- 紀伊國屋書店 (2025年3月3日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784314012133
作品紹介・あらすじ
人形で遊ぶメスのチンパンジー、孤児を養子にするオスのボノボ……
彼らの行動は、どれほど人間の行動と共通するのだろうか?
オスとメスの違いは、生まれつきのものなのか。
はたして「ジェンダーがあるのは人間だけ」なのか――?
★ユヴァル・ノア・ハラリ推薦! 20か国で刊行決定!
霊長類の社会的知能研究の第一人者が、進化生物学とフェミニズムの間で繰り広げられる、性をめぐる論争に風穴を開ける。
「動物と人間の行動における性差は、人間のジェンダーにまつわるほぼすべての議論の核心にあるさまざまな疑問を提起する。男と女の行動の違いは自然のものか、人為的なものか? 両者は本当はどれほど違うのか? ジェンダーは二つしかないのか、それとも、もっとあるのか?」(本文より)
《本書への賛辞》
「性とジェンダーに関する白熱した論争に、科学的で思いやりのあるバランスのとれたアプローチをもたらす、すばらしく魅力的な本」
ユヴァル・ノア・ハラリ(『サピエンス全史』著者)
「……男性か女性か、クィアかストレートか、トランスジェンダーかノンバイナリーかを問わず、より公正で平等な社会を築くために私たち皆が行うべき重要な対話を、間違いなく刺激する」
サイ・モンゴメリー(『愛しのオクトパス』著者)
「女vs男。性vsジェンダー。生物学vs社会的な教え込み。性差というテーマほど、愚か者を誘惑する話題はなかなかないが、ドゥ・ヴァールは賢明だ。人間の性差という魅力的なトピックを、非常に明快に、洞察力と機知に富んだ方法で調べ上げ、結局のところ、私たちも霊長類の一種にすぎないことを決して忘れさせない。じつに刺激的だ」
ロバート・M. サポルスキー(『善と悪の生物学』著者)
「性差という危険地帯に踏み込むには勇気がいる。秀でた語り、文化に対する敬意、そしてボノボやチンパンジーに対する深い知識を頼りに、ドゥ・ヴァールはこの危険な領域を巧みに乗り越えている」
サラ・ブラファー・ハーディ(『マザー・ネイチャー』著者)
《目次より》
第1章 おもちゃが私たちについて語ること:男の子と女の子と他の霊長類の遊び方/第4章 間違ったメタファー:霊長類の家父長制社会を誇張する/第6章 性的なシグナル:生殖器から顔、美しさまで/第7章 求愛ゲーム:慎み深い女という神話/第8章 暴力:レイプと謀殺と戦争の犬ども/第11章 養育:母親による子育てと父親による子育て/第12章 同性間のセックス:虹色の旗を掲げる動物たち 他
感想・レビュー・書評
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男女の存在価値における究極は生殖にあり、そのために女性は機能分担上も身体的に弱く(男性に比べ身長が低いとか、腕力が弱いとか)作られ、高い生殖コストを強いられている。でも、弱く作られる必要がどこにあるのか。これは合目的的なものではなく、進化の選択圧として、腕力が優れない方が子孫を残しやすかったからだと考える。
人間社会は、「多少無理して」男女平等を実現しようとしている。私は、この「多少無理する」ことこそ人間足る上で重要なのだから、必ずしもプリミティブな自然状態が良いものとは思っていない。生殖行為自体も、スタートは男性側のリビドーによるエレクトが無ければならない。故に女性性は魅惑する性となり、侵襲される性にならざるを得なかった。これを「多少無理して」女性上位概念を可能にしてきたのが現代社会だ。
人間社会ではもはや失われた「自然状態」としてのジェンダーはどのような形だったのか。これを霊長類の性差を覗く事で類推してみようというのが本書。とても原初的かつエロチック、つまり本質的な内容で面白い。
この手の本によくある役者はボノボであり、チンパンジーである。ボノボの開放的な性生活は有名だが、それには深い戦略がある。人間も大して変わりはしない。男も女もしたたかでそれなりに自由だし、野生のその世界においても決して女は支配される性ではないという事実が私たちを安心させる。ボス猿をアルファオスと呼ぶが、ボノボにはアルファメスがいるのだ。
ー 両性を一つの階層制に取り込もうとする現代社会の試みは、両性のリーダーシップ能力を拠り所としている。他の霊長類の観察から、その能力はどちらの性にも見出せることがわかっている。両性のリーダーシップ能力は、完全に同じではないかもしれないが、違う部分よりも重なり合っている部分のほうが多い。女よりも男のほうがリーダーにはふさわしいと思われることが多いが、そう考える理由はない。男は体格や力で優るからといって、女より優れたリーダーになれるわけではない。
男女ともにお互いを選ぶ。しかし、選択肢はこの人生という限られた出会いの中で決して多くはない。階層を意識しているようで、単に近場で妥協しあっているのだ。永遠の愛を結婚制度とした隠れ蓑の中、一皮剥けば誰しもがボノボかも知れない。平和ならばそれで良いのでは、とも思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
類人猿も比較対象に入れた性差の読み物
文化と関係ない生物としての性差に気付かされる
ボノボってこうなんだという発見もあり読んでみてよかった本です。 -
著者は昨年亡くなったので、これが遺作ということになる。彼の一般向け著作を長く愛読してきた身としては寂しい。
性差というデリケートなテーマに挑みつつ、いつもながらの面白さだ。 -
1. ジェンダーに関する基本的な考え方
- ジェンダーは、単なる生物学的性別ではなく、社会的・文化的に形成された役割である。
- 社会は男女に異なる期待や行動を強いることが多い。
- ジェンダーは、学習や社会化の過程で獲得されるものとして捉えられている。
2. 類人猿の研究から得られる知見
- チンパンジーとボノボの比較研究によって、ジェンダーに関する新たな視点が得られる。
- チンパンジーは男性優位の社会構造を持ち、一方でボノボは女性が優位である。
- これらの研究は、性別に基づく社会的優位性が必ずしも生物学的要因によるものではないことを示している。
3. メスの選択の重要性
- メスの行動や選好が、オスの行動や地位に大きな影響を与えることを強調。
- 生物学的な観点からも、メスの選択は進化的に重要である。
- メスがオスを選ぶ過程は、単なる受動的な行動ではなく、積極的な選択の結果である。
4. 性差と社会的役割
- 男性と女性の社会的役割は、文化や時代によって変わることがある。
- 男性は攻撃的な行動を示すことが多いが、女性は協力的な行動が強調される。
- 性別による遊びの違いが、社会的な関係性に影響を与える。
5. 医療と性差
- 医療において、性差を無視することが健康に悪影響を及ぼすことがある。
- 女性は男性と異なる体の構造や健康上のリスクを持つため、適切な診断と治療が必要。
- 研究は、性別を考慮に入れた医療の重要性を示している。
6. 社会的協力と子育て
- 人間の子育ては協力的な行動に基づいており、これは他の霊長類とは異なる特徴である。
- 集団での子育てが、個体の生存率を高める要因となる。
- 女性は特に、協力的なネットワークを形成し、子育てにおいて重要な役割を果たす。
7. ジェンダーの社会的構築
- ジェンダーは、単なる生物学的特性の延長ではなく、社会的に構築されたものである。
- 社会は、性別による役割を強化する文化的なメカニズムを持つ。
- 性差に関する固定観念が、教育や社会制度に反映されている。
8. 現代社会における性差の状況
- 現代社会でも性差に基づく偏見や不平等が存在する。
- 職場や家庭における役割分担が、いまだに伝統的な性別の規範に影響されている。
- ジェンダー平等に向けた努力が続けられているが、進展には時間がかかる。 -
【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/582944 -
【本学OPACへのリンク☟】
https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/730211 -
女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000075016
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人間社会のジェンダーや「ジェンダー論/セックス論」を考える上で非常に重要な本。さすがドゥヴァール先生、おもしろい。反ジェンダー論、反フェミニズムというわけではないし、安易な生物学強調にも一定の距離を置いて落ち着いている。
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請求記号 489.9/W 11
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今、霊長類をメインとした動物の性行動についての知識を網羅した本。ひいてはヒトの性行動のアーキタイプについての示唆を(ある程度)与えてくれる。
それにしても、ヒトの性行動のアーキタイプは解明されてない気がする。この作者もヒトのアーキタイプは一夫一婦を支持しているようだが、私は眉唾だ。
育児に男の助けが必要なことは、一夫一婦の十分条件になりえない。
しかし、キリスト教史観に対する言い訳が延々続くのは、東洋人の私としては、辟易する。大変だなぁと。 -
東2法経図・6F指定:489A/W11s/Ishii
著者プロフィール
フランス・ドゥ・ヴァールの作品
