- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784320019713
作品紹介・あらすじ
「数とは何か」をまず現代数学の立場から解説する。さらに歴史上数がどのようなものとして捉えられてきたかを詳細に解明する。数概念は文明によって異なるため,古人の数概念がどういうものだったかを知るのは必ずしも容易ではないが,現代数学の立場で割り切ってしまうことなく,歴史的な数概念を各時代の思想に立ち入って調べていることは本書の著しい特徴である。数概念の通史がこれだけ見事に鳥瞰できる著作は海外にも皆無である。日本を代表する数学者である高木貞治の数に関する4冊の啓蒙書を精査することによって,明治期以降の日本がどのようにして西洋数学を受容したかを明らかにしていることも大きな特徴である。本書は,数学者はもちろん,数学の基礎に関心を持つ文系の知識人にとっても重要な文献となりうる高度な内容である。ただし書き方は平明簡潔であるので理解は易しい。
感想・レビュー・書評
-
勿体ぶった記述がないから何度も再読してしまう。数概念が民族や時代に強く依存する文化相対性を有しているというテーマに沿って著された数概念史。 ギリシャ時代の幾何学と結びついた素朴な概念から遡って、19世紀の算術化、そして現代の公理論的自然数論までを一気に記述する。現代の到達点で すら終わりではないという数学のダイナミズムを感じることができる。 ハミルトン、グラスマン、フロベニウスらが関わった四元数、フレーゲ、ラッセルらが関わった算術化、公理論化の記述は実に読み応えがある。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
図書館で借りた。
哲学的なタイトルに感じるが、いわゆる「数学基礎論」の教科書的な本だ。また、目次を見ると、数学史的な側面からアプローチしていくのが分かる。これも本書の大きな特徴となっている。「何であったか」は数学史を辿りつつ、「何か」という基礎論の本質を問いていく感じかな。
数学の中でも、何と言うのだろうか、大学の数学科的というか、一般的には小難しく感じるような話ではある。「算数・数学が得意なつもりで大学数学科に進学したけど、思っていたのと違った」と挫折する人が多そうな分野。
数学史に出てくる数学者たちは、どう書いたかという追い方は、何なら歴史学などの社会科学的にも感じられ、学問の総合格闘技と(言ったら言い過ぎかもしれないが、)いう雰囲気を漂わせる内容だ。深い。 -
新着図書コーナー展示は、2週間です。
通常の配架場所は、3階 請求記号410.2/A16