか)、著者の成果としてNextupと銘打つ解析モデルの提示が主旨となっている。その纏めが巻末に付記されており、先にここを開いてエッセンスを掴むのも1つの読み方。夢の創造性は時に突拍子ないが、膨大な夢の事例(ストーリー)を統計すればある程度パターン化でき、我々が今夜見る夢も大抵そのどれかに(大なり小なり)当て嵌まるのは、結局現実の人生と同じかもしれない。夢の各要素は畢竟見聞きし体験したものなので、小さな欠片や遠い過去まで包含したそれらの意外な組み合わせに、驚いたり意味を見出そうとする事はあっても、ネタは実は限定的。たとえば、睡眠中に化学式を発見したという学者の夢などは、そんな知識を待ち合わせない一般人は決して見る事が無い(はず)。見る夢もその人次第で、個人的にはいわば夢の無い話というオチ。
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睡眠医学のスペシャリスト2名が、自らが提唱する仮説に基づき脳と夢の関係の再定義を試みる本。夢の問題は意識の問題と表裏をなしており、その本質の把握は困難を極める。何しろ本書序盤でも引用されるように「意識的な経験ほど(中略)説明困難なものはない(デヴィッド・チャーマーズ)」し、さらに夢見る主体に「意識している認識はあるが、それを科学的に証明したものはいない」のだ。にもかかわらず夢は研究者らを魅了し続けており、数多の仮説を生み出すに至っている。著者らが提唱する〈NEXTUPモデル〉も無論一つの仮説に過ぎず、豊富な実証に裏打ちされたものとは言えない。しかしこのような仮説を唱え、批判的検証の場に差し出す彼らのような存在なくては、夢どころか睡眠や脳の機能に関する科学的事実の解明など望むべくもないだろう。本書前半で紹介されているフロイト前夜から連綿と続く夢に関するパラダイムの一端にこの〈NEXTUPモデル〉も位置付けられ、批判と検証の対象となり理論の発展に寄与するはずだ。
夢はある特定の疾患罹患者を除くほぼ全ての人が体験する事象であるにもかかわらず、前述の通りそれを客観的な形で共有する手段が存在しない。だから夢に関する意見も人それぞれということになり、本書における夢の記述に必ずしも賛同できない人も多いのではないかと思う。僕自身もその1人であり、たとえば本書第10章で挙げられる「典型夢トップ15」のうち、見た覚えがあるものは大体1/3くらいだし、また典型的な悪夢として列挙される事例のほとんどは自分に当てはまらない。ただ、本書で挙げられる「睡眠の役割」、たとえば覚醒時に溜め込んだ情報を整理し、その意味と重要性を確定させる「オフライン記憶処理」機能などについては自分の実感と整合するところが多いように思えた。
本書の中心的主張である〈NEXTUPモデル〉を簡便に説明すれば、夢の役割とは「覚醒時に新規に得られた情報について、睡眠時にその記憶を一つの物語として再生し、覚醒時には思いも及ばなかった〈緩やかな〉情報の結びつきを意識に上らせる」ことにある、というもの。つまり〈ネットワーク検索性〉が夢の機能だというのだが、このモデルではさらに〈可能性の理解〉、すなわちそれらの情報の活用可能性を検討し新たな価値を獲得させる機能も併せ持つという。これは、fMRIやPETを用いた脳画像処理技術により、我々が知的作業をしていない時に必ず活性化する領域「デフォルトモードネットワーク(DMN)」が発見されたことから演繹された仮説である。このDMNが、脳の休息時に既存の情報を整理し、覚醒時には気づかなかった関連性を指摘し、次にすべきことを決定する中枢なのではないか、というのだ。覚醒時にしょっちゅうマインドワンダリング(白昼夢)に陥り、ぼーっとしてばかりの自分としてはなかなかに魅力的な仮説ではある。
ただ著者らも認めている通り、どれほど科学が発達して睡眠時の脳内電気信号が精緻に把握可能となったとしても、夢見る主体が「どんな感じ(©︎トマス・ネーゲル)」を受けているかを観察者が正確に理解することは、どこまで行っても不可能なのではないかと思う。そこには「意識」や「主観」などの概念の再定義の必要性を含む、より大きく深い問題が横たわっているのではないか。夢に限らず、日常ふと抱く「この感じ」の説明困難性(自分に対して説明することさえ難しい!)に思い至るたびにそう考えざるを得ない。 -
2022.02.26 朝活読書サロンで紹介を受ける。
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