建築を旅する (造形ライブラリー 04)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784320076785

作品紹介・あらすじ

著者である岸和郎(建築家・京都工芸繊維大学造形工学科教授)が自らの建築観を世界的に著名な建築家であるル・コルビュジエ,ミース,カーンなどの作品を例に挙げそれらについて語りかける。建築家が持つ独特の感覚から展開されるストーリーはあたかも建築物や世界の都市を旅する感覚に読者を引き込ませるだろう。

感想・レビュー・書評

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  • 建築学科編入して割とすぐの時期に一度読んだ。
    今回はそれ以来の2回目。
    改めて読んでも発見が多くあった。

    はじめに「建築家としての建築の見方」の教えがあり、それに基づいてル・コルビュジェ、ミース・ファン・デル・ローエ、ルイス・カーン、1930年以降のスタイルの変遷、都市について語りかけるように書かれている。

    以前読んだ時よりも
    「ル・コルビュジェが一人の天才とするなら、ミースというのは結局のところ父親みたいなものじゃないでしょうか。」
    という感覚がしっくり来た。


    1920年代あたりまで各国で起こった近代主義運動が、MoMAで1932年に開かれた展覧会及びどのカタログで「インターナショナル・スタイル」と定式化されたって見方は感心。
    1988年に再びフィリップ・ジョンソンが「脱構築主義建築」の展覧会を行うが、こちらも結局「デコンストラクティビズム」というスタイルになったし、同じことが現代でも起こっている、それは本書で岸さんがいうように結局1932年から現代までマクロな視点でもミクロな視点でも「スタイル」の縛りから逃れられてないんだよね。


    個人的には「都市」の項目で錯乱のニューヨークに似た話を持ってきていながら、「1932年以降」の項目でOMAが出てこなかったのは彼らがスタイルやオリジナリティとは別の次元で活動出来ているからなんではないかとか思ったり。


    いつ読んでも刺激と発見がありそうなので、また読みましょう。

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       この本はタイトルから建築をめぐる旅の本かと思いきや、近代建築史の流れを学ぶ格好の入門書となっている。    2章「建築を旅する─鉄について」、3章「ル・コルビュジエを旅する」、4章「ミースを旅する」、5章「カーンを旅する」、6章「インターナショナル・スタイル以降」…と続く章立てからもわかるように近代建築の巨匠たちにスポットをあて、その代表作をいくつかとりあげながら建築家像を浮き彫りにしている。この本が他の近代建築史解説書と決定的に異なる点は、著者である建築家・岸和郎の視点が常にベースにあることだ。著者がこれらの巨匠の作品に若いころ、いかに刺激を受けたか、そして今の作品に影響を与えているか、そうした思いが語られる。そこには歴史家ではなく、作品を作り続けている建築家だからこその建築の見方、とらえ方があり、それが平易な言葉でつづられている。一方で岸和郎の作風と同様、理路整然とした筋立てがあるので、建築史を学ぶ教科書ともなりうる。    本文のなかで繰り返し著者が強調することは、「建築を実際にまず体験すること」である。そこから「できるなら建築に感動すること、そのことを一度体験してほしい」「ある日、建築に感動するというのが来た瞬間に、すべてがわかったような気がする。そこからがスタートだと思うのです」と続く。    難点を挙げるなら、とりあげる作品の数が多い分、読後に「広く浅く」という印象が残ったことだろうか。それを補完する意味で各章末にある註(ノート)では、文体も含め本文とは切り離された印象で途端に「専門用語」が羅列される。そのあたりもうまくかみ砕かれていれば、より親切な手引となったのではないだろうか。    この本は著者が教鞭をとる大学での講義録に加筆修正したものとある。大学での近代建築史の講義はひどく眠気を誘うものだと感じる学生も少なくないだろう。そんな建築学科の学生や、建築に興味を持ち始めコルビュジエやミースについて知ってみたいと思う人におすすめの1冊だ。(中山ケンタ)


    内容(「MARC」データベースより)
    世界的に著名な建築家であるル・コルビュジエ、ミース、カーンなどの作品を例に挙げ、著書の建築観を語りかける。

    目次
    1章 序
    2章 建築を旅する―鉄について
    3章 ル・コルビュジエを旅する
    4章 ミースを旅する
    5章 カーンを旅する
    6章 インターナショナル・スタイル以降
    7章 建築を旅する―都市

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著者プロフィール

本書でも取り上げられている建築家。京都工芸繊維大学教授。

「2002年 『クールコンストラクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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