感染症に挑む: 創薬する微生物 放線菌 (共立スマートセレクション 22)

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  • 共立出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (151ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784320009233

作品紹介・あらすじ

本書は,感染症の治療薬として汎用されている「抗生物質」や主な感染症の種類と症状について理解を深めるとともに,抗生物質にはどんな種類があり,どのような機構で病原菌を死滅させるのか,抗生物質のほとんどを生み出す「放線菌」とはどのような微生物なのか,などの知識を得るために最適な啓蒙書である。
 放線菌は「抗生物質」という,言わば,細菌を死滅させる「毒物」をつくりながら,自身はその毒から逃れるための機構をもっている。本書では著者の長年の研究を織り交ぜながら,抗生物質生産菌における生体防御の機構を興味深く解説し,医療にとって深刻な,ほとんどの抗生物質が効かない「多剤耐性菌」と,それに対処するための「次世代感染症治療薬」の開発に関する話題についても触れている。
 大村 智北里大学特別栄誉教授は,米国の大手製薬企業との共同研究を進め,土壌から分離した放線菌の1つが寄生虫に有効な抗生物質「エバーメクチン」を産生することを発見したことが功を奏し,ノーベル賞受賞者となった。本書では,産学連携の必要性や,エバーメクチン生産菌を始め,抗生物質をつくる放線菌のゲノム解析から見えてくるトピックスを取り上げている。
 本書は,肺炎によるわが国の死亡率が第3位であるという,現代日本の社会状況の中で上梓されたタイムリーな一冊であり,将来,研究者をめざす若い読者を鼓舞するであろう。また,感染症の制圧を目指して新薬開発に取り組む研究者や放線菌の研究者にとっても座右の書になるに違いない。

感想・レビュー・書評

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著者プロフィール

1974 年 広島大学工学部卒(醗酵工学科)
1976 年 広島大学大学院 工学研究科修士課程修了(醗酵工学専攻)
1983 年 広島大学工学博士
1987 年 パストゥール研究所・研究員
1992 年 広島大学医学部・教授 (総合薬学科)
2012 年 広島大学大学院 医歯薬保健学研究院(現 医系科学研究科)・教授、薬学部長
2016 年 3 月 31 日 定年により 薬学部長および薬学部教授 退任
2016 年 4 月 1 日 大学院医系科学研究科 未病・予防医学共同研究講座・教授および広
島大学名誉教授 現在に至る
『薬をつくる微生物』(海鳴社)『現代微生物学』(共立出版)など著書多数
文部科学大臣表彰「科学技術賞」受賞(2 回)、中国文化賞など受賞多数

「2023年 『微生物力が人類を救う』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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